HTC Vive Focusは買うべき?機能や価格を他のHMDと徹底比較
海外でが昨年11月に発表されたHTC社の新型VRヘッドセットであるVive Focusは、美しい有機EL液晶と外部センサーなしでのモーショントラッキング機能を備えていることで注目を集めています。
日本では2018年10月30日より販売が開始したHTC Vive Focusですが、同じカテゴリの製品であるOculus Goなどと比較すると価格が高くなります。
Vive Focusはどんな特徴があるのか、どんな層を狙った製品なのか。他のVRヘッドセットやVRゴーグルと様々な面から比較し、その機能と魅力に迫ります。
Contents
Vive Focusとは-価格と3つの特徴
Vive Focusは2017年11月にHTCから発表されたスタンドアロン型VRヘッドセットです。
PCへの接続が必要なく、ヘッドセット単体でVRコンテンツの体験が可能となっています。
PCへのケーブル接続が必要ないということは、利用シーンが大幅に広がるということであり、Microsoft HoloLensが切り開き、Oculus GoやLenovo Mirage Soloに続き、HTCが投入したVRデバイスとなります。
Vive Focus Trailer
特徴①有機ELディスプレイで上質なVR体験が可能
Vive Focusの搭載液晶は2880×1600と上位機種「HTC Vive Pro」と同じ解像度が採用されており、有機ELディスプレイで再現される美しい映像には引き込まれるものがあります。
VR空間への没入感やコンテンツ体験の質などにおいてはトップクラスでしょう。
後に他機種との比較に触れますが、液晶にこだわっている部分はVive Focusの大きな特徴となっています。
特徴②パススルーモードを搭載
ヘッドセットを外さなくても外部カメラの映像をそのまま映すことで周囲の状況を確認することができる「パススルーモード」も搭載しています。
また、Vive Focusはスマホ連携が可能であり、ヘッドセットを装着したままスマホのメールを確認したり、電話に応答することができるようになっています。
なお現状で連動できるスマホは、HTC社製の一部のスマホに限られています。
特徴③外部カメラ不要のトラッキング機能
Vive Focusのもう一つの特徴は、センサー等を必要とせずに動き回れるインサイドアウト・トラッキングと呼ばれる技術を搭載していることです。
センサーがヘッドセットに組み込まれており、計測したい対象物自体に搭載したセンサーを利用して対象物の位置を計測する方法で、外部カメラを必要とせずにユーザーの位置を割り出すことができるのです。
このインサイドアウト・トラッキングはHoloLensが採用しています。
この2つの特徴が、同じくスタンドアロンVRヘッドセットで、比較対象となるOculus GoやMirage Soloとの差別化となっており、どちらかといえばHoloLensに近い立ち位置の製品に思えます。
気になる価格や本体の重量を比較
気になる価格ですが、限定カラーの青色が670ドル(約73,000円)、白色が625ドル(約68,000円)とOculus Goの2万3800円(32GBモデル)やMirage Soloの5万5296円と比べて高価格帯となっています。
先行する両製品とはポジショニングが違うことを表しているでしょう。
重量は公表されていませんが実機の計測によると約680gです。
467.5gのOculus Goなどに比べるとやや重めではありますが、装着感は非常によく、重さをあまり感じさせません。
HTC Vive Focus hands-on
Vive Focusで利用できるコンテンツは、HTC独自のプラットフォームViveportで配信されます。VRゲーム、360度動画、教育などさまざまなアプリの配信が予定されています。
また、ゲームや動画といったスマートフォンのコンテンツをVive Focusに転送して、VRの大画面で楽しむことができます。
さらに「VRidge for Vive Focus Beta」を使うと、一部のPC向けVRコンテンツも、Vive Focusのコントローラーを使用することで楽しむことができるようになりました。
引用元:https://www.wareable.com/media/images/2018/03/htc-vive-focus-vr-controller-1519914878-tfOn-column-width-inline.jpg
Vive Focusは中国にて今年1月に発売、3月には全世界出荷がHTCより発表されましたが、日本では暫くの間販売日が未定でした。
日本発売はまずは開発者向けキットの出荷からとなりますが、技適取得後となりますので少し時間がかかっていたのが背景のようです。
ただ、こちらに関しては2018年10月末よりtoB向けに販売が開始されています。
Vive Focus Headset Review
Vive Focusの凄さ・性能- vs Oculus GoやMirage Soloで比較
VIVE Focusは本体にクアルコムのSnapdragon 835をプロセッサとして搭載。
本体だけでなく、外部ストレージとなるmicroSDカードに読み込んだコンテンツを単体で再生することが可能です。
前面にはふたつのカメラが搭載されており、Mirage Soloと同様に6DoF(6自由度)に対応している、いわゆる「ポジショントラッキング」が可能なので、VR空間を自由に歩き回ることができます。
これは視点の回転のみにしか対応していない3DoFであるOculus Goにはできないことです。
同じスタンドアロン型VRヘッドセットであるOculus GoやMirage Soloと比較してみましょう。
Oculus Go | Mirage Solo | Vive Focus | |
製造メーカー | Oculus VR/小米科技(シャオミ) | Lenovo | HTC |
サイズ | 実測約190×130×100mm | 約204.01×269.5×179.86mm | 実測約200×270×130mm |
重量 | 実測467.5g | 約645g(実測666g) | 実測681g |
