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【2022年最新|ARビジネス活用事例11選】効率化や精度の向上などAR化のメリットに迫る


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AR(拡張現実)の業務利用は各産業で想像以上に進んでいます。

2019年現在、ARは先行した建築や物流分野以外でも同様の流れは進んでおり、ハンズフリーが実現するARグラスの低価格化の流れもあって、企業への導入も順調です。

またARは、人材不足などの社会問題解決や、様々な業界でユーザーと双方向のコミュニケーションができるインタラクティブな体験に大きく貢献しています。

本記事では、2019年最新版の産業別・AR事業の活用事例をご紹介します

様々な業界の課題をARで解決した例を見ることで、あなたの今の事業の参考なるかもしれません。今後一層浸透していくテクノロジー分野になるので、革新的なサービスや仕組みを考えている方には必見の内容です。

ARとは – ビジネス活用におけるメリット・革新性

ARは各業種で作業効率を大幅に上げる

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一言で言うと、 ARとは、現実空間に文字や音声ガイド、CG等をオーバーレイさせるものです。 

ARやVRというとエンターテインメント系の用途をイメージしがちですが、業務利用にも非常に有益な技術であり、目に見えない情報を現実空間に追加することで作業効率を大幅に上げることが可能になります。

例えば、倉庫でのピッキング作業において「探している荷物がどこにあるか」が紙の作業手順書ではなく、ARグラスに所在が表示されることで、大幅に作業効率が上がります。同時に誤配送の可能性も下がります。

ARは各産業での人材不足に貢献する

 日本は労働力不足が深刻な社会問題となっています。 

したがって、ITを活用した業務効率化は必須課題です。

ARによる作業指示や作業補助が特に有効なのは、非熟練作業者の戦力アップとなります。人手不足をITの力でカバーしようという動きは、特に建設業や物流業でARの業務利用が進んでいることにも見て取れるでしょう。

また、本格的な外国人人材の登用が進む中、同時翻訳技術とAR技術の進化によって作業指示を母国語で行うことができるようになったことは、非常に大きな変化と言えるのではないでしょうか。

普及し始めているARデバイスは?

産業向けにARデバイスを導入するケースと、コンシューマー向けに展開するケースでARを体験するデバイスは大きく異なります。

to Bでの導入ARデバイス① – HoloLens / HoloLens 2(マイクロソフト)

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まずは、産業利用されているARグラスの代表格、マイクロソフト社の「HoloLens」。

2019年にはアップデート版の「HoloLens2」が発表され、視野角や装着時の快適さなどが改善されました。

シースルーの透過型ARデバイスで、建築や製造・物流業界など幅広い業界で導入されています。

価格は3500ドルと高額な部類には入りますが、業務効率化や作業制度の大幅な改善が可能であり、すでに多くの活用事例が出ています。

※参考記事:
AR/MRの本命「HoloLens」のスペック・評判・使い方/事例など徹底解説!

to Bでの導入ARデバイス② – Google Glass(Google)

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こちらもtoB領域で着実に活用が進んでいるGoogle Glass

2012年にGoogleが発表するも、プライバシー等の批判もあり実用化・一般化されなかったため、多くの方が「Google Glassは終わった」とい印象があるでしょう。

しかし、GoogleはGoogle Glassの開発を続けており、現在は企業向けARデバイスとして広く展開しています。

価格は、Amazonで購入可能なもので20〜25万円。

医療や農作業、運輸などの領域がメインで、国際運輸企業の「DHL」もGoogle Glassを導入。今後消費者向けにも展開されるかは未定ですが、多くのユーザーの期待は集まっています。

※参考記事:
Google Glassはオワコンじゃない?「第二世代」現在の姿と産業導入事例、今後の展望まで

to Cでの導入ARデバイス③ – スマートフォン(iPhone/Andorid)

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エンタメ・観光をはじめ、消費者が「ARを直接体験する」となった場合にもっとも利用されているのは、iPhone/Androidといったスマートフォンになります。

HoloLensやGoogle Glassはデバイスの値段が高価であったり、サイズ感やデザインと言う点においても消費者が一般利用するには難しいのが現状。

また、AppleやGoogleはそれぞれARKit / ARcoreというARSDKをリリースしており、iPhoneやAndoridスマートフォンでも十分にAR体験をすることが可能なのです。

一方で、ARグラスでも消費者が利用可能な価格・デザイン性のARグラスも出現しており、

  • nreal light(AWE2019で大きな注目を集めたARグラス。サングラスのようなデザインで、価格は$499~。)
  • Focals(網膜投影型ARグラス。通常のメガネのようなデザインで、価格は$599。)

