VR医療における3つの導入メリットと活用事例を解説!


昨今、アメリカを中心に進むVR医療。

VRが医療と相性が良いと言われるのは何故なのか、本日はそのVRが医療業界に与える影響を最新事例と共に探ってみたいと思います。

VRが医療業界に与える3つの変革

まず、VRが医療業界に影響を与える領域は主に3つあると言われています。

1つ目は「手術」2つ目は「医師のトレーニング」3つ目は「患者のヘルスケア」です。

まず1つ目の変革となる「手術」での活用ですが、代表的なのは手術プロセスの3Dモデリング化です。

 

Chris Faberさん(@chrisfaber)がシェアした投稿

複数人が携わる手術現場において、術式プロセスの認識合わせは極めて重要ですが、3Dモデリングはその課題に対して効果的なソリューションになります。

VRを活用することで手術プロセスや患部の状態を”文字情報”として共有するのではなく実際に手(筋肉)を動かして学ぶことができ、この身体を使った記憶、いわゆる「身体的記憶」をチーム全員で共有できるのが最大のポイントです。

この身体的記憶を集団学習するプロセスは手術の成功確度を高めると言われています。

2つ目の活用領域は「医師のトレーニング」です。

まず代表的な活用方法としては、「手術の疑似体験」でしょう。

 

 

2016年外科医のシャフィ・アハメドの外科医は、医学史としても初の執刀中にヘッドギアを装着し、手術のプロセスを一般公開しました。

この動画は地方に住む医療学生や、著名な医療業界のジャーナリスト、患者の親戚達など誰でも閲覧することができます。

「現場で見て学ぶ」事が必要な手術の学習において、執刀医と同じ視点で手術を体験できるようになったのは、外科手術の学習ハードルを劇的に下げた一例です。

他にも手術室そのものをVR化する事例なども出てきています。

(現実空間と遜色のない仮想手術室)

医療の革新が早いアメリカでは、すでに外科技術の内視鏡の使い方、患部の術式方法などの専門知識を習得するために、10人に6人がVRを使用していると言われています。

手術の練習上限として、これまで「人体(死体)の供給」という制約がありましたが、仮想空間ではあらゆるケースで模擬的環境を作り出すことができるため、学習機械の効率化が期待されています。

そして、最後のVR活用事例は「患者の心理的ケア」です。

一般的に入院生活は閉鎖的な空間で、他者との関わりが減ったり、薬の副作用と戦ったりと、心理的な苦痛の伴うものです。中には辛い入院生活の中で、生きる希望を失ってしまう人も少なくありません。

 

閉鎖的な病院生活でもVRデバイスを使うことで、患者は外の世界に触れることが可能になります。

VRの仮想空間を通じて家族と触れ合ったり、友達とボードゲームしたりすることは精神衛生的に良い効果を生むことは間違いありません。

患者がVRを通じて精神的に安定すことは、病院にとってはメンタルケアを担当する看護師の負担も減るため、双方にとって非常に価値のある取り組みと言えるでしょう。

他にもVRデバイスを通じた医療は、高齢者の認知症予防や脳卒中後の回復期間の短縮、恐怖症の改善、薬物投与の痛み軽減にも役立つことが科学的に立証されつつあり、患者のケアという文脈でも非常に期待されているのです。

医療業界の活用事例4選

さて、ここからは具体的に、医療業界でVRを使い革新を起こそうとしている企業を4つ紹介していきます。

トラウマやPTSDを治療するLimbix

精神医療の世界にはトラウマやPTSD(心的外傷後ストレス)を解決する方法として、エクスポージャー療法という、患者の恐怖の対象と共に向き合う行動療法があります。

この療法の中で精神科医は、対話を通じて患者の恐怖の対象や思い出を心に描き、恐れずに向き合う手助けをするのですが、VRによる仮想空間が恐怖体験と向き合うサポートとして有用という訳です。

