超高解像度HMD・Varjo 『XR-1』を徹底解説 – 基本スペックから価格、購入方法まで


フィンランドのスタートアップ企業である「Varjo」をご存知でしょうか?

2019年2月に発売しされた、超高解像度かつ超高価格のVR ヘッドセット『VR-1』が大きな話題を呼びましたが、新たにMRセットを2019年12月末に発売すると発表しました。

 それが、人間の眼と同等の解像度を備えた高品質なプロ向けMRヘッドセット『XR-1』になります。 

価格未発表ながら、なんと日本円で約66万円以上と見られています。

この記事では、

  • 「XR-1」の基本スペック一覧表・価格・購入方法
  • 「XR-1」を他社MRヘッドセットと比較した際の「3つの特徴」
  • 「XR-1」の想定用途

など、「XR-1」に関して徹底的に解説していきます。

最新HMDのキャッチアップにぜひご一読ください。

Varjo『XR-1』とは、”人の目”を再現するMRヘッドセット

Varjoは、フィンランドのヘルシンキに本社をもち、”人間の目”レベルの解像度を持ったヘッドマウントディスプレイを開発している企業です。

Varjoが2月にリリースした『VR-1』は、 『HTC VIVE Pro』や『Oculus Rift』などの現行世代VRヘッドセットの20倍以上の解像度を持ち、人間の目と同等レベルの解像度を実現して大きな注目を集めました。 

最新機種『XR-1』とは、『VR-1』に2基の高視野角カメラを搭載したもの。

VRとARを切り替て体験することができる”人の目”レベルのMRヘッドマウントディスプレイです。

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カメラ映像から高解像度のCGを合成し、ディスプレイに投影する「パススルー型」を採用

xr-1
「XR-1」。デバイス前に付いているカメラを通じて現実空間をディスプレイに投影することが可能。 「人の目」の解像度を誇るため、実際に前を見ている時と遜色ない体験が可能。

まず、前提として「MRヘッドマウントディスプレイ」には、映像の投影方法から大きく2種類に区分できます。

一つ目は、「HoloLens」で使われている「透過型」で、「コンピューターが作り出す映像を、透過型のグラスに投影することで、現実世界に重ねるAR技術」になります。

二つ目は『XR-1』も採用している「パススルー型」で、「カメラで認識した映像をヘッドセット内のディスプレイに投影する」というもの。これにより【AR⇄VR】のMR体験がよりシームレスに切り替えられるようになるのです(詳細)。

『XR-1』のカメラは「82度x82度」の視野角を持ち、解像度はなんと12メガピクセル。

アイトラッキング機能も備えているため実際のカメラ映像に高解像度CGを合成して、現状で最高品質レベルのMR体験を得ることができます。

フレームレートはなんと900Mhzであり、まさに 「人の眼と同等」のスペックを実現しているのです。 

ハードとしてのスペックが高い分値段も高くなると想定され、姉妹機『VR-1』が日本円で約66万円だったことから、プロ向けの超高級機として位置づけられています。

先に『XR-1』のスペック一覧や価格を見たいという方はこちら

※透過型のHololensの詳細情報

AR/MRの本命「HoloLens」のスペック・評判・使い方/事例など徹底解説!

「XR-1」が誇る3つの特徴 – 他のデバイスとの違いとは

そんなプロ向けの超高級機である『XR-1』は、現行のMRヘッドセットとどういった点が異なるのでしょうか?

