Magic Leapアンバサダー対談!Magic Leapコンテンツを日本から世界へ
2020年11月より、Mixed Realityを表現するMRデバイス「Magic Leap」を日本で発展させるため、Magic Leap Japan合同会社より公式アンバサダーに任命された、徳山 禎男氏と松下 日昇氏。
そんなお二人をアンバサダーに任命した、Magic Leap Japan合同会社のGeneral Manager石川 里美氏の三名へZoomでの対談インタビューを実施しました!
この記事では、Magic Leapアンバサダー任命における、
- Magic Leapアンバサダー発足・任命の経緯
- Magic Leapアンバサダーの役割・ミッション
- Magic Leapアンバサダーの原点
- 日本支社も含めたMagic Leap社の今後の展望
など、日本のMagic Leapの最前線にいる御三方が語る、AR/MR業界に関わる方にとっては必見の内容になりますので、ぜひ最後までお読みください!
Contents
Magic Leap Japanトップが語るアンバサダー任命の経緯
本日は宜しくお願い致します。
まずは、世界初の公式アンバサダー発足の背景をお願い致します。
グローバル全体に期待される日本の開発者のポテンシャル
石川:宜しくお願いします。
今回のアンバサダー制度設立の背景はMagic Leap本社が 日本の開発者のスキルと能力、日本のマーケットに対して非常に期待をしている ためです。
(Magic Leap Japan / General Manager 石川 里美さん)
もちろん、ドコモさんという力強いパートナーがいることも1つありますが、デベロッパーの皆様の開発力が高いことなどもあり、日本に対しては非常に強い期待をアメリカ本社でも持っています。
現在Magic Leapグローバル全体では、完全に法人ビジネスにシフトするという話がありますが私からしてみるとBtoBtoC、いわゆる開発者の方向けや、エンターテインメント、スポーツ業界などは法人の一部と考えていますので、その部分の開発が強いデベロッパーの方が日本には多いと感じています。
それはどういったところから感じているのでしょうか。
石川:以前、ドコモさんに開催していただいた『Magic Leap Challenge』というリモートハッカソンの成果物には、他の国では出てこないような発想で創作されたコンテンツがありました。
(2020年9月に開催されたMagic Leap Challenge)
そういったこともあり、 Magic Leapの日本への熱量は本国アメリカを除けばナンバーワンです。
このような日本のポテンシャルを踏まえて、今までもMagic Leapをサポート、世の中に発信していただいている徳山さん、松下さんと、さらにMagic Leapの開発を日本で広げたいというのがアンバサダーを発足させた経緯です。
日本のアンバサダーはこの二人以外考えられなかった(石川氏)
ありがとうございます。なぜこのお二人を任命されたのでしょうか?
石川:一言でいうと、この二人以外考えられませんでした。
私自身、Magic Leapが日本でドコモさんとパートナー契約をしたあとにジョインしているので、お二人のほうがMagic Leapの世界では先輩です。
元々、Magic Leap 1がアメリカで発売されたのが2018年8月8日。その2ヶ月後にロサンゼルスで『L.E.A.P.カンファレンス』というMagic Leapのカンファレンスが開催されたのですが、日本の方では徳山さんと松下さんだけでした。
Magic Leapに早い時期から関心を持ってらしたお二人だったのですね。
Magic Leapアンバサダーに期待している役割やミッション
では、現時点でアンバサダーの具体的な役割をお伺いしてもよろしいでしょうか?
開発者へは情報の発信、Magic Leapへはフィードバック
石川:まずアンバサダーのお2人には、一番Magic Leapのことを活用していただき、そのナレッジをこれからMagic Leapを使って開発したい、 今後のMagic Leapの製品に興味があるという開発者の方向けに発信していただきたい と思っています。
そしてMagic Leap側にいる私たちに対しては、 使いこなしているからこそ分かるMagic Leapの良い点・悪い点をフィードバック をして頂けたらと思っています。
例えば、このユースケースでは向いているが、この様な条件があるとMagic Leapは合わない…といった知見など、ユーザビリティも含めたアドバイスをこれからもいただきたいなと思っています。
加えて、例えば次期製品が出てくる時などにもアンバサダーのお二人には、世の中よりも先に体験していただいて、フィードバックをいただいて、実際の開発の部分にも繋げていきたいですね。
極めて明快に答えていただいてありがとうございます。
この期待値についてアンバサダーのお二人にもお伺いしたいのですが、いかがでしょうか?