あたりは大きな注目を集めています。

※参考記事:【厳選!】ARメガネ(グラス)機種別のスペック/価格まとめ16選

ここまで大まかな市況を解説してきましたが、本メディア「XR-Hub」を運営している株式会社x gardenはAR/VR事業コンサルティングや開発事業を展開しています。

  • 自社の新規事業としてAR/VR活用を検討しており、企画やアイディアを相談したい
  • AR/VRアプリケーションの開発を依頼したい
  • 市場調査やユースケースの収集・事業企画書作成などのコンサルティングを依頼したい

という企業担当者の方はこちらからご相談ください。

では、各産業におけるARの活用方法について、現在の事例ベースで紹介していきます。

流通・運輸・物流業界のAR活用事例

 実業務でのAR利用が進んでいる分野の一つが流通・運輸業界 です。

倉庫内で伝票や指示書に沿って、該当する商品を選定するピッキング業務は正確さとスピードが求められますが、手違いやミスが多い分野でもありました。

ARによる作業指示は、この現状を大きく改善しましたが、普及の大きな理由はARグラスの実用化がありました。もちろんバーコードリーダーなどによる効率化は進んでいましたが、両手を自由にすることができ、視線を合わせるだけでバーコードリーダーの役割も果たすAR技術はまさに革新的だったといえるでしょう。

※物流・運輸業界のAR導入事例、導入効果について:物流・運輸のAR活用事例最新版|課題とソリューション、コスト感まで徹底解説

国際運輸を手がける物流会社の『DHL』では主にピッキング過程において「Google Glass」を導入しており、プロセスを

「作業指示書に従うピッキング→Google Glassに作業指示を投影」

と変更したところ、平均15%の作業効率化を実現したとのこと。

※参考記事:開発者向けGoogle Glassの存在と、4つの活用事例 – 「運送分野」

箱の中身が透けて見えるAR収納ボックス「CA-TON」

倉庫内の悩みに、手軽なところでは「商品を箱の中に入れたが、どの箱かわからない」という悩みがあります。

これを解決したのが株式会社プラスティックスの開発したAR収納ボックス 「CA-TON(カートン)」 です。

CA-TON自体は、おしゃれな収納ボックスという製品なのですが、 特筆すべきは付属のアプリです。 

CA-TONにはフタを閉じたままスマホで中身が見えるタグとアプリが付いており、タグにお好きな文字やイラストを書きスマホをかざせば、予め登録した中身の画像を まるで透けているかのように見ることができます。

これを業務利用すれば、ストックヤード内で商品を探し回る手間がなくなりますね。

医療業界のAR活用事例

ARのもう一つの大きな利用分野はシミュレーションです。

 ARのシミュレーション活用の大きな適用分野は医療分野 です。VRを活用した手術シミュレーションは以前にもご紹介した通りですが、新しくARによって手術工程をサポートするソリューションが登場しています。

AR映像と合成してより鮮明な映像が見える

医療向けの顕微鏡などを開発するLeica Microsystemsは、ARによって手術の工程をサポートする「拡張現実(AR)蛍光システム GLOW800」を開発しました。

現在、手術中の血流観測には、ICG(インドシアニングリーン)という色素を用いた蛍光造影法が利用されていますが、遠赤外線カメラを使う関係でモノクロ映像となってしまい、周りの臓器の状況は把握しにくいものでした。

これをAR技術を併用することにより、手術中の映像とICGから得られる患者の血管内の血流の映像をAR合成し、きわめて鮮明にディスプレイ表示することができるようになったのです。

色は必要に応じて自由に変更することができ、周囲の穿通枝(脳内の細い動脈)や小血管の障害や閉塞の可能性を低減するのに役立っています。

※医療領域のAR活用に関しては、こちらの記事で詳しく解説していますので、他の事例やプロダクトを見てみたいと言う方は、参考にしてみてください:ARの医療応用 – 最新の事例や医療手術の革命に迫る

建築・建設業界のAR活用事例

 建設現場はARやVRの導入が進んでいる業界の一つ です。

建設業とARやVRの相性が良い理由の一つは、既に膨大なCADデータが存在することにあります。

BIMという「Building Information Modeling(ビルディング・インフォメーション・モデリング)」の設計データを3DCGに変換して、まだ工事が始まっていない現場にARを使って仮想的に完成イメージを表示させたり、VRを使って仮想的な建築物の中に入って物件を内覧するなどが可能となります。

