ARをECサイト・店舗に導入する|11の事例から見る小売のアップデートと活用方法
Eコマースがもたらした小売業界の変化は今現在も続いていますが現在、このEコマースで注目を集めている技術がARです。
昨今ARがEC事業者に注目される主な理由はARがユーザーの購買単価や購買率(CVR)を劇的に向上させる可能性を秘めたツールだからです。
そこで今回この記事では、
- ARがECサイト・実店舗にもたらす効果
- ネットショップにおけるARの活用方法
- 実店舗でのAR活用事例
- コマースで今すぐ利用できるARサービス
といった点を取り上げます。
ネットショップや実店舗でARの利用を考えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
Contents
- 1 ARが小売にもたらす効果とは?ECサイト・実店舗それぞれの拡張方法
- 2 ECサイト(ネットショップ)でARを活用するメリット・方向性
- 3 実店舗でARを活用するメリット・方向性
- 4 AR×ECの事例1:AmazonのARビュー機能
- 5 AR×事例2:大手通販ECのニッセンが、家具のAR・3D機能をオンラインストアに搭載
- 6 AR×ECの事例2:ARワインアプリ「Vivino」におけるVuforia活用
- 7 AR×EC事例3:家具・家電を中心に多くの事業者が利用するARサービス
- 8 AR×EC事例4:家具の試し置きが可能なネットショッピングアプリ2選
- 9 AR×ECの事例4:世界最大のECサイトShopifyがAR機能を提供
- 10 AR×実店舗の事例1:大手家具メーカー・ニトリ社ショールームにAR・MRを導入
- 11 AR×実店舗の事例2:「Portal(JOSEPH)」実店舗ショッピングのARによる体験拡張
- 12 AR×実店舗の事例3:商業施設のCOCOAR活用
- 13 まとめ
ARが小売にもたらす効果とは?ECサイト・実店舗それぞれの拡張方法
ARとは?オンラインECサイトでの活用イメージ
ARは「Augmented Reality(=拡張現実)」の略で、スマホやタブレット・ARグラスなどを通して現実の世界にヴァーチャル映像を重ねて表示するテクノロジーを指します。
ARによく似た技術に「VR」がありますが、VR(Virtual Reality・仮想現実)はCGで作成した仮想世界にユーザーがダイブする技術であり、現実の空間に情報を付加するARとは利用目的が異なる技術と言えます。
それでは、そのARがコマースにもたらすメリットを見ていきましょう。
ARは現実を拡張する技術であり、業界問わず大きく2つの提供価値があります。それは
- 【利便性】ユーザー課題を解決する(不満を解消する )
ex)「サイズの確認・試着できない」という従来のネットショッピングの課題を解決する - 【付加価値】ユーザーを楽しませる(満足度の向上する):
ex)実店舗でのユーザー体験にエンターテイメント要素を付与する。
という2つの観点です。
コマース領域にARがもたらす変化
小売業界の顧客接点として
- オフライン(店舗)
- オンライン(EC、ネットショップ)
の2つが存在しますが、ARによって享受できるメリットがそれぞれ異なります。
- 【実店舗】ブランドが持つ世界感をARによって表現し、ユーザーがよりブランドを知覚する場に。また購買するときに必要な情報もARによって表示され、ユーザーが意思決定しやすくなる。
- 【ECサイト・Eコマース】試着・仮設置などをARで実施することで購買率・CVRが向上する。他にも自宅でファッションショーなども体験できるようになる。
リアル店舗はブランドメッセージをユーザーに伝える体験空間に
若い世代を中心に「モノから体験」へと関心がシフトしている中、リアルな店舗空間は商品を販売するだけではなく、ブランドロイヤリティを高め、ユーザーの生涯価値(LTV)に寄与する価値を提供することが求められてきています。
これらは特にアパレル・ファッション領域などに顕著に見られるトレンドですが、ファッション業界のAR活用に関してはこちらの記事で解説していますので、気になる方はチェックしてみてください。
関連記事)アパレルのAR活用事例|ファッション業界の国内最前線レポート!
