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超話題、任天堂のVR Kitを徹底レビュー!ちょびっと版・ソフトの解説まで


突如発表され、大きな驚きと期待を受けて登場したNintendo Labo VR Kit。

スペックだけ見ると「しょぼいVRゴーグル」でしかないVR Kitではありますが、その製品構成を見てみるとNintendoの現在のVR市場に対する立ち位置が見えてきます。

実際に遊んでみると他のVRヘッドセットとは目的もアプローチもかなり違う印象を受けます。

今回はVR Kitの特長と、他のVR機器との違い、入っているコンテンツについて徹底レビューしていきます!

Nintendo Labo VR KITとは – 組み立て紹介動画と合わせて解説

VR Kit Labo

「Nintendo Labo Toy-Con 04: VR KIT」は4月12日に発売された「Nintendo Labo」シリーズの第4弾となるキットです。

ダンボール製の「Toy-Con」シリーズに「VRゴーグルToy-con」が追加され、同梱されているVRゲームが遊べるだけでなく、人気ゲームの「スーパーマリオオデッセイ」や「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」、「大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL」をVRモードで楽しむことができます。

Nintendo Labo VR KIT 紹介映像

初めてNintendo Laboを見た時は「おいおい、まさかのダンボールかよ」と思ったものですが、これが大変よくできています。

特筆すべきは「動く組み立て説明書」。驚くほどわかりやすく、かなり部品点数の多いダンボールのキットをスムースに組み立てていくことができます。

Nintendo Labo「動く組み立て説明書」

筆者は小学生の子供がいる友人が我が家に遊びに来た際に「お子さんが喜ぶかな?」と思ってこのキットを買っておいたのですが、 気が付けば夢中になって作っているのは大人の方でした。 

Toy-Conを作る場合ですが、保護者の方と一緒なら、6歳程度のお子さまからつくることができるように設計してあります。10歳程度であれば1人で十分に組み立てることができるようです。

Labo VR Kit

とはいえ、組み立てるのには結構時間がかかり、部品点数の多いバズーカなどは2時間近くかかりました。

VR KITの対象年齢について

さて、重要なことなのですがVR KITには対象年齢があります。

VRモードの対象年齢は「7歳以上」です。6才以下のお子様には視覚の発達に与える3D映像の影響が懸念されるため、VRモードの対象年齢が設定されています。

NINTENDOによると

 「小さなお子様の視覚の発達に与える3D映像の影響について、眼科学・視覚研究の専門家に監修いただいたうえで、VRモードの対象年齢を設定しています。」  

とされています。ご注意ください。

*参考記事:親必見!子供向けVRアプリや斜視リスクなどの使用時の注意事項

Nintendo VR KITの解像度・視野角、体験クオリティは?

それではNintendo VR KITのスペックを見てみましょう。

まずSwitchの解像度は1920×1080ピクセルで、フレームレートは60fpsです。

Oculus Questと比較してみましょう。

Questは,片眼あたり1600×1440ドットのパネルを2枚使ったディスプレイを備えており,フレームレートは72fpsです。比較してみるとVRヘッドセットのスペックとしては低く、画質もそれなりです。

Switch Oculus Quest iPhoneX
解像度 1920×1080 3200×2880

(1600×1440x2枚)

2436×1125

*解像度・画質に関する参考記事:VR体験を左右する視野角と画質の関係

視野角は大きくCardboardより体験の質は高めだが、眼鏡がキツイ

一方で視野角は公表されていないもののVR KITのレンズは、Google Cardboardなどに比べるとかなり大きく、目の前いっぱいにVR空間を感じることができるようになっています。

※そのため、VR KITをGoogle Cardboardなどで代用しようとすると、例えばゼルダのVRモードではメニューの一部が画面から切れてしまいます。

少し気になった点は、メガネを付けたままVR KITをつかうと、なんとか装着はできるもののメガネがレンズに結構当たってしまうところです。

もう少し奥行きが欲しかったです。

 そもそもVR KITは頭部固定型ではなく、手持ちを前提に設計されています。 

長時間のVR体験を想定したものではなく、手軽にVRを楽しみつつ、すぐに周りを見ることができるように作られており、Switchのマシンスペックをよく理解したものと言えます。