ARに話題を絞りますと、建設業では大きく次の用途があります。

  1. 非熟練作業者に対してベテラン作業者が指示を出して支援する
  2. 実際の現場に対して、建機の配置などをARでシミュレートする
  3. 施工時の工事写真撮影報告業務などをAR技術を使って効率化する

それでは、順番に見ていきましょう。

①遠隔サポートで作業支援

NECソリューションイノベータは「NEC 遠隔業務支援システム」を開発しました。

このシステムは、AR技術を活用して現場作業者と遠隔地の支援者が映像と音声を共有し、リアルタイムに支援者が遠隔地の作業現場・保守点検作業などの業務をサポートするシステムです。支援者や熟練者が現場に赴かなくても現場作業者の作業効率や正確性を向上することができます。

②建機配置をシミュレーションで確認

戸田建設が開発した「建機AR」は、建設機械の3Dモデルと実際の工事現場映像をARでタブレット端末上に表示する事ができます。

従来は近接建物との距離や関係により、実際には搬入経路や動線が確保できない場合もあり、事前調査や検討に時間がかかっていましたが、これをAR技術により解決しました。

建機の性能を反映させて、稼働状況に応じたつり荷の許容荷重や、所定荷重に応じた適切な作業半径も確認できるようになっています。

③工事写真撮影報告の業務効率化

いわゆる「電子黒板アプリ」となるのですが、今回は少し変わった製品をご紹介します。

北陸電力および北陸電気工事では、鉄塔建設における送電線工事の際の工事写真撮影にARを活用しています。鉄塔工事はなんといっても高所作業であるために非常に危険が伴う作業であることが特徴です。

従来は1kg以上ある黒板と長く重いスケールを、150mもある鉄塔の上に担いで登って工事写真を撮影する必要がありました。これをAR技術により、ARマーカーとスマートフォンだけで対応できるように改善して、作業効率向上と荷物落下の危険性排除を実現し、報告書も自動的に作成してくれるように業務効率化したのです。

 

<従来の架線検査記録撮影方法>

<ARを使った架線検査記録撮影方法>

今夏からは他電力地域への製品展開を見越した評価版の配布も予定しており、人手不足に悩む建築・建設業界の注目を集めています

<AR架線検査記録アプリのご紹介>

※事例から見る、ARが建築業界にもたらすメリットや活用方法について:AR技術が建築現場を変える – 建築のイノベーションと最新の実用化事例

土木・工事業界のAR活用事例

土木工事は当然ながら建築すべき建物がない状況で工事を行いますので、完成形が把握しにくいという特徴があります。

そこで、AR活用シーンは大きく2つあります。

  1. 完成形をAR表示させて工事の効率化を図る
  2. 地質の状況や、地中に埋もれた配管などをARで可視化させて作業効率や安全性を向上させる

それでは順番に見ていきましょう。

①完成形の3DモデルをAR合成表示して状況を確認

コマツとカヤックが共同で研究開発し、2018年8月にリリースした「Kom Eye AR(コムアイエーアール)」は、最新型ICT油圧ショベル「PC200i-11」に搭載される新サービスです。

ICT油圧ショベルとは、GNSS(グローバル衛星測位システム)による位置情報と3Dの設計データ、アーム制御システムにより、作業機操作のセミオート化を実現したマシンコントロール油圧ショベルのことです。

(参照元:KOMATSU SMART CONTRUCTION

上記にARを導入とは、施工中の地形に対して、 運転席内に設置したタブレットに完成形の3DモデルをAR合成表示させ、施工の進捗状況を確認しながら作業する ことができます。

②地質や切り羽写真などを実寸大で確認し、作業効率を向上

鴻池組はMR技術を使って、トンネル周辺地質や施工時の切り羽写真などを現場で見られるシステムを開発しました。

インフォマティクスが開発したソフト「GyroEye Holo」を使い、図面や3Dモデルなど維持管理に必要な様々な情報やデータを、MR用のゴーグル型コンピューター「Microsoft HoloLens」上で現場の風景に重ねて実寸大、立体的に見られるようにしています。

この技術に、現場でもその効果に驚きの声が出ています。

「トンネルの現況と地質などを現場で重ねて見られるのが、これほど便利とは…。完成後の維持管理段階で、トンネル内壁に変位やひび割れ、漏水などの不具合が生じた時にも、設計・施工との因果関係を容易に確認できそうです。」