 現在市場で売られているMRヘッドセットと比較したときの大きな特徴を3つ説明していきます。 

特徴①:2種類のディスプレイで”人の目”レベルの解像度に

そもそも、人間の目の解像度は「5億7600万ピクセル」。

しかし実は、人間がものを見るときに完全にはっきり見えているのは視野の中心2度ほどの範囲だけなのです。

これは腕を目の前に伸ばして両親指を並べたところと同じ範囲であり、

  • その範囲(視野の中心)に限っていえば700万画素程度
  • 中心の周りも考慮するとしてもプラス100万画素程度

で十分なのです。

『VR-1』や『XR-1』はこの発想の元に作られており2種類のディスプレイを活用しています。

視野の中心部分にピクセルの画素密度3,000ppiを誇る解像度1,920×1,080のマイクロOLEDディスプレイを配置します。

それ以外はHTC VIVE Proと同等の1,440×1,600のAMOLEDディスプレイが搭載することで人の目レベルの解像度を実現しています。

 この片目あたり2種類のディスプレイを使用していることが『VR-1』や『XR-1』の最大の特徴です。  

ただし、2つのディスプレイの境界はシームレスとまでは言えず、現状では多少気になる部分もあります。

特徴②:シームレスなMR体験 – ARとVRを違和感なく切り替えられる

もう一つのXR-1の特徴は、VRとARをシームレスに切り替えられることです。

まずはこちらの動画をご覧ください。

  • 現実空間(とある部屋)
  • Volvoの車が出現(AR)
  • 現実空間が、ヴェネチアの街並みに(VR)

と現実空間からAR、VR空間と化すまでのプロセスが非常にシームレスだったことが伝わりましたでしょうか?

非常に分かりやすいMR体験でしょう。

デバイス内臓のカメラを通して外部の景色を見る事を「ビデオパススルー」と言いますが、先日発売された『Oculus Quest』にも搭載されており、AR/VRヘッドセットにおける一つの流れになっているように感じます。

『XR-1』の優れたところは、ビデオパススルーで15ミリ秒以下の低遅延を実現していることです。

<Volvo x Varjo XR–1: Pave the Way>

Varjoは『XR-1』の発表で、フィンランドの自動車メーカーVolvoとのパートナーシップを紹介しましたが、 『XR-1』を装着したまま公道で自動車の運転ができると謳い、運転に耐えうる遅延であることを強調しました。 (実際には絶対にしないでください。捕まります)

これほど「実空間の認識⇄3DCGモデルの投影」がシームレスであるデバイスはなく、「XR-1」最大の特徴でしょう。

特徴③:視線の中心部のみを高解像度で描画するアイトラッキング技術

最後の特徴が「アイトラッキングの使い方」。

先進的なアイトラッキング技術に「フォービエイデッド・レンダリング」というものがあります。

これはアイトラッキングを使って視線の中心部分のみを高解像度で描画し、周りを低解像度で描画するというもの。

これによってパネル全体を高解像度にする必要はなくなり、バッテリーやCPUにおける負荷の低減が可能になります。

『VR-1』や『XR-1』では目の動きによって高解像度部分が移動する方式は使われておらず、“固定した”フォービエイデッド・レンダリングが行われています。

完全なフォービエイデッド・レンダリングを実現するには、中心部分のマイクロディスプレイをアイトラッキングに従って物理的に動かす必要がありますが、現在Varjoは実装していません。

『XR-1』ではディスプレイを動かすフォービエイデッド・レンダリングの代わりに、 現実空間を高解像度・低遅延でキャプチャするためにアイトラッキングを使っています。 

これにより、ユーザーは常に鮮明な映像を体験することができるのです。

『XR-1』の活用メリットとデメリット

メリット:『XR-1』は複雑なMR体験を可能し、業務用途分野での利用が加速

『XR-1』が搭載する「Bionic Display™」 は、視野角1度あたり60ピクセルというこれまでにない高解像度により、人間の目と同じレベルでのVR/MR体験を提供します。

Bionic Display™ を使うと、すべてのディテール、テクスチャ・輪郭・色は、現実世界と同じように明確で鮮明に表現され、微細なテキスト文字や、遠くにあるオブジェクトの視認や判別をすることも可能となります。

従来のVRヘッドセットを体験された方はお分かりだと思いますが、 パススルーで表示する文字がはっきり見えるということはかなり画期的なことなのです。 

これによって、従来のヘッドマウントディスプレイでは解像度不足により困難と指摘されていたプロフェッショナルな業務用途分野での利用、つまり、 複雑なトレーニングシミュレーション、建築モデル、3DデザインなどでのMR体験が可能となります。 

