VR会議システムの導入メリットやデメリット、活用事例を徹底解説!
海外ではすでにリモートワーカー中心に導入事例が出ているVR会議。
これは参加者がHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着し、オンライン上のVR空間に集まって会議を行うこと指します。
バーチャル上のVR会議室で打ち合わせをするため、参加者が物理的に集まる必要がなく、未来の働き方として国内外でも注目集めるVR領域の1つです。
企業が導入すれば従業員の交通費や時間コストの削減など見込めるVR会議ですが、この記事ではVR会議の概要とメリット、デメリット、導入事例などを解説します。
Contents
VR会議に必要なもの・機材、環境
VR会議のためのVR会議室はインターネット上に作成されるため、参加者はインターネット環境が必須です。
また、VR会議を開くには後ほどご紹介するVR会議のシステム提供会社と契約し、VR会議のアプリケーションを参加者の各端末(パソコン)にインストールする必要があります。
もちろん参加者には1人1台VRゴーグルが必要です。
VR会議導入を検討してる人向け記事→)おすすめVRゴーグル5選!それぞれの価格/スペックを解説
VR会議のメリットは非言語情報の伝達
遠隔地にいる人同士がリアルタイムにコミュニケーションをとることは、今までもテレビ電話の技術で可能で、すでにインターネットの普及により、ネットを利用したチャット、通話、ビデオチャット、などでVR会議に近い状態を作ることができました。
しかしVR会議はそれらのリアルタイム通信手段と比べても格段に臨場感があり、VR(バーチャルリアリティ)の名の通りで、本当に会議室に集まって会議をしているような臨場感を再現することが最大のメリット。
従来の方法でも「情報が一方方向に流れるだけの報告系会議」では電話やチャットでも問題なかったかもしれませんが、下記の要素が揃う場合、オンライン電話では厳しいことがあります。それは
- 論点が複雑になる議題の場合
- 参加者が3人以上いて、言語情報のみでは認識のズレが生じやすい状況
という時です。このような時に、論点やデータをビジュアライズしながらコミュニケーションが取れるVR会議は非常に重宝します。
しかもVR空間内ではそれぞれの参加者のアバターが作成され、参加者の身振り手振りに連動します。
また今後の技術の進歩によって「細かい顔の表情」も再現出来るようなるはずです。このような、表情から読み取れる非言語情報を伝えることが出来る点も従来のコミュニケーションツールにはない特徴です。
VR会議は専用のデジタルタブレットとペンを使えば、VR会議内でホワイトボードのように使うことができます。
またVR会議では3DCGやCADも再現できるため、建築物の事前確認や医療現場における手術の術式手順の確認などでは非常に役立つツールとなっています。
VR会議は遠隔地にいる人同士がVR上で一箇所に集まれる利点があるため、企業による各支店同士の会議や、リモートワーク中の従業員を会議に参加してもらうことが可能になり、これらは移動費用、時間的コストなどの軽減につながります。
VR会議が普及すれば社員のリモートワークの許容範囲を広げる企業も増えるかもしれません。
VR会議のデメリットは導入コストの高さ
2018年現在、VR会議を行うにはそれなりの設備投資が必要です。
クオリティの高いVRソフトウェアを起動させるにはそれなりに高スペックのPCとHMDが必要になります。
VR会議を運用するには参加者の端末すべてに上記のような設備を常設する必要があります。コスト要素としては
- ハイスペックPC:15~30万円(初期コスト)
- VRゴーグル(HMD):4~6万円(初期コスト)
- VR会議のソフトウェア使用料金(固定コスト)
がメインになります。こう見ると1人の環境を整えるだけで20万円ほどの初期投資が必要になる計算です。
単純な投資対効果で考えるなら、
- 継続的に発生する会議のための移動や実施コスト
- VR会議システム導入と運用コスト
の比較ということになります。
ただしVR会議を導入していることで「働き方改革に積極的に取り組んでいる」という企業ブランディング、採用への効果も期待出来るため、一概なROIだけでは判断出来ないのが難しいところ。
それと忘れていけないのはOculusシリーズの最新製品スタンドアローン型「Oculus Quest」の登場です。
Oculus QuestのようなPC不要な高性能VRの登場によって、上記で提示した初期費用の20万円が4~5万円代まで圧縮される可能性は十分あります。
関連記事)VRの夜明けが来る?Oculus最新作のQuestの性能が尋常じゃない話。
VR会議がもっと身近になるのは、ハードウェアの開発が進むことで今よりも導入コストが安く利用できるようになってからになるはずですが、意外とそのタイミングは早く来る(2019~2020年頃?)ではないかと筆者は想定しています。
国内外の導入事例と実効果
それではここからは具体的なVR会議の導入事例を見ていきましょう。
総論としては、国内/国外に複数の拠点を置いているため拠点間の円滑なコミュニケーションが重要になる大企業では、ことさらVR会議導入ニーズが強いようです。
KDDIが自社の会議にVR会議を導入
携帯電話キャリアやインターネット回線でお馴染みのKDDIは2018年の10月から一部の自社の会議にVR会議を導入したことが報道されました。
実際にVR会議の体験談には、バーチャル体験で目の前にアバターがいるように見えるため、ビデオチャットと比べても没入感が高く、従来のビデオ会議よりも会議メンバーの連帯感も実感できた、といった意見が多いようです。
VR会議室システムを提供する国内のVR企業
VR会議のアプリを提供する事業者は世界に無数に存在し、日本語にローカライズされている製品も多いですが、VR会議のアプリを提供する国内企業をご紹介していきます。
株式会社Synamonの「NEUTRANS」
株式会社Synamonは東京都品川区に拠点を置く、VR技術のサービス提供する企業です。
株式会社Synamonが提供するVR会議のサービスが「NEUTRANS」です。
対応するVR機器は「Oculus Rift」「HTC VIVE」「Windows MR」ですが、PCの画面さえあれば参加できるモードも備えています。
契約期間は6カ月からで、初期導入費用は100万円(税別/VR対応PCとVR機器×2セット、設定費用含む)。
1ライセンス月額10,000円で、最小契約数は5ライセンスとなっています。
XR-HubではVR会議の導入の無料コンサルティングを行なっています。お気軽にご相談ください。
NECがVR会議システムを開発中?
日本の大手電子企業、NECは人工知能(AI)のノウハウをVR会議に取り入れた、独自のVR会議システムの開発を進めていることがわかっています。
2018年現在の情報では、VR会議中のプレゼンテーションの際にAIのアシストを活用できるような仕組みを構築しており、2019年に発表を目指しているようです。
(海外)VRハード開発元のViveがVR会議専用アプリを開発
海外事例として注目すべきポイントとして、VRゴーグル開発元のHTCが、スタンドアローン型デバイス「HTC Vive Focus」で使えるVR会議ソフトウェア「Vive Sync」を発表しています。
HTCによると、本アプリは最大で20名の参加が可能であり、すでにVolkswagenやSimForHealthなどの錚々たるグローバル企業が、すでに研修やシミュレーション、製品設計にViveを利用しているとのことです。
まとめ
VR会議は物理的に離れていても、オンライン上でリアルタイムに会議を開くことができるVRコンテンツです。
よく似たシステムにビデオチャットがありますが、従来のビデオチャットと比べると現実の会議特有の臨場感、没入感を得ることができる点が画期的です。
ただし現状ではやや運用コストが割高のため、個人で楽しむソーシャルメディアというよりは、大企業が会議による移動コストなどを削減するためのコンテンツとして導入されている現状のようです。
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