VRで視力回復するメカニズムを最新の研究事例から解説!
VRヘッドセットを長時間使用すると視力は低下しないのか?これは皆さん気になっておられる点ではないかと思います。
しかし「VRを長期間利用することで視力が回復する」という驚きの研究結果が実在するのです。
なぜVRで視力が回復するのか?その疑問に迫ります。
VRで視力は回復する?そのメカニズムは?
いかにも目に悪そうに思えるVRですが、2018年8月2日に投稿されたTwitterが話題となりました。
それは、「VRゴーグルを毎日のようにつけていたら視力が0.3から1.0に回復した」というものです。
VRゴーグルを毎日のように被るようになって5ヶ月程になりますが、何故か視力が回復してきたみたい。
検査でも0.3→1.0など。ずっと掛けてきたメガネなしで不安なく車を運転できる事に気づいて驚いてます。
ゴーグルの焦点距離が2mくらいの所にあるという話と関係あるのかな。— お休みさん@えのぐみ (@0yasum13) August 2, 2018
視力悪化の原因の一つであるテレビの見過ぎや、至近距離での視聴の典型であるVRで、なぜ視力が回復するのでしょうか?
VRヘッドセットの視力への影響は、Oculus Riftの登場以来常に話題となっていました。
実際問題、至近距離のディスプレイを凝視続ける必要があることや、左右視差のある映像を見ることで立体視を行う仕組みから長時間プレイすると目は疲れますし、VR酔いも起こします。
百害あって一利なしと思われたVR利用なのですが、まさかの視力回復報告に驚きの声が上がったのです。
そもそもOculus社は13歳未満のVRヘッドセット使用をガイドラインで禁止しています。
6歳までの子供は、目の使い方を学んでいる時期であり、立体視の発達過程にあります。
13歳未満では瞳孔間距離がまだ増加する時期であり、大人に比べて子供は斜視になるリスクが高いために禁止しているのです。
参考記事)親必見、VRにおける瞳孔間距離の調節
ではなぜVR利用で視力が回復するのでしょうか?。
中国・北京の研究機関アドバンスド・イノベーションセンターが発表した論文によると、HTC ViveやOculus Riftのように仮想距離が適切に設計されたハイエンドVRヘッドセットを装着することで、一部のケースで子どもの近視と遠視が実際に向上したと報告されています。
一般的なタブレットの焦点距離である0.3~0.45メートルと比べて、VRデバイスの仮想画像距離は1.7メートルあり、このより大きな焦点距離が子どもの視力の改善に効果があるとされています。
長時間の使用は目の疲れる原因になったり視力低下の原因になりますが、適度な使用は逆に目の筋肉を鍛えることになり、斜視を改善したということのようです。
近視は目の焦点距離を本来よりも手前に合わせてしまう状態ですが、VRを利用して少し遠くを見るように眼筋をストレッチさせることで、ピント調整能力が回復したのです。
VRで視力回復するアプリ・動画の紹介
斜視や視力を矯正するVivid Vision
「Vivid Vision」は、VRを応用して斜視や視力の改善をするための視覚治療プログラムです。
両目を協調させて立体的にものを見るのが難しい成人の斜視・弱視患者に対して、左右の目に異なる映像を送ることによって視線のゆがみを正しく矯正するプログラムとして開発されました。
このプログラムを開発したジェームス・ブラハ氏は、幼少期のころから斜視を患っており、1日何時間もの斜視の治療やリハビリに励んだそうです。
最終的にそれらによる効果は出なかったそうですが、2015年に自らが開発したVivid Visionによって斜視を改善することに成功したのです。
Vivid VisionはVRを用いて視力を回復する実験を行い、その結果は眼科学系のWeb雑誌であるBioMed Journal of Phthalmologyに掲載されました。
同誌は『Vivid Vision』を成人の弱視を回復するための新しい治療方法になり得ると好意的に紹介しています。
2015年以来提供されている同社の製品は眼科医院向けのものしかありませんでしたが、2017年に在宅で同様の治療を受けられるソフトウェアが発表されました。
なお『Vivid Vision Home』はアプリストアから個人で購入できるアプリではなく、利用には同社と提携しているクリニックで処方してもらう必要があります。
『Vivid Vision Home』は現時点ではHTC Vive、Oculus Rift、Gear VRに対応しています。
VR視力回復アプリ – ウィンキングダンス
また、有限会社ドリームチームはVR視力回復トレーニングシリーズ第1弾として「ウィンキングダンス」をAppStoreで無料公開しています。
同社のグループ会社である眼育総研は視力のお悩み解決サイト【視力ランド】を運営しており、VR視力回復トレーニングシリーズの第一弾として「ウィンキングダンス」を公開しました。
このアプリはVRゴーグルを使用するアプリであり、スマホ装着型のVRゴーグルが必要となります。
使用者の視力に合わせたトレーニングが行え、ブルーライトカットに対応しています。
利用に必要となるVRゴーグルについては「Google Cardboard」から他のヘッドマウントディスプレイまで幅広く対応しています。
動体視力もVRで鍛えられる?
また「VRを使ってアスリートの動体視力を鍛える」というソフトウェアも発表されています。
「SyncThink」はVRヘッドセットとニューロテクノロジーや脳分析を組み合わせ、眼球運動障害や前庭機能障害などを診断可能なデバイス「Eye-Sync」を開発する企業です。
「SyncThink」は、スポーツ選手が怪我などを負ってリハビリを行うような際に使用することで、リハビリプロセスをサポートすることを目的としています。
視覚野の特定領域に焦点を当てたトレーニングを行うことで、視力をスポーツに最適化することができるそうです。
まとめ
VRとはある意味「脳をだます」技術であるため、視力回復以外にも、下半身不随の患者向けのリハビリトレーニングや、薬物依存症からの回復などにも利用されるケースが出てきました。
目が疲れ、VR酔いが起こるなど目に悪い印象のVR利用ですが、仮想画像距離が1.7mと遠いことから目のピント調節機能を回復させるトレーニング効果があるようです。
ただし、あくまでトレーニングプログラムに沿ったものであることは明らかですので、くれぐれも目の疲れなどにはご注意いただければと思います。
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