最新のVR技術から将来像(フルダイブ)・技術応用まで進化を紐解く
最新のVR技術はどこまで発展しているのでしょうか。そして、今後どこまで進化していくのでしょうか。
今回は、VRの技術について徹底的に解剖し、「そもそもVRってどんな技術?」「現在どこまで進化しているの?」「未来のVR技術って?」「フルダイブとは?」といったあらゆる疑問にお答えします!
Contents
VR技術について:VRの仕組み/最新デバイス
まず、VR技術について説明していきます。VRの概要をおさらいしつつ、最新のVRデバイスやVR技術の最新情報、そして「フルダイブ」といったVR技術の未来まで詳しく紹介しています。
VRとは:没入感を生む仕組み
そもそも、「VRとは何か」をおさらいしましょう。
VRとは「Virtual Reality」=「仮想現実」を指します。これは、現実世界にいながらもCGで作られた仮想空間にいるかのような疑似体験をする技術であり、VRゴーグルやVRヘッドセット、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)を使うことで比較的手軽に体験することができます。
VRに必要な技術は大きく、以下の二つになります。
・視覚へのアプローチ技術(3D映像を生み出す:プログラミング言語能力)
- プログラミング言語例:Unity C# Android SDK Xcode
- 3Dに見える仕組みについてはこちら
・聴覚へのアプローチ技術(3D ・立体音響を生み出す技術)
仮想空間を疑似体験するにあたり、デバイスは人の体に対し「視覚」「聴覚」という2つの角度からアプローチしています。
前者は、左右の眼に対しあえて別々の映像を流し、対象物の見え方のズレなどから「立体」と感じさせるというもの。ディスプレイに流す映像をunity、Android SDK、Xcodeなどの環境を利用し、プログラミングで作成します。
VRデバイスについて
では、ユーザー視点からVRを解説しましょう。最近では、VR Park Tokyoやスマホを使ったVRゴーグル、VRヘッドセットを始め、手軽なVR体験が可能になりつつあります。
そこで、家庭でVR体験を行う際に必要なツールについて解説していきます。
VRゴーグル
スマホ(iPhone/Android)を差し込むタイプのデバイスです(例:Gear VR、ハコスコ タタミ2眼、Canbor VRゴーグル、Virtoba X5など)。
特徴としては、値段が低いこと、そして解像度があまり高くないことが挙げられます。1000円~2000円で買えるものが多く、初体験のVRデバイスとしては手が出しやすい一方で、スマホの画面を使いVRの動画を見るため解像度自体は高いものではありません。
VRヘッドセット・HMDが数万円することを考えると非常にコスパが良いため、手軽にVR体験してみたいという方にはおすすめです。
VRヘッドセット/ヘッドマウントディスプレイ
VRヘッドセット(ヘッドマウントディスプレイ)とは頭部に装置するタイプのVRデバイスであり、PCやゲーム機に接続するとデバイスのディスプレイ部分に360°映像が表示されます。スマホに依存するVRゴーグルなどと比べると映像の解像度が非常に高い上、立体音響の精度も格段に上がります。
価格は数万円単位になるため若干購入のハードルは上がりますが、「VR体験」の質は非常に高くなります。代表的なVRヘッドセット・ヘッドマウントディスプレイは以下になります。
※詳しくはこちらの記事でVRデバイスを徹底的に比較していますので参考にしてみてください。
・Oculus Rift(¥50,000)
Oculus社製品の中でも特に臨場感を味わえる、現在のOculus社VRデバイス最高系がOculus Rift。Oculus Touchという専用コントローラーを両手に装着し、部屋に赤外線センサーを付けることでVR体験を行えるという本格デバイスになっています。PCなどの外部デバイスに接続してVR体験を行うため、購入の際はPCスペックの確認が必要です。
・Oculus Go(32GB :¥23,800 / 64GB:¥29,800)
外部デバイスには接続不要のスタンドアロン型でありながら、Oculus RiftやHTC Viveを超える解像度で快適なVR体験が可能なOculus Go。Riftと比べると価格も低く起動の操作性も良いため、30,000円以内で本格VR体験が可能として発売から大きな反響を呼んでいます。
HTC VIVE(¥64,250~)
Steam対応ゲーム数No.1、Oculus Rifttと並ぶ本格体験VRヘッドマウントディスプレイ代表格のHTC VIVE。こちらはRift同様、センサーや専属コントローラーを使い、部屋全体をVR空間化して体験する本格VRデバイスです。
必要なPCスペックや動作環境についてはこちらをご覧ください。
2018年4月には、解像度や装着感の快適さなどで大幅にスペックが向上した最新版HTC Vive Proが発売されたので要チェックです。
VRの最新技術 – 触覚やクロスモーダル・MRについて
マイクロソフトがついにVRを触覚に訴えかけた
記事冒頭で、VR体験における鍵を「視覚」×「聴覚」と記述しましたが、最新のVR技術では「触覚」までデバイスが支配し始めています。