Magic Leapで創れる世界を発信していきたい(松下氏)
松下:そこは僕としても協力できたらなと思っているところです。
(Magic Leap アンバサダーの1人 松下 日昇さん)
そもそもMagic Leapをサポートする気持ちになったきっかけは、Magic Leapが考えていたMagic verse(マジックバース)という概念が僕のイメージしていた世界に一致したということが大きいです。
そういったことから、 Magic Leapと自分が目指している世界は間違いなく同じだと思えました。
僕も最終的にはその世界にいたいので、アンバサダーとして「Magic Leapを使ってこんな世界が創れるんだよ」というのを発信していきたいなと考えています。
あとは、せっかくドコモさんがいろいろ日本でのコンテンツ開発を盛り上げていただいている段階なので、その波に乗ってMagic Leapコミュニティをさらに盛り上げたいです。
この話を受けた時はどんなお気持ちでしたか?
松下:素直に任せてもらえて光栄だと思いました。
今までのいろいろなご縁に起因することだとは思いますが、ご期待に応えられるように開発者としても発信者としても頑張ろうと思います。
多様な開発者がMagic Leapに興味を持つ発信をしていきたい(徳山氏)
ありがとうございます。徳山さんはいかがでしょうか。
徳山:私はアンバサダーとして、 コミュニティ活動をさらに推進したい ということがまず一つとしてあります。
(Magic Leap アンバサダーの1人 徳山 禎男さん)
徳山:2018年10月に有志でMagic Leap Meetup、あと2019年1月にもMeetupを開催しましたが、それから恐らく一年ぐらいできていない状態で…。
当時は、まだMagic Leap Japanも無く、ドコモさんとの提携以前の時期に実施していたので、コミュニティとかMeetupを開催するまでの準備にすごく時間をかけていました。
ですが、このアンバサダーに任命いただいたことでMagic Leap Japan公認として、よりオフィシャルな形での活動や発信ができる場を増やし、Magic Leapを知らない人たちへの認知を広げたいなと思っています。
具体的にはどんな方々に発信していきたいとかはありますか?
徳山:Magic Leapは現在、UnityやUnreal Engineなど一部の共通的な開発ノウハウに興味を示した方が、アプリケーション開発をしている傾向があると思っています。
しかし、いわゆるWebXRとかWeb向けのコンテンツもMagic Leapで表現できるのですが、それがまだ認知されていません。
日本に限らず、多分アメリカでもあまりそこまで込み入って開発している人は意外に少ないのが現状です。
そのため、少し違う開発者さん、例えばWeb系のエンジニアさんにもMagic LeapでのSpatial Computingの表現があって 「こういった開発ができるんだ」という発見の一助になれるようにアンバサダーとして活動したい と思っています。
確かにMagic Leapの開発となると、今までのWeb開発とかシステム開発からちょっと外れたクラスターにいるイメージがありますね…。
Magic Leapアンバサダー二名のMagic Leapとの出会い
では次に、原点を振り返ることになりますが、お二人がMagic Leapに興味を持ったきっかけは何でしょうか?