それでは、「(1)ECサイト」と「(2)実店舗」でARを活用するメリットや事例をそれぞれ詳しく解説していきます。
ECサイト(ネットショップ)でARを活用するメリット・方向性
実寸大で製品を表示できるAR機能は、ネットショップからの購買率/CVRが改善が期待できることが既に証明されていることから、ECによるAR導入事例は今後も増加していくと予想されます。
実際に、米国の家具販売サイトである「Houzz」は自社のECにARを導入したところ、「ARを使って家具を試し置きしたユーザー」は、「そうでないユーザー」と比較してCVRが11倍も高かったとレポートしています。
他にもスマートフォンやARグラスを使うと「あたかも自宅でファッションショーが行われているかのような体験」「店舗で新製品を眺めているかのような体験」を提供することも可能です。
このようにARはECサイトにおいて、購買機能を強化しつつも、新しい価値提供という観点でも有用であると考えられます。
1.利便性(販売促進効果):自宅で購買前に実物のサイズや色合い・形状の確認が可能になる
ARをEコマースに活用する一番のメリットは、 ネットショッピングの最大の弱点である、商品を実際に確認することができないという点をクリアできる ことにあります。
ARを使えば、家にいながらにして商品のサイズを実寸大で確認することができます。その一例が、IKEAの「IKEA Place」アプリでしょう。
家具を自宅で配置し、そのまま購入することが可能!IEKAのARアプリの事例
自宅の床をスマホのカメラでスキャンし、リストの中から任意のIKEA商品を選択、それをスペースに設置すると、自宅にIKEAの家具が出現します。
通常、新しく家具を購入する際には製品のサイズを確認し、それが部屋にフィットするかどうかを計測するなどの作業が必要です。
ところが、ARを利用することによって自宅でも実際の商品を目の前に表示させ、部屋に置いた様子を確認することができます。
このAR機能によりECサイトでは確認しづらい
- 実物のサイズ
- 色合い
- 形状
などをユーザーは購入前に確認することができるため、安心してオンラインで買い物ができるのです。
インテリアEC領域でのARの活用事例などは、こちらを参考にしてみてください→)家具をARで配置する!シミュレーションアプリ・インテリアECのAR導入事例5選
2.付加価値の提供(プロモーション効果):自宅でブランドの世界観を体験
ECサイトの商品リストでは製品の一部分のみしか表示できないため、その商品の持つストーリーやブランドイメージまで消費者に伝えるのは難しい部分があります。
例えば、自動車業界を例にとってみましょう。
自動車はメーカーは自社ブランドを非常に大事にし、ショールームに自動車を展示・販売することで製品のみならず、ブランドイメージを消費者に伝える努力を怠りません。
しかし、ユーザー的にはショールーム店舗へ行くのは少々敷居が高いのも事実です。
そこで ドイツの高級自動車メーカー・アウディはその垣根を超えるために、ARを活用しました 。
最新モデルを自宅チェック?アウディのARアプリの事例
このARアプリを利用すると目の前にアウディの最新モデルを表示させることができるのですが、この3Dモデルが極めて精巧に再現されているため、ユーザーへの訴求力が従来の方法と比べものにならないほど向上しているのがお分かりになるかと思います。
ちなみにアウディはこのARアプリで、車を販売することを目的にしているわけではありません。
話題性と完成度の高いアプリを通じて幅広い消費者にアウディが醸し出すブランドと世界観を知ってもらい、その結果アウディに興味を持ったユーザーがショールームを訪れてもらうことを目指しています。
このように、 ARはただ単なる販売促進ツールとしてではなく、自社ブランドを伝えるための効果的なプロモーション手法になり得るのです 。
実店舗でARを活用するメリット・方向性
それではECサイト次に実店舗でのAR活用の解説に移りましょう。 こちらは大きな方向性としては「ユーザー体験を拡張する」という点にあります。 この中でも先述のように
- 利便性(不満を無くす):「商品表示や店舗案内のAR表示」と
- 付加価値の提供(満足度を高める):「ブランドの世界観の表現やゲーミフィケーション要素の実装」
といった2つの観点が存在します。
1.利便性:ARで店舗案内や商品表示を行う
ARは店舗体験の利便性を追求する上でも効果的です。
店舗を回遊しているユーザーからすると、