<トンネル工事現場での実証実験の模様(株式会社鴻池組様協力)>

地図・道案内、車のAR活用事例

ARを使った道案内は、古くはカーナビのHUDに搭載されたものがありますが、スマートフォンの普及により徒歩の道案内にも使われるようになりました。

Google MapのARナビでもう迷わない


GoogleマップのARナビ機能(アルファ版)はAndroidスマホのPixelシリーズで利用できるようになっており、ARナビを使うとスマホのカメラを向けた先の景色を映し出した画面内に、目的地までの矢印や道路名などが表示されるようになっています。

GPSの精度向上や音声認識技術の向上により非常に使い勝手は良くなっており、徒歩で移動の際に周辺の建物をカメラで認識させると瞬時に進むべき方向を画面上に表示してくれます。

広告・プロモーション業界のAR活用事例

印刷物に動画や音声やCGを追加できるAR広告は、ARの効果がわかりやすく実感できる分野です。

名刺の裏や製品パンフレットにARマーカーを仕込むことで、より詳細の情報を顧客に提供できるだけではなく、Webサイトに誘導する事もできるのです。

そんな中で、最近バーガーキングが行っているARを使ったキャンペーンが話題を呼んでいます。

バーガーキングの競合を燃やす驚きのARアプリ

「Burn That Ad(広告を燃やせ)」と名付けられたこのキャンペーンは、ブラジルのユーザー向けに展開されており、競合バーガーショップの広告にカメラを向けて画面をタップすると、広告が炎を上げて燃えるARが現れるようになっています。

広告はチラシだけでなく、看板やクーポン券なども対象となっており、競合のバーガーショップの広告をARで燃やし、ハンバーガーの無料クーポンを手に入れるというものです。

非常に斬新で面白い広告手法ですが、日本では難しいかもしれませんね。

広告・プロモーション領域ではインスタグラムのARフィルターを活用したユースケースも多く出てきており、ARとの相性は非常に良いことが実証されつつあります()。

※参考記事:インスタARフィルター徹底解説|SNS AR広告のコスト感・メリット・事例集

その他の広告分野におけるARの活用事例や、ARの活用方法はこちらをご覧ください→)2020年ARの広告・プロモーション活用事例|仕組みやメリットなど徹底解説

農業AR活用事例

農業はIT化による効率化の余地が非常に大きい分野として注目を浴びていますが、ARを活用しようという動きも進んでいます。

日本国内では、農業従事者の減少が深刻な問題になっている一方で、世界的には人口爆発による食糧難がさらに大きな問題となっています。この両方の課題を解決するために、今まで手つかずに近かった農業のIT化は急速に進化しているのです。

中でもARはセンサーなどのIoTデバイスと連携し、

  • 温度・湿度や水分などの情報をグラス・デバイス越しに表示する
  • 作物や環境に異常があった際、特定部分を色分けして表示・可視化

といった形で機械と人間のインターフェース部分の改善が可能にする、といった活用例が出ています。

HuxreyがAIとARでハンズフリー農業を支援

Huxleyは、創業者のライアン・フックスが「plant vision」と呼ぶシステムを開発しました。

このシステムは農家の温室や栽培室をAIとARを活用して管理します。農業においてハンズフリーであることは非常に重要であり、ARグラスの登場によりこの課題が解決されたのです。

フックスは以下のように言及しています。

「Huxleyのplant visionは農家を助けるシステムです。Huxleyのシステムがあれば難しい計算や植物の知識は不要で誰もが農業を効率よく行うことができ、非熟練の従業者でもARで表示される指示に従って作業を進めるだけで良いのです。その結果、品質の良い食べ物や薬効のある植物がより手頃な価格で手に入るようになる」

※農業領域におけるARの様々な活用事例はこちら:農業のAR導入事例・効果|国内外の活用ユースケースから見るアグリテック最前線

製造業界のAR活用事例

製造業でのARの活用分野は、やはり人手不足の解消を目的とするものが中心となります。

特に生産現場の組み立て作業、製品出荷後のアフターサービス、技術者の技能教育や安全教育などで効果が期待されており、実際にも良い効果の報告が上がってきています。

ARを使ったトレーニングでコスト減

英国の航空宇宙関連企業であるBAEシステムズ(BAE)では製造現場の技術者トレーニングにARが活用されていますが、Hololensを使って3Dモデルによる作業手順を、手元の作業に重ね合わせることで組み立て作業を効率化しています。