徳山:私は以前、HoloLensを使ったシステム開発のプロジェクトに参画していたことがありました。
その時のお客さまの中に、今までにない新しいテクノロジーを使ってプロトタイプのアプリケーションを開発して、提案をしていきたいというクライアントがいまして、その時、偶然Magic LeapのSDKがリリースされました。それがきっかけで触りだすようになります。
当時は日本の開発者がいなかったため、個人で動画などをネット上にアップしていたらMagic Leapの方に見ていただき、そこからやりとりが始まりました。このことがきっかけでMagic Leap社から Super Leaper Awardという賞を受賞させていただきました。
【Super Leaper Award & Magic Leap One(2018年)】
Super Leaper Award and Magic Leap One. #マジックリープ pic.twitter.com/7hcx9t3BGQ
— Sadao Tokuyama @ Magic Leap Official Ambassador (@tokufxug) September 17, 2018
それ以降、Meetupなどの活動に参加して支援を続け、今に至ります。
ネットにあげたら海外の本社の方が見るってすごいですね…。
松下さんはいかがでしょうか。
松下:僕が直接Magic Leapの存在を知ったのは、2015年の最初のPVで、その時から映像の迫力にとても期待していました。
【Magic Leap オリジナルコンセプトビデオ(2015年)】
2018年に、当時インターンで所属していた会社がMagic Leapを購入してくれて。
『L.E.A.P.カンファレンス』に行く前の9月ぐらいに日本に届いて、日本じゃ直接は使えないので社内の電波暗室内で使って…というのが最初のMagic Leapとの接点ですね。
そこからMagic Leapのビジョンに共感し、サポートを続け今に至ります。
Magic Leap Japanの今後の動きや展望
今後Magic Leap Japanとして、今後の動きや展望について教えて下さい。
パートナーと日本のMagic Leapコンテンツを世界へ
石川:まず一般の方には、Magic Leapを見て、触って、コンテンツを体験していただくことで、 AR/MRのテクノロジーを知らない方でも「すごく面白い。これどうやって使うの?」と関心を持っていただきたい と思っています。
(Magic Leapを活用した観光案内を体験できる「SHIBU HACHI BOX」)
少しでも興味を持った方は、「自分たちのビジネスにどう繋げていくか」を考えていただけるのですが、実際にMagic Leapでどのようなソリューションを作るか?まではあまり詰められていないのが現状です。
例えば、コロナ禍による必要以上の人員を現場に来させないようにMagic Leapでサポートする…となると、どうしてもそこでソリューションが大事になってきます。
なので今後の大きなチャレンジとしては、 Magic Leapの開発をしてくれるソリューションパートナーさんを増やして、なるべく早く日本発信での成功事例をつくっていきたい と思っています。
HoloLensさんの成功も私としては嬉しく見ていて、そういったAR/MRのテクノロジーや、ソリューションに関わる方々が増えればMRの世界も広がってくると思います。
共にソリューションをしていくパートナーを募集中ということですね。
石川:はい、ドコモさんにもエンターテインメント系や、科学博物館での展示、謎解きゲームなどを創作いただいていますが、プラスして 法人のユースケースを様々な業界で創って行きたい と思っています。
例えば、Holoeyesさんからは医療の分野で活用いただいて、貴重なフィードバックをたくさんいただいています。
最終的には、 日本でつくったユースケースを逆にアメリカに輸入してもらって「日本ではこういった使い方があるのか」と、早く思わせたい というのが私の野望でもあります。
石川さんの貴重な野望もいただきました!
日本のユースケースを世界にとありましたが、アンバサダーのお二人はどう考えていますか?
日本のIPを活用したエンタメアプリケーションに期待(徳山氏)
徳山:Spatial Computing自体、HoloLensでもコンシューマー向けのアプリケーションが日本には多いですね。
アメリカに関しては、どちらかというとエンタープライズ向けにシフトしつつあるので、 日本では今以上にコンシューマー向けのエンタメ系のアプリケーションの盛り上がりに期待しています。
日本はIPが豊富なので、それを活用したものが出てくると日本独自の売れ方にもなりますし、かつアメリカでは想定していなかったような展開になると嬉しいです。
松下さんは何かコメントありますか?
毎日使ってもらえるような日常的で便利なコンテンツも必要(松下氏)
松下:僕も同じことを考えていまして、すでにゴジラやウルトラマンなどはありましたが、日本のIPの世界観的にMRと相性の良いものは豊富だと思います。
そこの世界の一部をMagic Leapで表現してみるとか面白そうですね。
(NTTドコモと東宝が共同製作した「トーキョーゴジラミュージアム」)
アニメもそうですが「妄想を現実に」というのは、日本人のほうがいろいろ強いと思います。
その部分でリードして、世界に通じる日本のコンテンツを創作していきたいですね。
あと個人的には、エンタメも大事ですが 「日常的に使えて便利」と思えるようなコンテンツも重要 だと思っています。
エンタメの一時の楽しみというよりかは「ARはこういうことができるんだ」「便利だから毎日使いたいな」と思ってもらえるようなコンテンツも考えていきたいです。
ありがとうございます。
今後、開発者を盛り上げていく上で実施していきたいことはありますか?
