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クリエイター必見!VR空間の立体音響の作り方2選


VR編集に必要なのは映像技術だけでしょうか?

いいえ、違います。VR技術と切っても切り離せない関係にある「立体音響」。

「ステレオ」、「バイノーラル」、「ASMR」、「イヤホン推奨」、「耳かき音声」などの文字なら目にしたことがある方も多いのでは?その背景にあるのが「立体音響」です。耳の感じる音の方向性や、距離感を利用して臨場感を出すことができます。

VR動画において、臨場感の決め手になるといってもいい「立体音響」について、その音響効果や実際録音に役立つソフトまで紹介します。

立体音響とは何か?

立体音響とは「音を再生する際に3次元的な音の方向や距離、拡がりなどを聴覚に与える音響(音響システム)のこと」のことです。

「立体音響」は現在三つの方式があり、

・複数のスピーカーを配置し、多方向からの音源でサラウンド効果を生む方式(=ステレオ方式)

・22.2マルチチャンネル音響方式(=テレビ放送などへの利用)

・人間の聴感を直接再現する方式(=バイノーラル方式)

があります。これらの成果として現在下記のような技術が表れています。

立体音響の技術の成果①ASMR動画の音源

立体音響の3方式の中でも特にVR技術と切り離せないのが、人間の聴感を直接再現するバイノーラル方式です。

バイノーラル方式で録られたものには「ASMR」と呼ばれるものがあります。ASMR動画(音源)がこちらです。↓ ※イヤホン推奨

いかがでしたか、音源との距離感や、どこか気持ちの良い聞き心地を感じられましたでしょうか。

「ASMR」とはAutonomous Sensory Meridian Responseの略で、脳がとろけるように気持ちよくなる現象を指します。この現象自体、バイノーラル録音による立体音響がきっかけで登場しました。

まだまだ研究途中ですが、「耳かき音声」、「キーボードをたたいている音」、「咀嚼音」などを立体音響で流すことでASMRを得られると言われています。

立体音響の技術の成果②eおと®ポジショニング

立体音響の技術を活かした技術でもう一つご紹介しましょう。

通話している相手の音声に方向性を持たせて、コミュニケーションを円滑にするソフトで、eおと®ポジショニング(いいおとぽじしょにんぐというものがあります。

近年、LINEやskypeなどで多人数とのタブレット上で通話をすることが増えていますが、どの人がしゃべっているのか分からなかったり、同時にしゃべられると何をいってるのかさっぱり、なんてことがあると思います。

それを克服する技術がeおと®ポジショニングです。

eおと®ポジショニング

立体音響の技術はVRにおける空間認知の大きなカギとなることが期待されます。

立体音響の作り方4選

①バイノーラル方式で録音する – 録音機器を使う

実際にバイノーラル方式で録音する方法を紹介しましょう。

実際のバイノーラル方式専用の録音機器を使って行う方法と、ソフトを使う方法があります。

専用の録音機器を使ったのがコチラ↓


この動画のような、偽の耳・「ダミーヘッド」を用いて録音すると簡単に立体音響を作ることができます。

NEUMANN ノイマン / KU100 ダミーヘッドバイノーラルステレオマイク

価格は100万円程度でこちらはAmazonで購入が可能です。

しかし、上記のようなこのようなイヤホンの耳の部分にマイクがついているような録音機器なら1万円と比較安価に購入でき、録音機器を使えば簡単にバイノーラル録音ができます。

ダミーヘッドを用いる場合、録音はそのまますればOKですが、映像をつける時のカメラの配置が課題になるようです。

おすすめ商品)Roland ローランド バイノーラル マイクロホン イヤホン 

②ソフトを使って録音する

ソフトを使った方法を2つ紹介します。

(1)Bien

Bienというソフトを使った編集の方法があります。すでに録音した音声を、バイノーラル録音風に編集することができます。詳しい使い方、音源の作り方が以下のページにて紹介されています。

初めてでもできる立体音響の作り方【3Dサウンド】

windows対応のフリーソフトで、音源に対して方向と距離を指定して立体音響を作り出すことができる仕組みになっています。

Audacityという複数の音源を重ねることができるソフトと併せて用いることで、立体音響にすることが可能です。

(2)Resonance Audio(Google)

コンピューターの中に仮想の空間を作って、その空間における立体音響を再現するプラットフォームも実装されています。それがgoogle社開発のResonance Audioです。

Resonance Audio

その空間の形状だけでなく、マテリアルのもった音響特性も演算に組み込まれているので、本当に教会のような音響を再現するようなリバーブを掛けることができます。

「ギターの前側に居るのと後ろ側に居るので聴こえ方が違う」ような奥行きのある表現もできるプラットフォームで、Android、iOS、Windows、MacOS、Linux の各プラットフォームで動作するようです。

少し勉強が必要ですが、Web上でオープンソースになっていますので誰でも実践することができます。

※参考記事:ASMR動画で話題、「バイノーラルイヤホン」とは|選び方、おすすめまで徹底解説

立体音響がVRに不可欠な理由~感覚へのアプローチの加速

VRの最大の魅力はなんといっても、「そこにいる」感覚です。自分がその世界に入り込んでいて、相手や世界が実際に目の前にあって手を伸ばせば届きそうな感覚。

この感覚を得るのに最も重要な要素の一つこそが立体音響です。ここで、例を出して説明しましょう。

Oculus Rooms(Oculus Go搭載アプリ)

2018年5月に発売された「Oculus Go」をご存知でしょうか。パソコンもスマホも不要なVRデバイスです。

New realities are a demo away. Experience Oculus Go at a Best Buy near you.

Oculusさん(@oculus)がシェアした投稿 –  

これに搭載されている「Oculus Rooms」というアプリケーションが話題になっています。

oculus room

胴から上しかない不完全なアバターが宙に浮いて、VR空間上でコミュニケーションをとることができます。

このアプリでは視覚的には不完全であるにもかかわらず音の方向性や距離が、アバターのある場所の感覚と一致するため、「一緒にいる感覚」が強く引き起こされます。

Youtube動画やゲームにもこの音響技術を取り入れれば、仮想空間上での一体感・動画の中の人とのコミュニケーション・ゲームの中のキャラクターとの距離感などが、立体音響によってより効果的に生み出されるでしょう。

まとめ

これからよりリアルなVR空間を作っていくために欠かせないのがこの「立体音響」です。

仮想空間上における音源との距離や方向性を認知させるような音声を用いることで、「一緒にいる感覚」が強くなります。

パソコン不要で比較的安く買えるOculus Goが発売されたことで、VRが多くの人にとって手の届きやすい身近なものになっていくでしょう。

ダミーヘッドや、Google社の仮想空間から音響効果を逆算するプラットフォームもできています。このような技術を使いこなすことが今後のVR動画やゲーム空間を作成していく上でカギになるということは間違いありません。


VRを体験する男性

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