これには、3DCADシステムからARシステムへの連係が非常に簡単になり、ARトレーニングのコンテンツを用意するのに時間とコストがかからなくなったという大きな背景があります。

※関連記事:AR訓練・トレーニング事例|実績やメリットを最新の動向から分かりやすく解説

遠隔作業支援もARソリューションで可能

ARアプリケーションやシステムを使用すると、「現場の作業員に対して遠隔地にいるマネージャーや熟練作業員が指示を行う」ということも可能になります。

ARグラスには多くの場合カメラが搭載されており、

  • そのカメラが現地にいる作業員の手元を撮影し
  • リアルタイムで遠隔地のPCに投影
  • 作業員の手元を見ながらリアルタイムで遠隔から指示を行う、

という遠隔作業支援ARソリューションも開発可能で、「一人の作業員に対して一人のマネージャーが指示」ではなく「一人のマネージャーが、離れたところにいる複数人を同時に監督」ということも可能になります。

※参考記事:製造業界AR活用事例|工場へのスマートグラス導入シーンやその効果に迫る

音楽・ライブ業界のAR活用事例

音楽業界におけるAR活用方向性としては大きく

  1. ライブ会場におけるAR体験:ライブパフォーマンスにおけるリアルタイムAR演出・ユーザー向けARコンテンツ(会場内スタンプラリーなど)
  2. 日常ユースにおけるAR音楽体験:アーティストをARで出現させることによる自宅のライブ会場化・既存の音楽アプリ(Spotifyなど)のMR化
  3. 映像作品におけるAR活用:アーティストのMVなどでARの演出・表現を使用

の3通りに存在すると考えられます。

アーティストの表現拡張と、ユーザー体験の拡張が可能になる

人気バンド「King Gnu」がミュージックビデオでARを活用したり、マドンナやクリスブラウンの元専属ダンサーとして有名な「ケント・モリ」がパフォーマンスにARの演出を使用したりと、ARはアーティストの表現を拡張する可能性を持ちます。

その一方で、SHOWROOMが自宅で楽しめるAR音楽ライブアプリをリリースしたり、MRグラス「Magic Leap」向けにリリースされた音楽アプリ「Spotify」では

  • 3Dで空間にマッピングされた斬新な音楽アプリケーションとしてのUI/UX
  • 楽曲やプレイリストを空間と紐づけるという新しい機能(自宅の部屋ごとにプレイリストを保存可能)

とユーザー体験もARにより着実にアップデートされています。

関連記事)音楽・ライブをARでアップデートする|事例から見る、映像やライブ体験のイノベーション

※ARを活用した映像制作・消費者向けARアプリケーション開発のご相談はこちら

美術館・博物館・アート展示のAR活用事例

実空間で文化・芸術作品やサイエンスなどをテーマとした展示を行う美術館・博物館もARを積極的に活用しています。

AR技術がミュージアム・展示と相性が良い理由は大きく

1.機能性:説明やガイドを多言語対応させることが可能
2.学習効果:興味を引く展示や体験型の展示により、来場者の学習効果を促進する
3.費用削減:ARアプリで展示物で開発することで、低コスト化が可能

の3点に集約されます。

スミソニアン博物館も活用、骨格標本が生き返り、動き出す演出

分かりやすい事例を紹介すると、アメリカを代表するスミソニアン博物館の中の「国立自然史博物館」では専用のアプリケーションがインストールされたタブレットを骨格標本の前にかざすと「肉付けされ、3Dのアニメーションで動き出す」という体験を楽しむことができます(上記動画をご覧ください)。

このような体験をすることで、ユーザーは楽しみながら動物の生態を学ぶことができるのです。

※美術館や博物館のAR活用方法の詳細や国内外のユースケースはこちら:

小売、EC業界のAR活用事例

小売業でのAR活用で先行したのはIKEAですが、とうとうAmazonが現実世界に家具・家電を実寸大で3D表示する「ARビュー」の提供を日本でも開始しました。

現在小売におけるAR活用は

  • ネットショッピング(Eコマース)における実寸大表示、CVR(購買率)の改善
  • 実店舗におけるユーザー体験の拡張

の2軸において活用が進んでいます。

家具(インテリア)ECは、ARのユースケースが多い

「ARビュー」は、iOS / Android版の「Amazonショッピングアプリ」で利用可能です。

スマホの画面を通じて、大型家具など単なる画像ではわかりにくい実際のサイズ感をあらゆる角度で確認できるようになったのです。まだまだ対応商品は少ないものの、ARビュー対応商品のページを開き、商品画像の下にある「部屋に表示(ARビュー)」をタップすることで利用できます。

