fbpx

商業施設のAR事例6選|活用メリット・企画方法を解説


オンラインショッピングの普及・充実により、商業施設をはじめとしたリアル店舗は「いかにして顧客を呼び込むのか」が課題になっています。

今回の記事では

  • ARとは?商業施設や不動産店舗におけるAR活用方法
  • 商業施設・ホテルなどの不動産とARの相性が良い理由
  • 実際の不動産空間でのAR活用事例

といった点を取り上げます。

ARってどんな技術なの?という方から、ARを活用したいけど、どうした良いか分からないという企業担当者まで、参考になる情報が満載です。ぜひ最後までご覧ください。

商業施設(百貨店)・店舗における3つのARの活用方法

商業施設(百貨店)における不動産ARの活用方法を探る前に、そもそもARとはどんな技術なのか?という点を始めにしっかりと押さえておきましょう。

AR(Augmented Reality)とは?

AR(Augmented Reality)は「拡張現実」と訳され、現実世界にCGなどの映像や情報を『拡張』表示させる技術のことです。

ARとよく似た技術にVR(Virtual Reality)がありますが、実はVRとARは本質的に大きく異なります。

  • AR=拡張現実;現実世界に仮想世界の情報を拡張表示する
  • VR=仮想現実;仮想世界に5感を没入させて体験する

VRは専用のヘッドセットを装着し、現実世界では体験できないような仮想空間を楽しむことができます。

活用方法1|ARで店舗や商業施設を装飾する

では、実際にARを商業施設や百貨店でどのように活用できるでしょうか?真っ先に考えられるのが、不動産空間の装飾にARを利用することでしょう。

たとえば、ARを活用すると店内にランウェイを『設置』して、ARファッションショーを開催することも可能です。

上の動画は、オンワード樫山がMESONとコラボしてJOSEPHの2019秋冬コレクションをARで実施した様子です。

事前に専用のスタジオでモデルの360度撮影を行い、東京ミッドタウンのジョゼフショップ内でAR表示させました。

来店客が対応アプリをインストールしたスマホやタブレットをARマーカーにかざすと、百貨店内に3DCGのランウェイとモデルが出現。

モデルは360度撮影されているため、回り込んだり、後ろ姿を確認することも出来ます。

ARランウェイだけでも来店者にとっては特別な体験となりますが、気に入った服やアイテムはリストに追加してガジェットに保存することもできますし、もちろんその場で購入することも可能。

ARランウェイは、ARの利用方法の一つの例に過ぎません。他にもアイディア次第で様々な店内装飾が考えられます。

アパレル・ファッション業界のAR活用事例・トレンドはこちら

ARを不動産に活用することによって単なる装飾やオーナメントにとどまらず、ワクワクするような体験を提供することによる集客効果や、販売にも直接つなげられる施策を打つことができるのです。

活用方法2|ARを活用した展示を商業施設(百貨店)で行う

ARは店内や施設内の装飾内ではなく、展示としても活用可能です。

埼玉県のショッピングセンター「モラージュ菖蒲」では、改装中の施設内で恐竜がAR展示される施策を実施しました。

これは学研が発行する「学研の図鑑LIVE」とのタイアップ企画で、ARマーカーが組み込まれた恐竜の大判ポスターにスマホなどのガジェットをかざすことによって、目の前に恐竜がAR表示される仕組み。

そのままだと味気ない改装中の真っ白な壁が、ARによって恐竜の展示スペースになるわけですから、子どもたちは大喜び。

ARを活用することで、空間に付加価値を生み出すことが可能です。

活用方法3|スタンプラリーなど、ARを活用した施設内回遊施策を打つ

展示や装飾にも関連してきますが、ARをショップ内だけではなく、ショッピングモールなどの施設全体で実施することによって効果的な回遊施策とすること可能です。

実際に、イトーヨカドー各施設では昨年のハロウィンの時期にハローキティとコラボした「ハローキティARスタンプラリー」を企画し、来店促進とエリア回遊施策に活用しました。