- 自分が探している商品がどこにあるのかわからない
- 目の前にある商品の原材料や生産国が知りたいが、情報が見つからない
といったことで困ったことがある方も、少なくないかと思います。 しかし、こういった課題もARを活用するとスムーズに解決出来ます。
例えば、MRグラスを装着した状態で店舗を回遊したときに
- 商品検索機能を実装→欲しい商品カテゴリやブランド名を入力すると、そこまでの道案内がグラス上に表示される
- それぞれの商品を見ると、値段・原材料などの商品情報がグラス上に表示
といった体験設計をすることができます。こういった形で、ARでは実店舗におけるユーザーの課題を解消することが可能です。
2.付加価値:「実店舗をブランド体験の空間する」
実店舗において、ブランド体験を向上させるためにARを活用し、新たな体験を提供している企業が次々に現れています。 その一つが、中国発のストリート・ファッションブランドの「HIPANDA(ハイパンダ)」。
HIPANDAは欧米を中心に若者たちからセレブまで浸透しているブランドですが、昨年表参道にオープンした旗艦店「HIPANDA OMOTESANDO FLAGSHIP SHOP」ではARを用いた様々な仕掛けが訪れる人を驚かせています。
※参考記事:商業施設・店舗のAR活用事例|回遊施策の効果やコンテンツの企画方法など
実店舗がエンタメ施設化?アパレルブランド「HIPANDA」の事例
上の動画を見ても分かる通り、HIPANDA OMOTESANDO FLAGSHIP SHOPの「店舗の体験コンテンツの充実度」はアパレルショップという枠を飛び越えて、エンターテイメント施設とも言えます。
単に商品を買うだけであればネットショップで十分であり、わざわざ実店舗に出向くのであれば体験を楽しみたい 、と考える若者たちに支持されています。
この様に、ARがコマースにもたらすメリットはネットと実店舗の垣根を超えた利便性のみならず、新たな付加価値を提供したり、モノを買うという行為そのものをエンタメ化するかのような効果をもたらすのです。
メタバースEC・バーチャルショップの利活用が進む小売業界
若干ARとは路線が異なりますが、最近では「メタバースEC」・「バーチャルショップ」など、3D技術を活用した店舗の開設事例が増加しています。
メタバースというバズワードの台頭と共に
- H&M
- FOREVER21
- NIKE
- BEAMS
など、国内外のブランドが続々とショップをオープンしつつある昨今。
既存のECよりもブランドの世界観を表現でき、かつ実店舗よりも低コストで開設・運営できることから、今後更なる活用が見込まれており、EC担当者にとっても重要な知識になることから下記の記事でも解説しております。
もしバーチャルストア・メタバースでのEC展開に興味がありましたらぜひご覧ください→)【EC担当必見】メタバースEC・バーチャル店舗事例8選|作り方・費用も徹底解説
実店舗やECへのAR導入を企画・開発の相談依頼も承ります。
ここまでECにおけるARの活用方法について解説してきましたが、本メディア「XR-Hub」を運営している株式会社x gardenはARのECサイト導入コンサルティングを展開しており、これまでニトリ社、ニッセン社、オーディオテクニカ社など、国内の大手EC事業者のAR支援実績がございます。
- 店舗・ ECサイトへのAR導入を検討しているが、進め方が分からないので相談したい
- ARやVRをつかった何かを企画し、人を呼び込みたい
こんなニーズがある企業担当者のの方には、現在、初回無料でXRの事業創造コンサルティングを行なっておりますので、もし「話だけでも聞いてみたい」と興味がありましたら↓こちらからお問い合わせください。
それでは次の章から、具体的なECへのAR導入事例を見ていきましょう。
AR×ECの事例1:AmazonのARビュー機能
Eコマースの巨人、Amazonがついに自社ショッピングアプリにAR機能を搭載しました。
2017年にアメリカでサービスの提供をスタートさせた後、イギリスやフランス、ドイツなどでも導入され、日本でも利用できるようになりました。
Amazonで販売している家具やインテリア、雑貨などをARを使って自宅内に『試し置き』することができます。 このAR機能は、Amazonショッピングアプリ内の「ARビュー」モードで使用することができます。
Amazon ARビューの使い方
ARビューの使用方法はとても簡単です。
ARビュー使用方法
- 「Amazonショッピングアプリ」を立ち上げる