Amazonは今後、家庭やオフィス向け製品数千種類 (家具、電子機器、おもちゃ、ゲーム、室内装飾等々 )をARの中で確認できる機能を提供していくとのことです。

※関連記事: WebARとは?業界別の活用事例から開発方法まで徹底解説

家具メーカーの「LOWYA」、ニトリやIkeaも出品するインテリアECアプリ「RoomCo AR」など、主にインテリアECでのAR活用が盛んですが、その背景としては

  1. 導入コストの低さ:家具メーカーは商品の3Dデータを持っており、AR導入コストが低い
  2. 商品と価格の特性:商品が高単価かつユーザーの使用期間が長いため、ECでのユーザーの購買活動が慎重であったが、ARの「試し置き機能」でCVR改善しやすい

という特徴が挙げられます。

インテリアEC領域でのARの活用事例などは、こちらを参考にしてみてください→)家具をARで配置する!シミュレーションアプリ・インテリアECのAR導入事例5選

ARによる実店舗体験の拡張

HIPANDAは欧米を中心に幅広い層に指示されているブランドで。

2019年に表参道にオープンした旗艦店「HIPANDA OMOTESANDO FLAGSHIP SHOP」でARを活用したショー展示を行い、非常に話題を集めました。

もはやエンターテイメント施設とも言えるようなユーザー体験を生み出す店舗はになっており、「実際に行ってみたい」というファン層に強く指示されています。

今や店舗体験に求められているのは、ネットショッピングでは味わうことのできない「ユーザー体験」。体験拡張という点でARは大いに貢献すること間違いありません。

※小売業界の最前線、ARの活用方法や導入メリット:EC・コマースのAR導入事例|小売業界のAR活用の効果・メリットを徹底解説

ファッション業界のAR活用事例

ファッション業界でのAR利用は、

  • ネットショッピングにおける仮想試着
  • 店舗におけるAR装飾(ブランド世界観をユーザーが体験)

の2点。

サイネージ型で提供されることが多く、技術の進歩により、 まるで実際に試着しているように体にフィットした仮想試着が可能 となっています。店舗に在庫がなくてもAR試着をしていただき、あとで商品を郵送などするによって販売機会損失を防ぐことができます。

AR試着は、ウェディングドレス選びなどでは一般化しており、顧客は大量のドレスから気に入ったものをまずは仮想的に試着し、ある程度絞り込んでから実際に試着するといった流れになっています。

また、最近では店舗やファッションショーでARを活用した事例もあり、”物”を使わないことでブランドの世界観をCGで演出することでユーザーの店舗体験満足度を向上させる取り組みが行われています。

※アパレル・ファッション業界のAR活用事例:アパレルのAR活用事例|ファッション業界の国内最前線レポート!

QRコードで商品を確認する仮想店舗

また、2019年2月にはレゴ・ウェアとスナップチャットはARを活用し、店内に服がない洋服店をロンドンで限定オープンしました。

店内には商品が置かれず、 あるのは台座に設置されたスナップコード(スナップチャット版QRコード)のみ となっています。買い物客はこのコードを読み込むことで、双方向型のDJブースやレゴの形をしたエア遊具、アーケードゲーム機、そして購入可能な限定商品が用意された仮想店舗に入店できるのです。

美容(化粧品・コスメ)業界のAR活用事例

資生堂では2017年から リアルタイムでメイクを自動合成する「カラーシミュレーション」 を提供しています。

しかし、魚谷雅彦CEOは対面販売の比率が多い同社の状況を問題ととらえ、10代や20代の消費者は対面販売ではなくオンラインでの買い物を好む傾向があると分析しました。

そこで、AIやARなどの技術の専門家獲得に向け、シリコンバレーなどテクノロジーの中心地で小規模のスタートアップ企業と提携、さらには買収に踏み切りました。

AR技術を利用したメイクシミュレーションアプリはもはや業界的には必須ともいえる状況になっており、ビデオ会議の普及により「バーチャルメイク」の形でもニーズが拡大しています。

これ以外にも、髪型や髪の色をARで試すソリューションも登場しています。

ロレアルがAR会社を買収でヘアスタイルを試着

2018年には卓越したAR技術を持つModiFaceを業界最大手のロレアルが買収すると発表されて世界中で話題になりました。

※化粧品・コスメ業界のAR活用事例はこちら:ARでメイクをお試し!化粧品・コスメ業界のバーチャルメイク活用事例・アプリ

観光業界のAR活用事例

観光とARは非常に相性の良い組合せです。

クールジャパンの流れで、各観光地では名勝などで観光ガイドが各国語で流れる観光地アプリが多数登場しました。ARというとCGのイメージが強いですが、 音声ガイドも立派な拡張現実の一つ です。