Limbixが提供するVRソフトウェアでは

・事故を起こした患者向けの「運転シーン」

・人前でうまく喋れない人向けの「観衆への講演」

・閉所恐怖症の人のための「満員電車」

・高所恐怖症の人のための「高層ビルでの移動」

という様に症状別で様々な体験が用意されています。

ある調査によるとアメリカでは、年間4,300万人もの成人精神疾患にかかり、5人に1人が精神疾患を抱えています。その一方でセラピスト不足という問題から、医療費が高額化し患者の60%が治療を受けられていないというのが現状です。

こういった質の良い精神医療が受けられない人が急増している米国においては、このVRソフトの潜在的なニーズはかなり大きなものと見られているようです。

患者に鎮痛VRアプリケーションを提供する「AppliedVR」

AppliedVRは患者が治療中の痛みや不安を緩和する多くのVRコンテンツを制作しているスタートアップです。

同社は操作が簡単で誰でも没頭しやすい射的ゲームのようなものから、ヒーリング効果が期待できる瞑想アプリなど幅広く開発しています。

同社が言うにはVRケアの効果はモルヒネ並であり、ある立証実験では痛みの症状を訴える60名の患者にAppliedVRが提供するアプリを体験してもらったところ、20分間プレイすることで痛みが平均24%緩和されたと発表しています。

5年ほど前まで、VRを患者に提供するには高価な機器を必要としたことから医療費が高く一般人にとっては使いづらいものでしたが、VRデバイスの低価格化によって誰もが利用できる様になりました。

昨今はVRの普及ゆえに患者のニーズも多様化しており、同社としては今後あらゆる患者に個別最適化されたアプリの開発を進める方針のようです。

外科医用VRシミュレーター「ImmersiveTouch」

 

ImmersiveTouchは習得難易度の高い外科手術トレーニングツールを提供しているVR企業です。

CTスキャンした患者データを読み込み、デジタル空間上に患者の「双子」の様にそっくりな3D画像を投影。外科医は本当にそこに患者がいるかのような感覚で、外科手術のシミュレーションを行うことが可能となります。

ImmersiveTouchでは手術のリアルな感触を生み出すため、力覚フィードバック装置PHATOM(米国SensAble Technologies社提供)が、切開部位や摘出時のリアルな感触を体験者にフィードバックします。

これにより粘り気、硬さ、柔らかさ、摩擦といった感覚を再現することで、現実と遜色のないシミュレーションを実現しています。

さらに、このツールは患者と医者の意思疎通の手段としても有用なのもポイント。3Dモデルを使った手術のデモンストレーションを通じて、患者は自分の状態や手術の全容ををより深く理解でき、彼らの心理的状況や手術予算など、自分のニーズに合わせた選択をしやすくなります。

ImmersiveTouchソフトウェアはアーキテクチャとしても優れており、脳外科手術や脊椎治療など、様々な外科手術のシミュレーションが可能となっています。

リハビリをエンターテイメント化するVirZOOM

術後のリハビリは患者にとって避けては通れないものですが、VirZOOMのエクササイズ・バイクはリハビリや運動をエキサイティングな体験に変えるアプリケーションです。

 

 

ジムなどにある自転車型のエクササイズマシンと仮想空間を重ねることで、辛いリハビリがエキサイティングな運動に様変わりするというのが同社のコンセプト。

VirZOOMはこのVRサイクリングを牽引するベンチャー企業であり、独自のVR専用自転車と、患者の運動データを統合、解析できるVZセンサーを販売しています。

*XR-HubではVR・ARに精通した起業家による事業創造のコンサルティングも行なっております。VR・ARの「医療領域への導入サポート(市場動向の調査やビジネスモデル・戦略策定など)」も承りますので、興味ありましたらこちらからお気軽にお問い合わせ下さい。

まとめ

いかがでしたでしょうか?市場調査・コンサルティング会社の株式会社シード・プランニングが発表したレポートによると、国内の医療分野で使われるVR・AR・MRの市場規模は2021年に約153億円、2026年には約342億円となり、医学教育、治療分野が市場を牽引すると予測しています。グローバル単位で見るとそのマーケット規模は近い未来、数兆円の規模になるのはほぼ確実でしょう。

医療分野の発展にVR/ARがどのように寄与していくのか、今後もXR-Hubでは注目してたいと思います。

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XR-Hub 編集部