Normal Touch / Texture Touchは常にユーザーの手の動きに連動しており、VR空間で対象物に触った際にユーザーは実際にその対象物を触ったかのような感覚に陥ります。指先の細かい感覚までVR内の体験と一致させる、五感の「触覚」をも取り込んだVR技術の進化は、VR体験を一つ上の次元へ引き上げようとしています。
クロスモーダルとは
クロスモーダルという言葉をご存知でしょうか。これはVRに限ったワードではありません。
五感が相互作用し、実際には感じていない感覚まで刺激を感知することを、「クロスモーダル」と呼びます。身近な例では、かき氷の味(すべて同じ味だが色の違いにより味まで変わっているように感じる)、風鈴(音により涼しさを感じる)などが挙げられ、クロスモーダルは過去の経験も大きく影響します。
まず、こちらのゲームをご覧ください。
このPSVRの「サマーレッスン」というVRゲームですが、一度NHKのクローズアップ現代という番組で取り扱われ、非常に話題になりました。
特に話題になったのがホスト・宮本武蔵さんが体験した際の以下の感想です。
「吐息が聞こえたんですよ。
すごいリアルでした。
息遣いが聞こえたときは、本当にドキドキしました」
実際にはソフト・デバイスにはそういったアプローチはなかったにも拘らず、宮本さんはVR内で女子高生が顔をぐっと近づけた際に、彼女に吐息を感じたのです。この現象こそが「クロスモーダル」であり、視覚・聴覚が触覚に相互作用し触覚が補完した例になります。
そしてもう一つの例:Meta Cookieがこちら。
Meta Cookieは視覚と嗅覚を使った味覚の補完作用になります。
HMD内に表示されるクッキーにそれぞれ臭いを重ねることで食べる人の味覚を変化させるものであり、加えてHMD内のクッキーの大きさを変えることで満腹感にも影響を与えることが分かっています。
見た目や香りにより食欲や食量が変化するという結果は、VRが将来的にダイエットなどにも応用されていく、という可能性を感じさせます。
VRの技術の未来 – フルダイブって?
VR技術の未来像を語る上で欠かせないのが、【フルダイブ】になります。
フルダイブとは五感をVR空間に接続しVR空間のアバターと一体化する体験のことで、ライトノベル:SAO(ソードアートオンライン)で一気に有名になりました。
五感すべてを仮想空間に没入させるためには、3つの技術が必要になります。
⑴脳から出力される信号を読み取りアバターの操作をする(出力)
⑵アバターが感じる五感を操作者にフィードバックする(入力)
⑶必要以上の感覚のフィードバックを遮断する(調整)
米軍は脳とPCを接続するテクノロジー研究へ70億投資するなど現在このフルダイブの研究は急速に進んでおり、2030年代にもフルダイブは実現すると言われています。
詳しくは、フルダイブについて説明したこちらの記事をご覧ください。
現在のVRの技術応用シーン:企業・医療のVR応用が加速
VR技術が応用されるシーンとしては、現在ではゲームが非常に大きな面を占めているものの今後あらゆる領域で応用されていきます。
ここからは、企業のVR応用例をいくつか紹介していきます。
医療(手術)への応用
まずは、医療分野への技術応用。現在アメリカを中心にVRでの医療応用が進んでおり、手術・手術トレーニング ・ヘルスケアといった分野でVR技術が活用されます。
手術学習を始めとした医療教育コストを下げる一方で手術の身体的記憶は得られるため、VR技術と医療分野の相性は非常に良いでしょう。
VR技術の医療応用へについてはこちらで詳しくご紹介していますので、良ければ参考にしてみてください。
企業の応用例
今後、さらにVR技術を企業や自治体が応用していくとされていますが、最新の応用例について見ていきましょう。
VR×観光
VRにより「実際に行っているかのような体験」が観光体験が可能になり、今後多くの企業がPRでVRの観光動画を制作していくと考えられます。
まるで現地にいるかのような臨場感のあるVR体験をすれば、実際に行ってみたくなる方も多いのではないでしょうか。世界中の観光地や大自然のVR体験が可能になりますが、今回はこちら・ハワイのVR動画をどうぞ!
VR×不動産
不動産業界へのVR技術応用としては、「内見をVRで行う」といった形で進んでいます。
不動産情報サイト・アットホームがVR系企業・ナーブ株式会社と提携するなど、VRの不動産応用は着実に進んでいます。あらゆるプラットホームでより手軽に内見が可能になれば、不動産業界もさらに賑わっていくでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
2016年はVR元年と呼ばれ、高性能なOculus Rift・HTC ViveなどのVRデバイスが登場し、様々なアミューズメント施設でVR体験が可能になったこともあり、それまで距離があった一般人が徐々にVRユーザーに近づきました。
以降、VRを応用する企業も続々と増えており、最新のVR技術は利便性・エンターテインメント性両面で非常に凄まじいでしょう。
今後もVRの技術発展には目を離せませんね。
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