また、失われた天守閣などをARで再現するといったものもあり、観光アプリは大人気となりました。

ARを活用した「聖地巡礼」で観光客が増加

ARの利用にさらに拍車をかけたのは、アニメの舞台となる場所をめぐる、いわゆる「聖地巡礼」です。当初は、作中に出てくる地方の作品舞台にアニメキャラの看板が出ているだけだったのですが、ARの利用により「アニメキャラがあのシーンのあの場所で写真に撮れる」というマニアには垂涎ものの利用法が確立したのです。

聖地巡礼アプリの優れたところは「現地に行かなければならない」ということで、これは地元の観光産業にとっては非常にありがたいものでした。ここ数年は、意図的に実際の地方の舞台を選んで作品を作るケースも増えてきており、街並みを忠実に再現しているのです。

※アニメを用いたARの活用事例メリットの記事:アニメ・キャラクターのAR事例5選 費用感や活用メリットを解説

※「AR×観光」の活用事例や流行の背景を徹底解説した記事:観光でのAR活用事例|アプリ・パンフレットによる町おこしプロモーションの効果やメリット

教育領域のAR活用事例

教育分野でのAR利用はeラーニングの延長線上にあります。

ARでは、教科書に動画や音声を追加できるので、DVD等を別途視聴するよりもよりシームレスに生徒に訴えかけることができます。

DVDですと、どうしても30分とか60分とかある程度の長さの動画を視聴する形になりますが、ARを活用すると文字の情報のプラスアルファとして短い動画や音声を小刻みに体験することができることが強みです。

ARでただの映像ではない臨場感ある授業に

また、通信教育でもARの活用は進んでおり、日本のN高ではMRを使用した授業システムが構築されています。生徒はHoloLensを着用して多人数での授業風景をシェアすることができ、 立体模型などを活用した授業も、データの追加だけで実施可能となっています。 

当初は東京の講義を大阪で聴講するといった遠隔授業に用いる予定で、「本当にやりたいのは距離感を取り入れること」だと同システムを開発したドワンゴの岩城氏は語ります。

「画面があって、その画面で先生が話しているのを聞くのではなく、多少画質が落ちようとも、『ここに先生が立っている』という姿が見えて、そして『先生も自分を見ているんだ』という感覚を得ることで授業は変わると思う」

と述べています。

ARを教育領域に活用した国内外の事例や活用メリット解説した記事:ARが教育を変える|活用事例・アプリから学習効果や導入メリットを分りやすく解説

このように各分野におけるARの利用方法はそれぞれですが、決して奇をてらった使い方ではなく、業務効率化やコストダウンを目的にした実用的なものが多いのが特長です。

まだまだアイディア次第の部分はありますが、ARグラスの低価格化に伴いARの業務利用は今後も更に進んでいくものと確信しています。

ゲーム・エンタメ領域のAR活用事例

「スマホ越しに現実空間にアニメやゲームのキャラクターを登場させることができる」という特性からARはエンタメ・ゲーム領域でも活用されています。

方向性としては大きく

  • 企業のプロモーションを含めた企画コンテンツ
  • スマホ向けARアプリケーション

の2種類。それぞれの事例を紹介していきます。

渋谷5GエンターテイメントプロジェクトでのAR活用

AR/VR技術を使い「バーチャル渋谷」を現実空間に重ねて様々なエンターテイメントを届ける「渋谷5Gエンターテイメントプロジェクト」でARが積極的に活用されています。

渋谷の街をスマホでかざすと飲食店情報がARで表示されたり、空中を漂う様々なオブジェクトによって街を彩ったり、デジタルアートを展示したりと、様々な企画を段階的に実施していく予定です。

スマホARゲーム:ハリーポッター魔法同盟

映画「ハリーポッター」シリーズという超強力なIPを利用したARゲームが、「ハリーポッター魔法同盟」です。

開発するのは、ポケモンGOを開発するナイアンティックで、基本的なシステムはポケモンGOと同様で、位置ゲームにAR要素を付与したものになります。

世界観の設定は、プレイヤーは魔法界の住人となり、現実世界に現われた魔法生物や魔法使いたちを元の世界に戻すために奮闘します。

普通の人間社会(マグル)と魔法世界という2つの世界を描く映画「ハリーポッター」と、現実世界とゲームの世界を融合させるARとの相性がまさにピッタリ。プレイヤーはゲームの世界にグイグイと引き込まれることでしょう。

