ARcore大解剖!Googleの描く未来とARcoreを支える技術について
AR時代の覇権を握ろうとするGoogleのコアテクノロジー「ARcore」。Appleとの仁義なき戦いにGoogleはどのような勝算を持っているのか。
ARcoreによってどのような変化が生み出されるのか?今回はそのARcoreにフォーカスします。
Contents
ARcoreとは何か
Googleが提供するARcoreは開発者がAndorid搭載のスマートフォンで拡張現実(AR)のアプリケーションを構築するためのソフトウェアプラットフォームです。
まずはこちらのARcoreの紹介動画をご覧ください。
拡張された現実世界で動くキャラクター達はとても印象的で、AR coreはこのようなARアプリケーションを開発者が誰でも作れるようなソフトウェア開発キットです。
Project Tangoとの関係
昔googleはTangoというプロジェクトでAR技術を研究していましたが、2018年3月1日に閉鎖し、Tangoのチームや技術は全てAR coreに引き継がれました。
この閉鎖の背景ですが、プロジェクトTangoには特別で高価なハードウェア(デュアルカメラ)が必要だったためだと言われています。
デュアルカメラとは同じ方向を向いた2つのカメラを搭載しているカメラで、人間の目と同じように空間認識に長けたものです。
しかしARcoreの認識技術の発展によってデュアルカメラが不要になり、プロジェクトチーム共々ARcoreに一本化されたようです。
ARcoreを支えるテクノロジーと仕組み
ARcoreはスマホの「モーショントラッキング(キャプチャ)技術」と「加速度計による位置情報の認識技術」という2つのコアテクノジーの進化を組み合わせて実現しています。
モーショントラッキング技術とはカメラを通じて、対象物の特徴やポイント(顔であれば鼻、口角、目、机であれば足、角など)を特定し、それらの点がどのように動くかを解析する技術です。
この対象物のポイントとなる点を特徴点(Feature point)と呼び、これらの特徴点を通じてARcoreは現実世界を認識しています。
(※このスターウォーズの動画は非常にワクワクします)
ARcoreのソフトウェア開発キットが提供するカメラで認識された机の上に、アニメキャラのような3Dコンテンツを重ねることで、「本当にそこにある」かのようなビジュアルが完成します。
そしてARcoreの重要技術である「光推定(light estimation)」という照明解析技術が、「光がどの方面からどのように向かっているか?暗さのグラデーションはどうなっているか?」といった情報を理解することで、対象とする3Dオブジェクトに自然な影を作れるようになります。
この演出がさらに現実に存在するような視覚効果を生み出すのです。
開発者は上記のテクノロジーを活用したアプリをUnity、Java,またはUnrealのいずれかの言語を使うことスピーディに開発することが出来ます。
ARcoreの対応機種について
ARcoreが対応しているスマホ機種は2018年3月時点で13種類あります。
・Galaxy S8、S8+、Note8、S7 edge、S7
・LG V30、V30+
・ASUS Zenfone AR
・Google Pixel、Pixel XL、Pixel 2、Pixel 2 XL
・OnePlus’s OnePlus 5
Googleは公式ページでXpediaや中国のスマホメーカーXiaomi、Snapchatを運営するSnapやドイツ自動車メーカーのPorscheなど、ソフトウェア会社のみならず、ハードウェア会社とも積極的なパートナーシップを組んで開発を進めていることを明らかにしています。
ARcoreの技術応用はスマホだけではありません。当然、車のフロントガラスなどにも適用が考えられますし、Google mapによりあらゆる交通データを保有するGoogleからすると、信号や標識といったものもバーチャル化する事が理論上可能になります。
この信号や標識のメンテナンスコストはそれだけでも膨大な国の予算を必要としているため、大きな経済効果を生むことはほぼ確実な未来です。
ARkitとは何が違うのか。
Appleが提供するARkitはまさにARcoreの競合とも呼べる開発プラットフォームです。Appleも2020年にはARグラスをリリースする予定であることから、本気でAR技術に取り組んでいる事が伺えます。
基本的なコア技術はARcoreとARkitに大きな差異がないのが現状です。
当然ARkitはiOSアプリのみでしか作動しないため、「開発コミュニティがどれだけ大きくなるか?」「当該テクノロジー発展していくか?」という点は、その技術を使うエンドユーザー数に依存していくことになります。
そのように考えると、Androidのユーザー数は徐々にiOSを上回っているため、「ARcoreの利用者が増え、結果的により技術革新が進むのはARcoreになる」という見方もできるかもしれません。
ARcoreが実現する未来
GoogleはARcoreをスマホ全てに搭載しようとしていますが、スマホを何十分も目の前にかざすことは疲労するため、最終的にはウェラブル型のARグラスを一般に普及させることを描いているはずです。
この動画を見る限り、ARグラスを通じたコミュニケーションには圧倒的な臨場感があり、もはや一緒の空間にいると認識できるレベルです。
現代の若者のスマホ利用時間のほとんどがインスタグラム、LINE、Facebook 、ソーシャルゲームといったコミュニケーションアプリに寄っているため、ARcoreのウェアラブル化によって多くのコミュニケーションアプリはメガネ型に移行するのは必然的な未来と言えます。
FacebookやApple、GoogleなどのIT業界の巨人達は「いかにユーザーの可処分時間を奪うか?」という点にフォーカスしているため、AR/VR時代のコミュニケーションの覇権争いは既に始まっているのです。
またこちらの記事で書いたように、AR技術は企業内オペレーションを変革する大きなパラダイムシフトとなり得るため、企業向けアプリケーションとして浸透していくことも想定されます。
Googleが開発するARグラス:Google Glassについて
2012年にGoogleが発表し、一般層への展開はなかったものの現在toB向けに着実に浸透している、Google Glass。
メガネの一方のフレームに、透過型のディスプレイやマイク・カメラ機能などを搭載し、ハンズフリーでスマホで行う様々な操作が可能になりました。
写真や動画の撮影、通話、ナビゲーション、スケジュール管理等を視界に表示させた近未来型デバイスは、プライバシーの危険などの指摘から一般層への販売は中止したものの、
- 航空
- 製造
- 農作業
- 流通・運送
- 医療
といった産業では導入成功事例が多く出てきています。
※Google Glassに関する詳しい解説はこちら:
まとめ
今後AR coreによって開発コミュニティが発展することで、更なる技術革新が進むことも予想されます。
Googleが提供する開発プラットフォームであるAR Coreは次世代のあらゆるデバイスに活用されるようになるはずですので、今後も編集部はGoogleとARcoreの動向に注目していきます。
将来の重要なソフトウェアインフラになると言われるARクラウドについてもこちらでご紹介しています↓ぜひご参考にしてください。

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