VR対応しているゲームソフトはマリオやゼルダなどがありますが、「あのシーンをVRでちょっと体験したい」というような感じで、通常ゲームとVRモードを素早く手軽に切り替えて楽しめるようにするというNintendoらしいアプローチだと言えるのではないでしょうか。

「バズーカ」やりたいならこれでOK?Nintendo VR KITのちょびっと版とは

VR KITを試してみたい方には、まずは「ちょびっと版」をお勧めします。

先ほども触れたように、Nintendo LABOのキットは組み立てるのに結構時間がかかり(それが楽くはあるのですが)、「VR対応のマリオやゼルダをやりたい!」という目的で購入を検討されている方(筆者もそうでした)にはフルキットは結構大変です。

それにVR KITで一番人気があるのがちょびっと版に含まれる「バズーカ」であり、これだけでも十分楽しめるものになっています。

【Nintendo Labo】バズーカ1

筆者も、実はゼルダのVRがやりたかったために「ちょびっと版」を購入したのですが、最初は「ゴーグルだけが必要なのだから、何かで代用できないか」といろいろ考えました。

しかしハコスコではレンズが小さくて視野が狭すぎ、スマホVR用のゴーグルではSwitchの厚みがありすぎてうまくいかず、結局「ちょびっと版」を購入した経緯があります。

VR KITは手持ち型なので、なんとか頭部固定にしてPROコンを使えるようにできないかと改造を試みたのですが、Switch自体が結構重いために、それなりにちゃんと固定するベルトを作らないとダメでした。ダンボールなので工作自体は簡単です。

ただし、特にゼルダはVRモードで長時間遊ぶには解像度が低いため、結局のところ要所要所を手持ちにしてVRモードで楽しんでいます。

Nintendo VR KITのソフト – マリオ、ゼルダ、スマブラについて

Nintendo VR Kitの対応ゲームは、現在は

  1. スーパーマリオ オデッセイ
  2. ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド
  3. 大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL

の3つとなりますが、これは全ておすすめ。さすがNintendoと感じます。

そのソフトも非常によく出来ており、視点が変わることで元のゲームとは別のゲームのような印象を受けるものもあります。

①スーパーマリオオデッセイ

スーパーマリオ オデッセイではVR専用のステージが用意されており、「帽子の国」「海の国」「料理の国」3つの国でステージに隠された音符やコインを探して遊ぶことができます。

VR専用のステージとして設計されているだけに操作性などに無理がなく、VR酔いもあまり感じずに非常に快適に楽しむことができます。全体のボリュームに比較するとVR専用ステージは「オマケ」的な位置づけではありますが、十分に楽しい体験が可能です。

②ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド

次は全編がVR対応となっているゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルドをご紹介します。

VR Kitのゴーグルを装着すると視界いっぱいに美しいハイラルの世界が広がり、感動を覚えます。

ただし、こちらはVR専用に作られているわけではなく、結構VR酔いを起こします。

 VRモードで長時間プレイすることは想定されていないようで、公式ブログでも「気になるものがあった時にVRゴーグルで覗いてみる。といった遊び方がオススメです。」とあります。 お気に入りのシーンやボス戦などを違う視点で楽しんでみてください。

③大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL

大人気のスマブラSPが5月31日の更新データでVRモードに対応しました。

VRモードが楽しめるのは一人プレイ専用のモードになりますが、ステージの隅々を視点を変えながら楽しめるのはこのモードならではの醍醐味となります。

マリオやゼルダの場合、VRモードでどうなるのかは想像の範囲内ではあったのですが、スマブラのVRモードはかなり斬新な視点を得ることが出来ました。感覚的には別ゲームのようであり、少し操作に戸惑うほどでしたが、迫力のある視点で乱闘を楽しむことができます。

