ナイアンティック社の過去 / 現在 / 未来を徹底解剖!


知る人ぞ知るテックカンパニー、Niantic(読み方:ナイアンティック)。

空前絶後の大ヒットARアプリ「ポケモンGO」の成功の立役者として今でこそ広く認知されていますが、最近になってコンシューマー向けARアプリ業界の台風の目のような存在になりつつあります。

今回はそのナイアンティック社のこれまでの軌跡や技術力の解説、最近の動向に迫ります。

ポケモンGOの土台となった「Ingress」

本社を米国に置く同社ですが、もともとはGoogleの社内スタートアップとして設立されたゲーム開発会社でした。

一般的に認知が広まったのはもちろんポケモンGOがきっかけですが、その前に同社は「Ingress」という位置ゲームを開発しています。

Ingressのゲームコンセプトは簡単に言うと陣取り合戦。

ユーザーは緑チームか青チームに自動的に振り分けられた状態で、世界中の「ポータル」と呼ばれるスポットを繋ぎ、2チーム間で陣地を奪い合うという主旨のゲームです。

このゲームはGoogle Mapの情報をベースにしており、ゲームの陣地となる「ポータル」は現実に存在するビルやモニュメントになっています。

このIngressの「ポータル」の写真はエージェントと呼ばれる有志のプレイヤーによって集められており、このポータルの位置と写真データがポケモンGOに引き継がれて活用されています。

つまりポケモンGO成功の舞台裏にはIngressのプレイヤー達の努力があったわけです。


(↑Ingressのポータルデータが活用されているポケモンGO)

株主構成、上場の予定は?

「位置ゲームは儲からない」というシリコンバレーの固定観念を覆した「ポケモンGO」の大成、そして2018年後半のリリースを控えるハリーポッター「Wizards Unite」など、ビッグタイトルとの提携を相次いで発表しているナイアンティック。

最盛期だった2017年、ポケモンGOの1日あたり売上は600万ドル(6.6億円)とも推定され、2016年末の売上は1,000億円を突破したと言われています。

業績は上場基準を上回っているとの見方も多く、投資銀行シティバンクは「3,000億円はくだらない」と企業価値を評価しています。

ちなみに現段階で上場観測は出ておりません。株主は「Google」「任天堂」「株式会社ポケモン」の3社のみとなっているようです。(構成比率は非公開)

技術資産と「リアルワールドプラットフォーム」構想

ナイアンティックは「外に出かけたくなる体験」を生み出すため、現実とデジタルを融合させ、新しいソーシャルアクティビティを作る事を目指しています。

最近はM&Aにも積極的で、AR上でマルチプレイ可能な技術を開発する「Escher Reality」を買収し、更に2018年6月26日にはコンピューターによる3D空間のAI解析を専門とする「Matrix Mill」の買収を発表しました。

(↓こちらは「現実空間のコンテキストを理解する」という彼らの目指す世界観が伝わる映像です。)

この動画で、ピカチュウは周りの物体に対して「後ろ側を走る」「歩く人を避ける」といった3次元(奥行きのある)動きを再現してます。

こうした「周囲に何があるのか?」「どのように動いているのか?」という現実空間をリアルタイムで認識するには、緻密な計算モデルとインフラを構築しなければなりません。

この技術チャレンジをPCより処理力の低いスマホで実行するための課題に取り組んでいるのがナイアンティックのチャレンジであり、彼らのコアコンピタンスです。

(↓ARによるマルチプレイの気功波?の打ち合い。中高生には最高のエンターテイメントになりそうです。)

(↓リアル脱出ゲームなどと非常に相性が良さそうなゲーム。後述のハリーポッターのゲームの世界観を感じさせます。)


また、ナイアンティックは2018年6月に「リアルワールドプラットフォーム」を発表しました。

これはiOSとAndroidの両方に対応したAPIとセットの開発ツールで、ナイアンティックが公式認定したサードパーティであれば、同社がこれまで蓄積してきた地図データ、ゲームの拠点となるデータベースなど、ポケモンGOに近いシステムを手軽に実装出来るようになるものです。

このオープンプラットフォーム戦略によりAppleストアのアプリ群のように、魅力的なARアプリが多数生まれる事が予想されます。

ハリーポッター×AR「Harry Potter : Wizards Unite」

2017年11月にナイアンティックは、伝説の長編小説「ハリーポッター」をベースとした新ゲームをリリース予定であることを発表しています。

「魔法使いになることを夢見て来たプレイヤーのために、J.K.ローリングの魔法の世界を体験出来るようにしたい。

プレイヤーには呪文を学び、街を探索し、仲間とともに伝説の生き物たちに立ち向かう」

と公式ブログで明かしています。

このゲームには、前述したプレイヤー同士のマルチプレイを可能にする「Escher Reality」の技術が使用される可能性が高く、「魔法界の生き物に複数人で立ち向かう」「秘密の部屋に入るために、みんなで謎解きをする」といったポケモンGOから更にアップグレードされた体験が提供されるのではないでしょうか。

ちなみに配信日は2018年後半としか明かされていません…、リリースが待ち遠しいですね!

まとめ

いかがでしたでしょうか?

コンシューマー向けARアプリ市場は、業務ARアプリケーションと比較した時に立ち上がりは遅いであろうという市場観測が広がりつつありますが、ポケモンGOというスマッシュヒットを生み出し、ハリーポッターというビッグタイトルのリリース予定を控え、更にはオープンプラットフォームとしての「リアルワールドプラットフォーム」を発表したナイアンティック。

ARアプリ市場を牽引する同社には益々目が離せませんね。編集部では引続きナイアンティック社の動向をウォッチしてまいります!


XR-Hub 編集部