スタンプラリーをコンプリートするとオリジナル待受画面がゲットできるということで、来店者からの評価も非常に高かったとのこと。

施設内の様々な場所でARコンテンツを楽しめるため、回遊率を高められるだけではなく、ファミリー層の来店満足度を高める効果的な集客施策となりました。

ARアプリを効果的に配置することによって、商業施設内の回遊率を高めることはもちろん、特定のエリアに誘導するようなコンテンツも配信可能です。

来店者を回遊させることで滞在時間の増加、全体的な売上増加も見込めます。

さらに、ARは基本的にスマホで楽しむため、SNSへのシェア・拡散も期待できるというメリットも見逃せません。

家族で楽しめるARスタンプラリーは、口コミによる新規顧客・リピーターの来店も期待できる、商業施設や不動産店舗にとっても非常に有効な施策となるでしょう。

これらは、アニメや映画の元となった場所を訪れる「聖地巡礼」とも相性が良く、観光領域でも導入されつつあります。

※参考記事:観光でのAR活用事例|アプリ・パンフレットによる町おこしプロモーションの効果やメリット

商業施設とARの相性が良い理由4つの理由

ARが単なる一時的な施策としてではなく、商業施設やホテルなど含む不動産ホルダーが本気で取り入れるべき理由は大きく4つあります。それは

  1. 話題性:集客効果が見込めること
  2. コストの低さ:低価格で店舗のリニューアル、装飾入れ替えが可能であること
  3. 汎用性:他の商業施設への展開が可能である
  4. 収益性:回遊施策の実施により顧客単価の向上が見込めること

の4つです。1つずつ解説していきましょう。

1.話題性:集客効果が見込める

引用元の参考ニュース

ARは文字情報や一枚絵だけではなく、映像コンテンツとして提供することが可能であり、一般的な広告よりも利用者の興味や関心を引きつけるのに適した表現技術です。

最近は特に、押し付け型の広告は一般消費者に敬遠される傾向が強くなってきています。

ところが、ARは自分からガジェットをかざして情報を読み込むという自発的・体験型の要素が強いため、消費者への訴求力も強くなります。

※ZARAの店舗を活用したARキャンペーン

ARという最新のテクノロジーを上手に広告やプレゼンテーションに用いれば、利用者に「面白そう」という好奇心を呼び起こさせるとともに、商品や店舗を訪れるための強い動機づけを与えることができます。

他社とは一味違ったARならではの広告やプレゼンを打ち出すことによって、ブランディング効果を高めるとともに、集客効果も見込むことが可能なのです。

※参考記事:2020年ARの広告・プロモーション活用事例|仕組みやメリットなど徹底解説

2.コストの低さ:低価格で店舗のリニューアル、装飾入れ替えが可能であること

ARは現実の世界に3DCG映像を拡張表示させる技術ですから、

  • 展示や装飾のための場所を広い場所を確保
  • 装飾のための大掛かりな床や壁の張り替え

といった、物理的な負担が非常に少なくなります。

さらに、リアルでは実現不可能な装飾もARなら問題ありません。

プロジェクション・マッピングのように店舗内の壁や床などへ好きな演出を施すことができます。

例えば、上の写真のように店舗内に満開の桜の木を映し出すこともARなら可能です。

こういった季節・イベントに合わせた店舗装飾を低コストで実現できる点はARの強みです。

こういったキャンペーンはホテルやリゾートなどの空間を保有する企業でも活用できる施策だと言えるでしょう。

3.汎用性:他の商業施設・不動産への展開が可能であること

商業施設がARを導入するメリットの1つが「汎用性」。

デバイスなどのハードウェア・デバイスとソフトウェアがあれば体験できるため、 基本的には低コストで他の商業施設や不動産・ホテルで同様のコンテンツを展開することが可能です。

ARはARマーカーをスマホやタブレットで読み込むことによって映像がが表示される仕組みなので、マーカーとアプリケーションさえ用意すれば、どの店舗でも同じARコンテンツを利用できるからです。

全国にARコンテンツを展開できる空間ホルダーであれば、一定コストを投下して専用アプリを開発したとしても、投資回収出来る可能性も高くなります。(その場合でも、アプリの開発費用は安いものであれば数百万円程度でも開発可能です)

4.収益性:回遊施策の実施により顧客単価の向上が見込めること

「ショッピングモールに訪れた人に、なるべく多くの店舗を訪れてもらい、滞在時間を長くすることで全体的な売上を向上させる」といった顧客単価を増加させることが、ARでは可能です。