Nintendo VR KITの感想・評価をまとめてみた

海外の反応を見てみると、ダンボール製のLABOキットの独創性と作りやすさには高い評価を与えていますが、長時間プレイについてはやはり懐疑的な意見が多いようです。

 「バズーカのプレイがVRキットで楽しめるベストな時間だ…ゲームで操作できるキャラクターの速度はゆっくりしていながらも手堅く進行し、過度に難しくもなくVR酔いもない。ハイスコアを目指していると時間を忘れてプレイしてしまう」

(参考:Nintendo Life

「わたしは『スーパーマリオ オデッセイ』と『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(下の動画参照)がVR対応したらプレイするつもりだが、長時間快適にプレイできるかどうか心配している。」

(参考:Gamerader

NintendoのVRは通常のベンダーであれば「いかに長時間プレイしてもらえるか」を最優先に没入感を追い求めますが、Nintendoのアプローチは「手持ちVR」であり、まさに「ちょびっと」体験であり、真逆のように感じます。

しかし、「バズーカ」や「スーパーマリオ オデッセイ」ではVR酔いはほとんど感じず、逆にゼルダではかなり短時間でも目の疲れやVR酔いを感じたことから、VR酔いの本質は解像度や視野角、フレームレートだけでなく、VRゲームの作りに依存する部分も大きいと改めて感じました。

コラム:Oculus GoなどのVRデバイスとVR kit、どれを買うべき?

oculus go

すでに「Oculus Go」や「HTC Vive」、「Oculus Quest」といった様々なVRデバイスが発売されていることもあり、そういった「本格VRデバイス」と「VR Kit」のどちらを購入するべきか、という疑問を耳にします。

「本格VRゴーグル」と「VRKit」の違いから考えると、結論「魅力的なコンテンツが充実し始めたVR体験を堪能したい」という方はOculusなどの専用VRゴーグルを購入されることをお薦めたします。

VRkit 

VRKit Laboは数万円するようなVRゴーグルを「高級車」とすると、VR Kitは「スクーター」のようなもの。三次元的な音響感覚や視覚体験をポイントとして両者を比較するのはナンセンスでしょう。

「ゼルダをVRでがっつりプレイしてハイラルの世界に没入したい」と考えていた方からすると(筆者も実はそうだったのですが)、Nintendo VR Kitは低スペックなVR装置でしかありません。

 一方で、手軽にVRの体験を遊び心いっぱいに提供しているという点ではNintendo LABO VR Kitはとても優れた商品と感じます。  

だからこそVRゴーグルをダンボールで提供するという、ゲームハードメーカーとしては異例のアプローチをとったのではないでしょうか。

NintendoがVR関連のの特許を取ったと報じられた際に、任天堂の宮本茂代表取締役フェローはVRを開発する際の「問題とチャレンジ」として、「いかにして短く、しかし完全に作り込まれた体験を作るのか」という点を挙げておられましたが、まだ現在の技術ではVR酔いなどの問題が解決できておらず、フルタイムVRの商品をNintendoが出すには時期尚早というメッセージが込められているのかもしれません。

とはいえ、ダンボールでの工作、という「低価格」「家族で楽しめる」という強みから、家庭のVRに対する体験ハードルを下げた任天堂。

VRKitで体験し、絶「もっとVRで体験したい」「マリオやゼルダの世界にダイブしたい」というユーザーは増えたはず。

この先も任天堂の動きに目が離せません。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

色々書きましたが、Nintendo LABO VR Kitはとてもよくできた遊び道具だと思います。

本格的なVRでないものの、「作る」という作業に楽しみと遊び心を持たせ、優れたエンターテインメントに仕上げている点でNintendoの凄みを改めて感じさせる商品となっています。同じ家庭用ゲームハード機器でも、本格的なVR体験を目指したPlaystationとは全く違うアプローチとなります。

ゼルダをVRでがっつり楽しみたい欲求はやみませんが、ここはひとつ、Nintendoが考える現在のVR技術での楽しみかたの提案に乗ってみるのもよいのではないでしょうか。


VR Kit Labo

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