- 「カテゴリーを探す」の中から、「ホーム&キッチン」のカテゴリを選択する
- ページ中部にある「ARビュー」をタップ
- ARビュー対象商品の詳細ページ内の「部屋に表示(ARビュー)」をタップすると、商品をARで表示される
表示されたAR画像は、ほぼ実寸大のため、部屋に設置した際のイメージを容易に掴むことができます。 また、様々な角度に切り替えることによって、商品の細部まで確認可能です。
ネットショッピングだけでは分かりにくい製品の詳細情報や、実店舗ではつかみにくい、実際の設置イメージなどを確認できるARアプリは、コマースにおける革新的な手法と言えるでしょう。
ARビューの対応商品、カテゴリー
ARレビューは全てのAmazon取り扱い商品に対応しているわけではなく、あくまでも対応商品のみ。 ARレビュー対応商品例
- 折りたたみデスク
- 座椅子
- テレビ台
- ダイニングベンチ
- 壁掛け時計
- キッチンカウンター
- ソファ
- ル・クルーゼの鍋・フライパン
- etc
ARレビューに対応する商品は、現在のところ1,000アイテム以上。 とても便利で購入意欲を強く刺激する機能なので、全てのAmazon取り扱い商品に対応してもらいたいところです。
AR×事例2:大手通販ECのニッセンが、家具のAR・3D機能をオンラインストアに搭載

大手通販ECのニッセンは、インテリアカテゴリの一部商品に、AR導入を開始しています。
現在の対象商品は大型家具を中心に15商品ですが、今後対応商品は拡大していくとのこと。
現在導入しているのは「ARによる試しおき機能」や「3Dビューにより、商品を立体的に体感する機能」の2つで、より安心してオンラインショッピングを楽しむことができるようになりました。
今回ニッセンが導入したのはEC特化型AR導入サービス「RITTAI」で、ニトリ社を含め、多くのインテリア事業者やEC事業者とのプロジェクトを推進してきた株式会社x gardenが提供している、月額定額制のサービスになります。
RITTAIを確認されたい方はこちら。
AR×ECの事例2:ARワインアプリ「Vivino」におけるVuforia活用
小売業界の中では、類似した商品でアイテム数が膨大になり、それが消費者の購入意欲を阻む要因になりうるものも存在します。
ワインはその分かりやすい例でしょう。
世界各国で様々なワインが生産されており、一目で「このワインがどんなワインか」を判別するのは消費者にとって難しいケースが多いです。
そうした問題解決にもARが役立ちます。Vivino社が提供するARアプリ、「Vivino」をご紹介しましょう。
アプリの概要
Vivinoは、Vuforia EngineをベースにしたARアプリです。
※Vuforia:スマホややタブレット、ウェアラブルデバイスに対応したAR開発用のライブラリ。
カメラやセンサーを人間の目のように機能させ、空間や物体を認識させることでAR体験を生み出すことが可能。
手にとったワインボトルのラベルをVivinoで読み込むと、そのワインの評価やレビュー・平均価格やぶどう品種などの情報が表示されます。
ほかのARアプリのように特別なAR画像が表示されるわけではありませんが、 ラベルを写しただけでワインを認識し、瞬時にこれらの情報が現れるのもVuforiaだからこその機能 。 それゆえにVivinoもARアプリの一つとみなせます。
実績:2,000万人以上のユーザー数を誇る世界有数のアプリ
Vivioはその使いやすさと便利さから、全世界で2,000万人以上のユーザーを抱えています。
このアプリ自体は販売を目的としたツールではありませんが、Vivino社はこのアプリを通して得られたデータ基にして消費者に人気のワインリストを作成しています。
Vivio社はワインの販売業者や生産者を独自のコミュニティで結ぶEコマースプラットフォーマーでもあるため、アプリを通して得られる情報は同社にとって非常に重要なアセットになります。
VivioのAR活用に見られるように、ARの効果的な導入は小売業界やコマースに非常に大きな武器となることを見事に証明しているでしょう。
AR×EC事例3:家具・家電を中心に多くの事業者が利用するARサービス
大手通販事業者「ニッセン」や、老舗の大手家具メーカー「柏木工株式会社」や大手家電メーカー「オーディオテクニカ社」など、家具・家電領域を中心に「手軽に高品質なAR機能をオンラインストアに搭載できるサービス・RITTAI」が急速に広がり始めています。
