WebARがAR時代を牽引する2つの理由。事業機会や技術を解説。


米国ではGoogle、Appleを筆頭にAR産業の牽引役としてwebARの技術投資が加速しています。

本日は、なぜWebARがそこまで注目されるのか、事業機会としての観点、技術的な観点も踏まえ解説していきます。

WebARとは何か

WebARのユーザー体験を知る上で、まずはこちらをご覧ください。

こちらはGoogleのWebXRチームが発表したもので、ブラウザ上の3Dモデルをカメラを通してARオブジェクトとして表示できるマーカーレス型のプロトタイプです。

Webブラウザ上の画像(宇宙服の3Dモデル)の右下に表示されたARボタンを押すと、カメラが起動し、現実世界にオブジェクトが投影されます。

これまでAR体験は自分のスマホにアプリをインストールしなくては使うことが出来ませんでした。

しかしWebARを使用すると、その名の通りWebサイト上で、アプリをインストールすることなくAR体験を楽しむことができ、そのカジュアルさから、現在のjpegやpngのように活用される事が予想されます。(Googleはその未来を実現しようとしているようです)

ちなみにAndroidの場合、WebARはChromeでサポートされており、SafariではiOS 11で体験することが可能です。

WebARがAR時代の牽引役になる理由

さて、WebARの概要が分かったところで、何故この技術が注目されるのかをARコンテンツの「消費側」と「生産側」に切り分けて考えてみたいと思います。

ユーザーとARの最大接触面になる【消費サイド】

2018年6月現在、ポケモンGOのような例外を除いて「AR体験が日常生活まで浸透している」とは言えません。

この要因の1つが「ARがアプリをダウンロードしないと使えない」という障壁にあります。

Instagram、LINE、Instagram、Amazonなど、既存のアプリで日々困ることが無いため、新しいARアプリをダウンロードするには余程のメリットやインセンティブが必要です。

が、現時点でそこまでユーザー体験の優れたARアプリは存在せず、故にユーザー側のAR浸透が進まないという訳です。

しかし、これがWebARとしてアプリをダウンロードすることなくARが体験できるようになると、状況は一変します。

例えばECサイトで気になった商品があった時、アプリをダウンロードすることなく、すぐに現実世界に投影することができる」というのは非常に分かりやすいメリットです。

この機能は「食材」「家具・インテリア」「洋服」といった「大きさを事前に確かめたい」というニーズがあるカテゴリにおいては一際価値があると言えます。

すでにAmazonなどは商品のAR化に取り組んでいるようです。

ARが全てのWebサイトに実装された場合、「商品を買う前に、まずWebARで確かめる」という購買ステップが未来の商習慣となり、ユーザーの日常生活にARが浸透していくという訳です。

次世代広告としてのポテンシャル【供給サイド】

WebARと話が少し逸れるかもしれませんが、ARの使い道としてAR広告のポテンシャルは極めて大きく、Snapchatを運営するSnap社はAR広告を同社の経営戦略の1つの柱に置いています

参考)Snapchat 、プログラマティック「AR広告」が人気:低コスト&高エンゲージメントで広告主を魅了

AR広告の真価は、これまでの広告のあり方を変える「ユーザーと広告のインタラクティブ性」です。

つまり販売者から消費者への「押しつけ」ではなく、「ユーザーの体験が広告の中に取り込まれる」という世界観です。

(↓これは男性なら欲しくなっちゃいますね。。)

拡張現実で自分があたかも商品を所持しているように感じられるAR広告は、かつてないユーザーエンゲージメントと高ROIを立証しつつあります。

なぜ、AR広告の話をしたかというと、世界中にごまんと存在するwebのディスプレイ広告などは、このWebARとして極めて相性が良いと言えるからです。(だからこそ膨大なアドネットワークを持つGoogleが先行投資するインセンティブがある訳ですが…)

EC系のディスプレイ広告の一部の割合が、「画像」から「WebAR」に変わっていくというのは、既に立証されているAR広告の高いROIの観点から見ると、必然的な未来だと言えます。

エンタメ・ゲーム系のARアプリが浸透するのにはまだ時間がかかると思われますが、既に産業として巨大なIT広告市場ではすぐにWebARの応用が可能なため、ARはこの広告領域からジワジワ浸透していく可能性があるのです。

巨大なIT広告市場の中でも、主要なポジションを閉めるのがディスプレイ広告ですので、WebAR広告の事業ポテンシャルは計り知れないのです。

AR広告の活用事例や仕組みについて知りたい方はこちら→)AR広告がアドテクを変えるーAR広告の仕組み・ 活用事例を徹底解説

Web ARの技術用語的な話

(※ここからは技術的な話になります。)

さて、ここからはWebARに関わる上で、重要な技術用語を表面的にご紹介いたします。

3Dモデルのライブラリ – poly


2017年10月にGoogleが発表した「Poly」は無料の3Dオブジェクト(OBJファイル)ライブラリです。

現実世界の様々な物体が検索、無料ダウンロード出来るため、VR/ARのクリエーターには大変重宝するツールと言えます。

これまでゲーム開発では「木」や「剣」など、3Dオブジェクトを自前で作成する必要がありましたが、このPolyを活用することで、既存の3Dモデルが無料で使えるため作業の簡素化が実現します。

こちらはCGM(ユーザーが投稿できる)仕組みとなっているため、世界中で有志のクリエイター達がイケてる3Dモデルをアップロードしていくことが予想されます。

ここでダウンロードしたオブジェクトはGoogleのプラットフォームであるARCoreだけでなく、ARKitでも使うことが出来るというのも魅力。

2018年1月には、Poly APIがリリースされていますが、この APIを使えば、アプリで動的に3D アセットを検索してダウンロードできるため、より利便性の高い仕様になっているようです。

「AR.js(Javascript)」について

「AR.js」とはLearning Three.jsの創業メンバーであるアレクサンドラ氏とJavascript開発者のジェローム・エティエンヌ氏が、共同で開発したライブラリで、AndroidとWindows Mobile端末のブラウザでもAR体験ができるようするものです。

AR.jsはGitHubで入手することができます。

「AR.js」は、1秒間に60フレームという速さのARを実現していますが、これらを可能にしているのが、下記の4つの要素です。

Three.js:ブラウザ上で3Dモデルを製作するライブラリ
ARToolKit:AR技術を自分の製作するプログラムに組み込むライブラリ
emscripteasm.js:ARToolkitをJavaScriptにコンパイル出来る
Chromium:高速化を強化するオープンソース

Three.jsやARToolKit、emscripteとasm.js、Chromiumという高性能スマホでわずか5fpsだったものを、2年落ちのスマホで60fpsを実現しています

Googleの「AR and VR」というXRチームのブログの中では年内にデスクトップPC、スマートフォン(Andorid/iOS)といったすべてのWebブラウザで、AR体験を実装する予定だと発表されていました。

その後宣言通り、Appleからios11がリリースされ、AR時代の覇権を握るべくGoogle「ARCore」の対抗馬とも言える「ARKit」が搭載されるようになりました。

その結果、ios端末でも「AR.js」を用いてブラウザ上でAR体験ができるようになっています。

まとめ

いかがでしたでしょうか?WebAR広告の仕組みからその事業ポテンシャルまで読み解いてみましたが、未来を思うと非常にワクワクするものであり、GoogleやAppleが本気で取り組む理由が分かりますね。

編集部では今後もWebARの技術進化の過程をしっかりウォッチしていきます!

WebARに近い概念であるwebVRについてはこちら→)Web VRとは?導入メリットや実装方法、サンプル集を紹介


XR-Hub 編集部