ARの医療応用-最新の事例や医療手術の革命に迫る


2018年に入り本格的に業務利用が進むARですが、大きな需要がある分野が医療業界です。

ARやVRは医療現場においても非常に有効と言われ、CTデータから内蔵組織の3D映像化が可能することで「体内の可視化」「手術トレーニング(手術シュミレーション)」そして「遠隔医療」といった利用分野で応用されます。AR×医療の技術応用は、シミュレーションだけでなく遠隔医療などの実用的な使われ方をしていることが特徴です。

今回は、実際どのように医療現場でARやVRが使われているのかを具体例をもとにご紹介します。

 ARが医療にもたらす影響

ARやVRはエンターテインメント用途だけでなく、実は建設現場や物流現場での業務利用が始まっています。

例えば、地中に埋められた配管をARで可視化する、作業手順をARゴーグルに表示し非熟練作業者を戦力化する、といったことに使われていますが、同じことが医療現場でも起こっているのです。

医療現場でのAR/VR利用は、手術のシミュレーションや遠隔医療と言った、非常に現実的な目的で進められているのが特徴です。

AR医療

まず手術には執刀者だけでなく複数の人間が関与しますが、事前の術式説明の認識合わせは極めて重要です。

3DCGを使って関係者に情報を共有することで、文字や写真だけでは伝わりにくい患者の特徴などを詳しく伝えることができるのです。

当然ながら3DCGを使って手術のシミュレーションを行う用途にも使われています。

模型を使って練習する方法もありますが、どうしてもコストが高くなり、模型作成に時間もかかるため、CT写真だけで3DCGモデルを作ることができるARはコスト的にも有効なのです。これは患者に症状や術式の説明を行うケースにも利用されています。

AR医療2

さらに医療現場では、特に過疎地における医師不足が大きな問題になっています。

ARやVRが利用されるの分野の一つは遠隔医療であり、熟練の医師が遠隔で手術の方法を指示し、現地にいる実際の術者がその指示に従って執刀するのです。手術は当然ながら専門分野/得意分野が細かく分かれており、経験のない手術を行うケースがどうしても発生します。

その場合に熟練医師の補助を遠隔で得られることは大きなメリットなのです。

これには戦地などで負傷兵の緊急手術などにも想定されており、設備が整っていない緊急的な状況でもARを活用することにより命を救える確率が確実に増すのです。また新しい医療機械は操作も複雑なケースが多く、しかもミスが許されません。

このように医療器械の操作説明にARが使われているのです。実機にAR画像の操作手順をオーバーレイさせることで一目瞭然に操作を説明することができます。

このように医療現場でARは非常に現実的な用途で利用されているのが特徴です。

※VRの医療分野における活用例やVRが今後医療にもたらす変革点についてはこちらをご覧ください。

AR×医療で取り組む会社の紹介

それでは具体的にARやVRを医療に活用しているベンダーをご紹介しましょう。

 外科医用VRシミュレーター「ImmersiveTouch」

外科用の手術シミュレーターです。

ImmersiveTouchは習得難易度の高い外科手術トレーニングツールを提供しているVR企業となります。

患者の状況は全員が同じではなく、また執刀医にとってはじめての手術ということもありえます。CTスキャンのデータを読み込み、仮想空間上に患者の内蔵を再現し、執刀医は手術のシミュレーションを行うことができるのです。

また、ImmersiveTouchでは手術のリアルな感触を生み出すため、力覚フィードバック装置PHATOMが、切開部位や摘出時のリアルな感触を体験者にフィードバックします。

このフィードバック装置により、手術時の感触をリアルに再現してくれます。

STAR(System for Telementoring with Augmented Reality)プロジェクト

STAR(System for Telementoring with Augmented Reality)プロジェクトとは、遠隔医療の支援アプリになります。

デモ動画では戦場が想定されており、熟練した医師が遠方にいる状況で、現場で執刀する医師に対して指示をAR上で出している様子が収められています。

このように、その術式に執刀経験のない医師が手術を担当することは十分に考えられ、過疎地や離島で医師不足の問題がある日本でも活用できるシーンは多そうです。

ヒューマン・アナトミー・アトラス2018

ヒューマン・アナトミー・アトラス2018

 

人体の詳細なデータをARを用いて確認することができるアプリケーションです。

これを見ると全然関係ないのですが、映画「インビジブル」を思い出しますが、男性と女性の3D解剖モデルを現実空間にAR表示できるほか、各器官を解剖学レベルで確認することができるようになっています。

このアプリはリリースされており、iOSで利用可能です。

HoloEyes株式会社

HoloEyes株式会社は医療分野に特化した、日本のVRスタートアップです。

患者のCTデータをポリゴンに変換し、VR機器で確認できるクラウドシステムなどを提供しています。CTデータというどこにでもあるデータから3Dデータを生成し、立体画像化できるという点が非常に優れています。

言葉で説明するよりも、以下の動画を見ていただいたほうがわかりやすいと思いますので、ぜひご覧ください。

HoloeyesXR

VR/MR医療向けサービス 「HoloEyes VR(ホロアイズVR)」 from Infinity Ventures Summit on Vimeo.

まとめ

国内の医療分野で使われるVR・AR・MRの市場規模は2021年に約153億円、2026年には約342億円と言われています。

医療の革新が速い米国では、手術室そのものをVR化し、仮想手術室の中で各メンバーが術式の事前確認をしたり、トレーニングをしたりするのが普通になっています。その結果、すでに10人に6人がVRを使用していると言われています。

従来の献体での手術練習ではなく、仮想空間ではあらゆる形で模擬的な手術環境を構築することができるのです。

医療業界でのAR/VR利用はこのように非常に現実的な使い方をされていることが特徴で、医師不足の問題を抱える日本でも活用シーンが急速に拡大しそうです。


AR医療2

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Kohei Imaizumi

今泉滉平:株式会社x garden執行役員 CCO / XR-Hub 事業責任者