たとえば、ARスタンプラリー。

ARスタンプラリーはマーカーをスマホでかざすだけでポイントをためていくことができます。台紙も必要ないので、ショッピングモールなどでの利用にも最適です。

商業施設内の各所にARマーカーを設置し、それぞれに顧客を誘導することで周遊効果を高めることも期待できます。

また、ポイントカードやショップカードをAR化することによって、プッシュ通知によるセール情報の提供よるリレーションシップの構築も可能です。

ショップカードの裏面にQRコードを印刷するだけでプロモーション動画が見られたり、Webサイトへの誘導によるアクセス数増加も見込めるので、小さなショップでも活用できますね。

※商業施設・店舗のAR活用方法を詳しく知りたい方はこちら

事例1.渋谷パルコでARを活用したインスタレーション作品が展示

2019年11月にリニューアル・オープンした渋谷パルコ。

その渋谷パルコ5階のフロアーでは、ARを活用した様々な展示や企画を展開しています。

「World’s end supernova」と名付けられたDiscount氏の作品は、水槽に見立てた空間が、利用者の操作によって様々に変化していく架空のシュミレーターをイメージしたもの。

操作する人によって見えるものが変化する、ARならではのインスタレーションが楽しめます。

 

このように、リアルな空間を利用した、様々なARインスタレーションを展示する試みは来店者の興味を強く引き、PARCOのAR/VR展示は体験者数が1ヶ月で25,000人を突破しました。

※参考記事:https://www.parco.co.jp/pdf/jp/cname_20200116160056.pdf

こうした新たな体験を提供することによって、リアル店舗を訪れる機会が減少しているという若者世代を呼び込むことに成功しています。

関連記事)ARアート作品・作り方|事例から見る、テクノロジーによる芸術作品のアップデートとは

事例2.EXPOCITYでARを活用したスタンプラリー企画が実施

大阪の万博記念公園内にある日本最大級の大型複合施設・EXPOCITYでは、施設内の映画館で「恐竜絶滅の日」「リトルダイナ」の2本の恐竜映画を上映した際に、ARを活用した「恐竜スタンプラリー」イベントを開催しました。

このスタンプラリーの主旨はEXPOCITY内に隠された恐竜をパネルを見つけてスタンプを集めること。

スタンプをすべて集めたあとに答えられるクイズに正解するとゴンドラ乗車割引券や、施設内で使えるクーポンがもらえる仕組みでした。

恐竜のパネルはEXPOCITY内の様々な場所に設置されているため、回遊率を高めるとともに、親子連れで楽しめるイベントとして非常に好評だったようです。

先ほども述べたとおり、スマホだけで気軽に参加できるARスタンプラリーは、商業施設などの回遊率向上のための施策として有効です。

台紙を使う通常のスタンプラリーと違って、ARスタンプラリーなら次のポイントへのヒントを表示させたり、特定のエリアに誘導することも容易になります。

親子連れで参加できるため、イベントの満足度も総じて高く、商業施設のブランディングにもつながります。

ぜひ一度、ARスタンプラリーの施策を検討してみてください。

事例3|よみうりランドが「アート水族館」を新設、ARも活用

創業70周年を迎えた「よみうりランド」が、10年後の利用者を2倍にまで増加させる成長戦略を発表しました。

よみうりランドの計画では、エンタメ植物園とアート水族館を新たに設置し、遊園地の枠組みを超える「スーパー遊園地」へと変貌していきます。そのアート水族館では、ARが積極活用される計画です。

よみうりランドが新設するアート水族館では、一つ一つの水槽をアート作品に見立てて展示しますが、ARでさらなる驚きを提供します。

アート水族館の来場者は、ARで魚が浮かび上がり、水槽と融合して自らが水中にいるかのような体験が味わえるとのこと。

よみうりランドは実はこれまでもARを積極的に活用しており、AR撮影会やARフォトブース、ARスタンプラリーなど様々な企画を実施してきました。

新設されるアート水族館は、これまでのAR施策実績を活かしつつ、我々もこれまで見たことがなかったようなAR体験が楽しめそうです。

事例4|次世代型テーマパーク「リトルプラネット」でもAR体験が可能

株式会社プレースホルダが企画・開発・運営を行う「リトルプラネット」は、『遊びが学びに変わる星』をコンセプトに、子どもたちが自ら考え、他社と触れ合いながら新しい世界を創造していく次世代型テーマパークです。