ニトリ社、NTTドコモ社など多くの大手企業向けのAR/VR開発を支援してきた同社が展開するサービスで、東証プライム上場企業を含め、多くの企業が導入し始めています。
導入企業の中には、導入後に販売数が20%増加した事例もあるとのことで、ユーザーの
「買う前にサイズや色合いが自宅に合うか試したい」というニーズに沿ったユーザー体験を、オンラインストア上で提供できます。
簡単に導入できる手軽さと、高機能さがポイント
ARが比較的新しいテクノロジーであるため、ECのWeb担当者からするとやや取っつきづらい印象があるとは思いますが、導入は決して難しいことではありません。
このサービス「RITTAI」では、商品の3Dデータさえ用意できれば初期コストは殆どかかりません。
そして、実際の運用しやすさや、CVRを向上させるための様々な機能を低価格で利用することができます。
- 店舗・ ECサイトへのAR導入を検討しているが、進め方が分からないので相談する相手が欲しい。
- 自社のEコマースにAR機能を付加しCVRを向上させたい
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AR×EC事例4:家具の試し置きが可能なネットショッピングアプリ2選
ARを活用することによって、従来のECサイトでは販売が難しかった商品も取り扱いが容易になってきました。
その一例が、ECサイトにおける家具の販売です。
ECの中でも特に、家具は大きさなどのイメージが掴みづらい一方で価格帯が数千〜数十万円と消費者からすると高額な買い物になるため、Webサイトだけで販売を完結するのは難しい側面がありましたが、ARを活用すれば自宅にいながらにして商品を実寸だいで部屋に合うかどうかまで確認できるようになります。
では、ARで販売拡大に活用している企業の例をいくつか見てみましょう。
⑴ニトリのARアプリ|EC部門の売り上げアップに貢献
日本の大手家具メーカー「ニトリ」は、ARを使って家具を試し起きできるアプリ「RoomCo AR (ルムコエーアール)」に出店を開始しました。
このアプリでは、ニトリが取り扱う500点以上のアイテムをARで自宅に実寸大で『設置』し購入前にサイズ感や設置イメージを確認できます。
RoomCo ARはサイズ感の確認だけでなく、部屋の壁や照明との相性、他の家具とのマッチングを検討できる点が強み。
もちろん、気に入った商品はそのまま商品ページで購入できるため、大型家具でも気軽に購入することができます。 ニトリHDはネット販売事業を強化しており、2018年3月~8月期の連結決算では、 ネット通販の売上高が前年同期比で30%増加したとのこと 。
このネット販売の売上増にARが加担していることは言うまでもないでしょう。
⑵LOWYAの事例|利便性の高いアプリ不要のAR機能
高いデザイン性とリーズナブルな値段設定で人気を博している家具・インテリアブランドの「LOWYA(ロウヤ)」。 そのLOWYAもネット通販の商品をARで試し起きできる「LOWYA AR」サービスをリリースしました。
先日リリースしたLOWYA ARをお使いいただき、ありがとうございます!皆さまからのご要望にお答えして、より分かりやすくご利用いただくためのHOW TO動画を作成いたしました😆
▼さっそくLOWYA ARを体感する🤳✨https://t.co/aXEezIz60L pic.twitter.com/xPwV628g7N — LOWYA (@lowya) March 9, 2019
このLOWYAアプリが特徴的なのが、専用のアプリを必要としないこと。
PCでAR対応商品リストに記載された商品を検索し、気に入ったアイテムがあれば、詳細ページにあるQRコードをiPhoneで読み込むだけでAR画像が表示されます(Android端末は未対応)。
このQRコードは他者にも簡単にシェアできるため、例えば離れて暮らす家族に家具をプレゼントしたい、というときなどに、事前にサイズ感などをチェックしてもらうのにも便利です。
2014年に創業したLOWYAは、元々Yahoo!ショッピングや楽天市場、Amazonなどの大手ECでの販売から事業をスタートさせましたが、LOWYAが事業を拡大に伴い、ECサイト側に支払うロイヤリティも膨れ上がっていきました。
また、消費者としてはAmazonなどでLOWYAの製品を購入しても、「LOWYA」というブランドを意識することはほとんどないでしょう。
LOWYAが今後の事業計画を見据えた際に、ブランド価値を高めつつ収益も増大できる独自のネット販売を立ち上げるのは自明の理。