OS | Androidベース | Daydream 2.0 | Androidベース |
プロセッサー | Snapdragon 821 | Snapdragon 835(APQ8098) | Snapdragon 835 |
メモリー(RAM) | 3GB | 4GB | 不明 |
ストレージ(ROM) | 32GB、64GB | 64GB | 32GB |
外部ストレージ | なし | microSD(最大256GB) | microSD(最大2TB) |
ディスプレイ方式 | LCD液晶(2560×1440ドット) | IPS液晶(2560×1440ドット) | 3K有機EL(2880×1600ドット) |
ディスプレイ視野角 | 不明 | 110度 | 110度 |
リフレッシュレート | 60Hz/72Hz | 75Hz | 75Hz |
動作時間 | 約2〜2.5時間 | 約3時間 | 連続使用:最大3時間
待機状態:最大1週間 |
モーショントラッキング | 3DoF | 6DoF | 6DoF |
スピーカー | 内蔵 | なし | 内蔵 |
通信方式 | 802.11 a/b/g/n/ac | 802.11 a/b/g/n/ac | 802.11 a/b/g/n/ac、Miracast |
マイク | シングルマイク | デュアルマイク | 内蔵マイク |
インターフェース | microUSB端子、 | USB type-C端子、 | USB Type-C |
3.5mmヘッドフォン端子 | 3.5mmヘッドフォン端子 | 3.5mmヘッドフォン端子 | |
コントローラー | 付属(タッチパッド、3ボタン、単3電池) | 付属(タッチパッド、2ボタン、充電式) | 付属(タッチパッド、9軸センサー、3ボタン+トリガー、単4電池x2本) |
アプリストア | Oculus Store | Google Play | VIVE PORT |
価格 | 32GB:2万3800円 64GB:2万9800円 |
5万5296円 | 青色:670ドル(約73,000円:限定色) 白色:625ドル(約66,750円) |
見ていただければお分かりの通り、Oculus GoはVR体験のエントリーモデルであり、Vive Focusは液晶やモーショントラッキングシステムに力を入れたMirage Soloの上位的なポジションを狙っていることがわかります。
また、VIVE Focusのコントローラーは現在3DoF(3自由度)対応ですが、今後フロントカメラを利用することで6DoFコントローラーのように振る舞う機能が搭載される予定となっています。
VIVE Focusはアプリの開発に「VIVE Wave」を利用します。
WIVE WaveはUnityにも対応していますが、WaveSDKは現状では最新版であるUnity2018をサポートしていないようですのでご注意ください。(ビルドは通るものの、実機で実行できないようです)
引用元:https://www.vrroom.buzz/sites/default/files/styles/article_top_banner/public/vr_vive_focus.jpg?itok=-dTjQIHf&c=76b0b8fa32c7bb8e46273b455a004035
HTC Vive Focusレビュー:購入はどんな人におすすめ?
比較でも触れましたが、HTC Vive Focusは中級レベルのVR利用者層に向けた製品であるといえるのではないでしょうか。
この分野のさらに上位はMagic LeapやHoloLensであり、エンターテインメント用途及び業務用利用に向けた製品位置づけとなるようです。
Vive Focusの大きな特徴の一つは、美しい有機ELによるL高解像度の映像表現力にあります。VRの大画面で映像を楽しみたい方やVRゲームを長時間楽しみたい方にはお勧めです。
また、VRで問題になる「VR酔い」には解像度とリフレッシュレートが大きく関わっています。
現実空間で見えるはずの動きと、画面上で動く映像のカクカク感のギャップがVR酔いにつながるのですが、Vive Focusの美しい液晶はこの問題を改善するものと思われます。
また「パススルーモード」の搭載により、現実空間とVR空間をシームレスに見せるMixed Realityにも対応していくと思われます。
エンターテインメント利用だけでなく、業務利用での活用シーンも増えていくのではないでしょうか。
Vive Focus Smartphone Integration Features
日本では2018年10月30日より発売!
待ちに待たれた日本での販売ですが、2018年10月30日よりビジネス向けに販売が開始されました。
Vive Focusは元来中国市場向けのHMDであり中国メインでの展開でしたが、2018年10月30日よりビジネス向けではあるものの日本においても販売が始まりました。
※HTC Vive Focusのお問い合わせはこちら(HTC公式)から
気になるお値段は、エクスプローラーエディションが66,750円(税抜き)。
VIVE FOCUSの商用利用をサポート(法廷要件を満たし、専用サポートとサービスユーティリティを提供)する「VIVE Focus用アドバンテージパック」も17,950円(税抜)で販売されています。
※商標は2年保証になります
まとめ(新競合はOculus Quest?)
美しい有機EL液晶を搭載し、外部センサーなしでモーショントラッキングを行えるVive Focusは、VRの新しい適用分野を切り開く可能性があります。
パススルーモードでヘッドセットを外さずに外部の景色を表示させることもできるようになり、MRの分野でも活用が見込まれます。
日本での正式発売が待ち遠しいですね!
また、競合にあたる新製品としては2018年10月に公開された最高水準のスタンドアローンデバイス、Oculus Questもありますので、こちらもぜひチェックすることをおすすめ致します!
HTC Viveの他の製品や仕組みについて興味がある方はこちら→)【HTC Vive徹底解説】スペックから設定方法、おすすめゲームまで
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