そのリトルプラネットのアトラクションの一つ、「AR砂遊び」では、砂場と映像を組み合わせた未来の砂遊びが楽しめます。

AR遊びでは砂場の形によって様々な演出が発生し、宝箱や生き物探しなどを通して子どもたちの知的好奇心や想像力を刺激します。

その演出も非常にリアルで、たとえば宝箱探しなら、実際に掘った分の砂の深さだけARの砂も掘られるなど、現実世界と同様の体験を得られます。

砂遊びは子どもたちにとって創造性を磨ける大切な遊びですが、子どもたちの外遊びの現象や砂場の衛生面での問題などによって、都会ではなかなかそうした機会に恵まれません。

リトルプラネットのAR砂場なら、ARという最新技術を用いた安心・安全な砂遊びを楽しめます。

リトルプラネットはダイバーシティ東京やららぽーと和泉、mozoワンダーシティ名古屋など、全国の大型ショッピングセンター内に展開。

子どもたちはもちろん、大人にとっても興味深いARを使った新しい『遊び』の世界を覗いてみてはいかがでしょうか。

事例5|NIKEはパリの店舗でシューズをAR展示

フランスのパリ・シャンゼリゼ通りに構えるNIKEのショップでは、ARでスニーカーのデザインを試せるAR展示が設置されています。

このAR展示では、真っ白なNIKEのスニーカーに、自分の好きなデザインや色を自由に配置出来ます。

単なるCG画像ではなく、実際のシューズにARを用いてデザインを反映させているため、CGを用いたAR以上にリアルな仕上がりになっています。

もちろん、デザインしたシューズは実際にその場で購入可能。

世界に一つだけのマイ・NIKEシューズなんて、自分のお土産にも最高ですよね。

NIKEは最先端技術を積極的に取り入れる企業として知られていますが、ARも他社に先駆けて2016年からこうしたAR展示を始めました。

単なる物珍しさではなく、自分だけのオリジナルシューズを作りたいという消費者の願いを汲み取った、見事なARの活用事例と言えるでしょう。

※関連記事:ARをEC・店舗に導入する|11の事例から見る小売業界のアップデートと活用方法

事例6|ENDROLL社の周遊ゲームをアソビルが導入

ARを活用したエンタメコンテンツを開発・提供するスタートアップ、株式会社ENDROLLは『遊べる駅チカビル』をコンセプトとした複合型体験エンターテイメントビル「アソビル」を運営しています。

そのアソビルで提供されている「アソビルパーティ 〜とびだせ!アソビルモンスター〜」は、アソビル内を周遊しながら各所でARによって出現するアソビルモンスターとミニゲームを楽しみながら物語を進めていく新感覚の周遊ARゲーム。

ゲームの達成率に応じて、オリジナルグッズがゲットできます。ミニゲームは小さなお子さんでも楽しめるものですし、所要時間も30分程度なので、他コンテンツの空き時間など、親子連れで気軽に楽しめます。

商業施設・百貨店・ホテルなど不動産アセットを活用したARコンテンツの企画・開発会社

ここまで商業施設における様々なARの活用方法やユースケースを紹介してきましたが、本メディア「XR-Hub」運営元の株式会社x gardenはARアプリケーションの企画開発やARを活用したエンタメコンテンツ制作のご相談を初回無料で承っています。

国内最大手の観光会社・通信会社、製造・エクステリア会社を始めとした様々な開発実績があり、豊富なクリエイターのアサインが可能ですので、

  • ARを自社の商業施設で活用したい
  • 自社の新規事業でAR/VRを活用したい
  • AR/VRに取り組みたいが、何から始めたら良いか分からない
  • 技術や市場の調査をお願いしたい

という企業担当者の方はこちらからご相談ください。

関連記事)【2020年最新|ARビジネス活用事例11選】効率化や精度の向上などAR化のメリットに迫る

まとめ

消費者のショッピング・スタイルの変化から、商業施設や各ショップでは来店者を呼び込むための工夫をそれぞれ行っています。

今回紹介したようなARの施策は、集客効果や回遊率の向上だけではなく、ブランディングなどにも役立ちます。

近い将来、商業施設や不動産店舗・ホテルでARを活用することは当たり前のことになるでしょう。

いち早くARを活用することが、他社との競争にリードすることにつながります。

ぜひ今回の記事を参考に、ARの活用を検討してみてください。


この記事はいかがでしたか?
もし「参考になった」「面白かった」という場合は、応援シェアお願いします!

株式会社x gardenが運営するXR-Hubの記事編集部です。

読者の皆様に役に立つ情報を発信いたします。

シェアする