オフラインでのワークショップを定期的な開催を目指す
(今回のオンラインインタビューの様子)
徳山:ワークショップは前々からやりたいとは言ってまして、それは実現できていないのでやりたいと思っています。
松下:個人的にオンラインというよりは、直接被って体験してもらいたいです。
石川:私もオンラインではなく、リアルでやりたいですね。
徳山:あとはSpatialを使ったオンラインのMeet upをしたいですね。人数制限もあり、実現できるかは難しいと思いますがやってみたいですね。
Magic Leapのビジョンの中にも「みんなで共有体験をすると、どういう生活シーンになるのか」といったことが一つあると思っています。
「オンライン上で一つの講演に行ってみんなで考える」のような、そういった未来の中Meet upができれば非常に嬉しいです。ぶっ飛んでいますがアイデアという意味で。
貴重なアイデアありがとうございます。松下さんはいかがでしょうか。
松下:常に準備していることですが、私もMeet upは今後も定期的には開いていきたいと思っています。
コンテンツの開発者は増えてきているのですが、現状それが十分に認知されていません。
コンテンツのできることを伝えた上で、 参加者たちに実際に体験してもらう機会が多くなると、また新たな価値に繋がっていくかと思っています。
なので、ぜひS.C.Lの学生の皆さんにも機会があれば、登壇とかもしてもらいたいなと思っています。
創作したコンテンツのフィードバックとかも含めて、いろいろ吸収して、また発信できればいいなと思います。
Magic Leapに関連した必見イベント3選|2020年12月現在
最後に、何か読者の方々にお知らせすることなどはありますか?
12/17(木) 19:00~22:00 Magic Leap Meetup vol.2開催!
徳山:Magic Leap Meetup vol.2を12月17日(木)の19時から22時までオンラインで開催されます。
今回モデレーターはこの場にもいらっしゃる石川さんにしていただき、登壇者は、私と松下さん、法人ですと株式会社カクシンさんとHoloeyes株式会社さんです。
最後にMagic Leapの本社の方が登壇するセッションもありますので、興味のある方はぜひご参加ください。
詳細はこちら
Magic Leapアドベントカレンダー2020開催中!
徳山:現在Magic Leapアドベントカレンダー2020をQiitaで開催中です。
日本でもMagic Leap開発の知見が高まっている中、開発者向けに皆さんが培った技術や情報などを投稿いただけると嬉しいです。
過去の記事もアーカイブで残っていますので、今後の参考にご覧いただければと思います。
詳細はこちら
XR会議でのMagic Leapのセッション
石川:告知ではないのですが、12月8日~12月10日に開催された XR会議 2020 でMagic Leapのインダストリアルデザイン(プロダクトデザインのSVP)の責任者である夏目繁が登壇しました。
最先端のMRデバイスを作っている会社の、デザインのコア部分のトップが日本人というのは非常に珍しいと思っています。彼が公の場でプロダクトデザインの背景についてお話することは大変貴重で、私も今まで聞いたことの内容でしたので、ぜひアーカイブをご覧いただきたいと思います。
XR会議 2020 Magic Leapのセッションはこちら
まとめ|日本独自のアンバサダーを迎えたMagic Leapの今後に注目!
日本のMagic Leapを牽引する3名の対談をご紹介しましたが、いかがでしょうか。
日本でも様々なコンテンツを披露し、勢いに乗るMagic Leapは、強力な2名のアンバサダーを迎え、2021年も目が離せないと編集部一同確信しました!
Magic Leap未経験の開発者の方もぜひMeet upやワークショップなどに参加し、まだまだ認知されていないMagic Leapのポテンシャルを学んでみてはいかがでしょうか。
もちろん熟練の方もアンバサダーのお二人と一緒に情報を発信し、Magic Leapを盛り上げていきましょう!
今後もMagic Leapのイベントや情報についてはこの「すぺ〜しゃる研」で発信していきますので、引き続きチェックお願い致します!
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