※関連記事:ARエンタメ・ゲームまとめ|アプリからエンタメ領域の活用方法まで徹底解説

商業施設・店舗・不動産のAR活用事例

ARは現在様々な商業施設で活用されており、その背景としては大きく4つに集約されます。

  1. 話題性:集客効果が見込めること
  2. コストの低さ:低価格で店舗のリニューアル、装飾入れ替えが可能であること
  3. 汎用性:他の商業施設への展開もしやすいこと
  4. 収益性:回遊施策の実施により顧客単価の向上が見込めること

渋谷パルコのAR/VR展示を、1ヶ月で25,000人が体験

2019年11月にリニューアルオープンした渋谷パルコの5回では、様々なAR/VRコンテンツを体験できます。

オープンスペースや通路、中央の吹き出しなどの空間を有効活用したインスタレーションコンテンツで、体験者数はオープンから1ヶ月で25,000人を突破しました。

このような新たな体験を提供することによって、リアル店舗を訪れる機会が減少しているという若者世代を呼び込むことに成功しています。

集客から購買まで、ユーザー行動をデザインするAR

上で紹介したパルコの事例は「顧客の呼び込み」や「顧客の来店満足度向上」に寄与するものですが、加えて、「スタンプラリーなど、顧客の回遊を促進するARアプリケーション」を導入することで、スタンプ周辺店舗やルートに隣接する店舗の認知拡大・経済効果も期待できます。

  1. 話題性のあるコンテンツで顧客をリアル店舗に呼び込む
  2. ARコンテンツで施設内を回遊させ、ユーザーの消費行動を活性化
  3. 施設内でARエンタメコンテンツを提供し、来店満足度を向上。リテンションを強化。

という形でAR活用は可能であり、まさにARは商業施設は相性が良い技術であると言えます。

AR導入・活用を検討されている方はこちらからご連絡ください。

※参考記事:商業施設・店舗のAR活用事例|回遊施策の効果やコンテンツの企画方法など

住宅・工務店・建材・リフォーム業界のAR活用事例

リフォーム施行会社である「パナソニックリフォーム株式会社」も運営するパナソニックがリリースしたのが、フローリングを簡単にシミュレーションできるARアプリの「Flooring AR(フローリングAR)」です。

フローリングARは、その名の通り部屋のフローリングのデザインや色などをシミュレーションできるARアプリ。30種類以上のフローリングの中から、自分の部屋や好みにピッタリ合ったものを選ぶことができます。

例えば、リフォーム・リノベ業者や、ハウスメーカー・工務店の担当者方であれば、顧客に対して建材のシミュレーションを行う営業シーンでARを活用できます。

実際の施工場所でARを使って、エクステリア・インテリア商材や壁材・床材を仮想で配置する「ARシミュレーション提案」を行うことで

  • 豊富な提案パターンにより購買率の向上が期待できる
  • 商談時間の短縮が期待できる
  • 既存のCAD制作コストが削減できる

といった様々なメリットを生み出すことができます。

顧客へのプレゼンテーションツールとして、ARアプリの利用は非常に有効です。

本メディア運営元の株式会社x gardenはインテリア・エクステリア業界の大手企業へのAR開発実績がありますので、こちらからお気軽にご相談ください。

※住宅・工務店・リフォーム業界のAR活用事例はこちら:リフォーム・リノベーションをARで提案!内装シミュレーションアプリ・事例集

AR開発・事業化支援を行うおすすめの会社は?

ここまで様々な業界のAR活用事例や活用方法を紹介してきましたが、本メディア「XR-Hub」を運営している株式会社x gardenはXR事業導入コンサルティングを展開しています。

国内の大手観光会社、大手通信会社を始めとした実績が多数あり、国内外の「各産業×AR/VR」の事例収集や事業規模の産出・新規事業の企画・計画書の策定からアプリ・デモの開発まで幅広く支援を行っています(自社でエンジニアを採用しています)。

  • ARやVRを、自社の既存事業に導入することを検討している
  • ARやVR部門を立ち上げたい

こんなニーズがある企業担当者の方にはリサーチや要件定義書の設計、開発を含めご要望に応じたコンサルティングを行なっておりますので、

もし「話だけでも聞いてみたい」と興味がありましたらこちらからお問い合わせください。


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