そこでLOWYAがネット販売で武器として選択したのが、ARでした。
ARを使って自社製品をアピールし、消費者にも家具の購入へのハードルを下げられることは非常に大きな強みとなりました。
実際の売上を見ると、まだまだ大手ECでの割合が大きいそうですが、LOWYAはARを使った独自のネット販売も強化していくでしょう。
AR×ECの事例4:世界最大のECサイトShopifyがAR機能を提供
「Shopify」は、世界最大のECサイト制作プラットフォームで、世界170ヶ国以上の国でおよそ60万ものショップで利用されており、日本でも利用する店が増えてきています。
そしてShopifyでは、ネットショップでARを利用することも可能。 専用のアプリをインストールし、商品の3Dモデルを撮影。アプリに追加後、商品にARバッジを追加すれば準備完了です。
消費者がiPhoneでARコードを読み込めば、3DのAR画像が表示されます。
上の動画にある通り、Shopifyでは簡単にAR画像を作成できます。 Shopifyはその便利性と効果の高さから、GoogleやRedBull、Budweserなどの有名企業も利用しています。
Shopify ARを利用しているストア・ブランドのAR活用例や導入効果
Shopify ARを活用している主なアパレルブランドは以下になります。
TAYLOR STITCH
サンフランシスコ発のメンズファッヨンブランド。AR表示によってバッグのサイズ感などをリアルに確認できる。
Instant Pot
Instant Potはクッキンマシーンを販売するブランドで、自社製品の使い方をARで3D表示させることにより、消費者への訴求力を高めている。
Biolite
キャンプ用品を扱うBioliteは、ARで製品の実際の使用感を体験できるようにしています。キャンプ用品では大きさは非常に重要な要素なため、利用者からの評判も上々です。
Seinfeld Set Replica
有名ドラマの撮影セットをミニチュアで再現・販売しているSeinfeld Set Replicaは、ARを活用することによって、ミニチュアを自宅に置いた際のイメージを確認できるだけではなく、セットの細部までじっくり眺められることによって利用者の購買意欲をかきたてています。
ShopifyはネットショップがARを活用することによって、CVR(購買率)の向上や返品率低減に寄与していると述べています 。 ARはユーザーの満足感を高めるだけではなく、オンラインショップと実店舗のギャップを縮めることにも役立っているのです。 オンラインショップでも実店舗のような購入体験を提供できるShopify ARの活用が、日本でもこらからますます広まっていきそうです。
- Shopify公式HP:https://www.shopify.jp/
AR×実店舗の事例1:大手家具メーカー・ニトリ社ショールームにAR・MRを導入
大手家具メーカーのニトリ社は、2021年、グランフロント大阪店を皮切りに大阪堺店・東京渋谷店で、AR・MRの導入を行いました(プレスリリース)。
Magic Leap 1というグラス型のデバイスやiPad越しに、現実空間に重畳させる形でバーチャルのキッチンをARでその場に配置。カラーや機能をシミュレーションでき、実際の店舗には置かれていないシステムキッチンを体感することができるというものです。
現状のショールームや小売実店舗の現場では
・物理的な空間では面積の制約があり、設置できる商品数に限度がある
・その結果、様々な商品パターンを試すことが難しく機会損失が発生している
という課題がある中で、上記のようなXR技術を利用すると、「その場で多くの商品パターンをお試し、表示」「商品の訴求ポイントを明確に伝えられ、営業の品質が高まる」といったことが可能になります。
開発を担当したのは、弊社・株式会社 gardenになりますので取り組みや自社活用に興味があるという方はこちらからお問い合わせ下さい。
AR×実店舗の事例2:「Portal(JOSEPH)」実店舗ショッピングのARによる体験拡張
ARとEコマースの親和性の高さはここまで見てきた通りですが、実店舗での活用にも目を離せないものがあります。 キーワードはズバリ「体験の拡張」。
ただ単に商品を並べる場所としての店舗から、ARを活用して新たな体験を「拡張」する流れが出てきています。 ARコンテンツも手掛けるソフトウェア開発会社の「MESON」が大手アパレル企業の「オンワード樫山」とコラボし、六本木ミッドタウンで開催したARファッションショーの「PORTAL BY JOSEPH」がその一つの例になります。