デメリット:『XR-1』は機動性と長時間利用に課題あり

逆に『XR-1』の欠点を見てみましょう。

まず、ケーブルによるPC接続が必要ということです。『Oculus Quest』や『HoloLens』などのスタンドアロン型ヘッドセットに比べると、機動性においてかなり制限がかかるといえます。

また、1kgを超える『XR-1』は500g程度の『Oculus Quest』や『Oculus Rift S』に比べると非常に重量感があり、正直な所、長時間の利用には向いていません。

しかし、圧倒的な高品質MR体験は唯一無二の存在であり、プロ用のデザインソフトやレンダリングソフトと連動させることを重視していることからも、産業用途での利用を強く意識したものであることは明白でしょう。

最高マーケティング責任者(CMO)のユッシ・マキネンが、

「消費者向けの製品をプロ市場用に改良したものではありません。プロのために、プロとともにつくり上げた製品です」

と胸を張っていうのもうなずけます。

『XR-1』発売日・購入方法・価格とスペック詳細

Varjo「XR-1」は2019年12月末発売!”ELSA JAPAN”で取り扱い中

『XR-1』は2019年12月後半に発売を予定しているとのことです。

日本国内では、株式会社 エルザ ジャパン(東京都港区、代表取締役社長:内藤万義)がVarjo Technologiesと国内正規代理店契約を結んでいます。

エルザジャパンではXR-1の姉妹機であるVRヘッドセットの「VR-1」は2019年9月前後に発売とされていますが、2019年9月中旬現在においてはまだユーザーの手元には届いてない様子です。『VR-1』を購入した方には、『XR-1』へのアップグレードプログラムもあるそうです。詳細は近日中に発表されるとのことなので、最新情報のキャッチアップをお忘れなく!

<『XR-1』スペック>

カメラ

・2基のカメラ、視野82° x 82° 

・12 メガピクセル 90 Hz. Fixed focus 

・センサーサイズ1/3’’ ピクセルサイズ1.55μ

イメージパイプライン ・4 streams (2 per eye):
1008 x 1008downscaled from the full 12 Mpx
+
foveated 834 x 520 full resolution crop.
ディスプレイ

・Bionic Display(over 20/20 vision (over 60 PPD / 3000 PPI),

・フリッカフリースクリーン

・リフレッシュレートは60/90 Hz

・中心部:解像度1920 x 1080 低パーシスタンスのマイクロOLED

・周辺部:解像度1440 x 1600低パーシスタンスのOLED

・遅延15ミリ秒以下

アイトラッキング

・100Hzステレオアイトラッキング

・メガネやコンタクトレンズをつけていてもトラッキング可能

深度センサー ・2基の広角カメラに赤外線センサーを搭載
トラッキング ・SteamVRとARTに対応
重量

・1065g (ヘッドバンドを除く)

・1315g(ヘッドバンド込み)

価格 ・未定(参考:姉妹機のVR-1は約66万円)

<『XR-1』用PCの推奨スペック>

プロセッサ

Intel Core i7-8700

AMD Ryzen 7 2700

GPU

NVIDIA GeForce® RTX 2080

NVIDIA Quadro RTX 6000

メモリ 32 GB
空き容量 2GB
ビデオ出力 2 x DisplayPort 1.2
USBポート 1 x USB-A 3.0
OS Windows 10 (64-bit)
コネクターポート Thunderbolt 3

まとめ:『XR-1』はMR体験の次元を引き上げるデバイス。

Varjoのソリューションは、従来のMR体験をワンランク引き上げるものであることがお判りいただけましたでしょうか。

その性能もさることながら、高価なことが注目されてきたVarjoのソリューションですが、 この圧倒的な品質のVR/MR体験は、自動車メーカーや設計事務所、航空会社などに革新を与える可能性があります。 

例えば驚くほど高価なフライトシミュレーターに比べれば、『VR-1』や『XR-1』の価格は非常に安価なものであり、ある航空会社は、「パイロットふたり分の訓練費用でヘッドセットと専用PCのコストを回収できる」と話していました。

2019年に入って、産業用途のAR/VR利用が進んでいますが、Varjoは間違いなくその中心に位置していると言えます。

<Varjo: Mixed reality test shoot>


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XR-Hub 編集部