来場者が壁面に設置されたARマーカーをiPadで読み込むと、その場にランウェイがAR表示され、ファッションショーが楽しめます。 その様子は未来的かつ非常にインプレッシブ。
EC拡大の波により実店舗での売上が減少しているアパレル業界において「消費者をいかに惹きつけるか」は大きな課題となっていますが、このように ARを活用すれば大掛かりな機材を導入せずとも消費者にとってワクワクするような体験を提供することが可能です 。
「PORTAL BY JOSEPH」ではランウェイ上で新製品をいち早くチェックすることができるだけではなく、QRコード経由で自分の端末に保存することも可能。
一部商品はその場で購入することもできます。 ARを通して普段は実際に見るのが難しいファッションショーを体験できるることは、消費者にとっても貴重な体験となるだけではなく、ブランドや新しいコーディネートの出会いの場ともなります。
ARを使ってリアル店舗での新たな体験拡張は、これからの小売業界にとっても非常に有効な手法となっていくでしょう。
AR×実店舗の事例3:商業施設のCOCOAR活用
「COCOAR(ココアル)」は、オリジナルのARコンテンツをコストを抑えつつ簡単に作成できる、AR作成ツールです。
COCOARでARコンテンツを作成するのは非常に簡単。 ARにしたい画像や動画、3DなどのコンテンツをCOCOARにアップロードして、マーカーを設定するだけ。 後はそのマーカーを印刷物などにプリントすれば、その場でARが表示できます。
COCOARのAR活用例
テイッセンクルップ・アクセス・ジャパン
家庭用の階段昇降機を製造・販売する企業で、自社の商品カタログにARを活用しています。
営業マンが商品の説明をする際にARで実際の設置イメージを確認できることは、非常に大きな説得力を与えています。 何しろ、実際の製品を持ち運びすることは非常に困難ですから、ARで昇降機の大きさや移動スピードなど、カタログだけでは伝えきれない製品のイメージを伝えることができます。
ビジョン
ベビー用品やマタニティ用品を扱うビジョンでも、製品カタログにARを活用。商品の使い方の動画や関連コンテンツを表示させ、初めての出産や子育てを行うパパ・ママたちにも大好評です。 ARは電子カタログでも見ることができます。
ハローキティARスタンプラリー
イトーヨーカドーでは、ハロウィンのスペシャルイベントとして、ARを利用したスタンプラリーを実施しました。 ARでスタンプを獲得し、ハロウィン仕様のキティちゃんオリジナルフォトフレームやオリジナル待受画像がゲットできる同企画は、子どもだけではなく大人の参加者にも大好評。
人手やコストを掛けずに来店者を喜ばせ、店舗内を周遊させるという目標を達成できたといいます。
- COCOAR公式HP:https://www.coco-ar.jp/
※WebAR開発ツール8th Wallの開発記事はこちら⇒【8th Wall徹底解説】特徴比較から使い方、WebAR開発事例まで
実店舗やECへのAR導入を企画・開発の相談依頼も承ります。
XR-Hubを運営している株式会社x gardenはARのECサイト導入コンサルティングを展開しており、国内の大手EC事業者の支援実績があります。
- 店舗・ ECサイトへのAR導入を検討しているが、進め方が分からないので相談したい
- ARやVRをつかった何かを企画し、人を呼び込みたい
こんなニーズがある企業担当者のの方には、現在、初回無料でXRの事業創造コンサルティングを行なっております。 もし「話だけでも聞いてみたい」と興味がありましたら↓こちらからお問い合わせください。
まとめ
今回紹介したように、ARは小売業界における非常に有用なツールとなりえます。
ARのような新たな技術が登場すると、それを利用すること自体が目的となりがちですが、本当に重要なのは、
「導入することによってどのような効果がもたらされるのかどうすれば効果的に利用できるのか?」
という点を事前に検証し、自社に一番効果的な方法で利用することでしょう。
今回紹介したコマースにおけるARの利用方法や実際の導入事例を参考に、ARをぜひ活用してみてください。 ※関連記事: 【2019年最新版|ARビジネス活用事例11選】効率化や精度の向上など、産業のAR化のメリットに迫る

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