仮想現実に触れる!最新VRグローブ・触覚デバイス3選
VR空間内にダイブする際にどうしても必要となるのは手と指の動きのトレースです。
VR空間で自由に活動するためには手と指の動きの正確なトラッキングが必要不可欠。
現在はスティック型のコントローラーで手と親指の動きのみをトレースしている製品が多い中、10本の指の動きをトレースするだけでなく、触覚のフィードバックを可能とするVRグローブが登場し始めています。
この記事では最新鋭のVRグローブや触覚デバイスを紹介していきます。
触覚デバイス・VRグローブの基礎
解像度やリフレッシュレート、視野角など視覚的な部分がクローズアップされがちなVR体験ですが、2018年後半に入り大幅な改善がみられるようになりました。
一方で高度なVR体験に必要なものは当然ながら視覚だけではありません。目の前に広がるVR映像を自由に体験するために必要となってくるのは手や指の動きのトラッキングです。
従来のVRヘッドセットでは、スティック型のコントローラーによって手と一部の指(主に親指)の動きを疑似的に動かす方法を取っていました。
HTCViveではスティック状のコントローラーで手と親指だけを疑似的に動かす方法を取り、Oculus Touchではリング状のコントローラーによって手と3本の指を疑似的に動かしていますが、これではやはり直観的な操作とはなかなかいかず、傍から見ると怪しいダウジングを行っているようです。
この直感性の問題と没入感の問題を解決するのがハンドトラッキングの技術です。
ハンドトラッキングに対する2つのアプローチ
自然なVR体験には、スムースな手と指のトラッキングが不可欠になるわけですが、これには今大きく2つのアプローチが取られています。
センサーによる指と手のトラッキング
1つは、コントローラーを使用せずにセンサーですべての指をトラッキングする方法で、Leap Motionはマウスや画面タッチを用いずにジェスチャーによって直観的な操作を既に実現しています。
最初はPC操作用を目的に開発されていましたが、現在はVR空間でのハンドトラッキング技術に注力しており、実用化を目指しています。
このセンサーによるトラッキング技術で有名なのはLeap Motionでしょう。
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VRグローブによる手のトラッキング
もう1つが「VRグローブ」を装着することにより、5本の指をトラッキングし、VR空間内のモノを掴んだり、触感もフィードバックしたりする事ができる方式です。
今回ご紹介するのはVRグローブ方式のデバイスであり、すでに指の動きをかなり正確にトラッキングすることができるようになっています。
最新鋭のVRグローブ・触覚デバイスコントローラー3選
それではここからは具体的に世界で最も技術的に進歩しているデバイス開発会社を3つ紹介して見ます。
■Noitom社「Hi5 VR GLOVE」
最初にご紹介するのはNoitom(ノイトム)社のHTC VIVE用グローブ型VRコントローラーは「Hi5 VR GLOVE」です。
Noitom社はもともとは全身のモーションキャプチャデバイスを開発していた企業ですが、そのノウハウを生かしてVR用グローブ型コントローラーを開発しました。
形状は完全にグローブであり、指先に高精度9自由度のIMUセンサー(ジャイロスコープ、加速度計、磁力計搭載の慣性計測装置)を内蔵し、VIVEのVR空間上に両手と全ての指の動きを、高精度且つ5ms以下の低レイテンシーで、リアルタイムにシミュレーション表示させることが可能です。
また、手首にはバイブレーション機能を搭載しており、VR体験中の触覚をフィードバックさせることができます。
電源にはバッテリーではなく単3乾電池を使用しており、PCとの接続は2.4GHzワイヤレスとなります。
開発者向けにUnityとUNREAL ENGINEのSDKが含まれているので、各種プロジェクトへインポートして動かすことも可能です。
日本では法人向けの『Hi5 VR GLOVE BUSINESS EDITION』が、株式会社アユートからツクモ法人営業部を通じて14万9800円(税込み)で販売されています。
■VRgluv
VRgluv(VRグラブ)はジョージア、アトランタのKickr Designのインターナショナルスタートアップインキュベーターの中で設立されたプロダクトエンジニアグループです。
VRgluvはもともとKickstarterキャンペーンで始まったプロジェクトで、目標投資金額をたった3日間で集めるのに成功し、開発が進められてきました。
VRgluvの形状はグローブというよりも、手甲やロボットの手のようです。
Vive/Oculus対応で手を使いバーチャルオブジェクトをコントロールするだけではなく、Full Force Feedbackと呼ばれる触感機能があり、そのものが固いのか柔らかいのかまで判別でき、優しく掴んだり、握りつぶしたりといったこともできるようになっているのです。
VRgluvはVive Tracker、Viveコントローラー、Oculus TouchのハイエンドVRヘッドセットシステムに対応しており、この三つのコントローラーなら付け替えも即座で簡単に行えるようになっています。
■VRfree
VRヘッドセットとワイヤレスで連動し、10本の指を駆使して仮想オブジェクトを動かすことができるVRグローブが「VRfree glove system」です。
VRfreeの特徴はVRヘッドセットの機種依存がないことで、各種のVRヘッドセットにセンサーを装着してVRグローブを活用することができます。
スイスのベンチャー企業であるSensoryx社は、2018年1月のCESで披露されたVR HMD用コントローラ「VRfree」をクラウドファンディングのIndiegogoでスタートし、すでに目標金額の249%である$94,326を集めて話題となりました。
クラウドファンディングを利用するケースとしては珍しく、製品の開発は終わっており、集まった資金は生産だけに利用するとしています。
VRfreeは10本指が使えるハンドコントローラで、ゴーグルの前部に三角形のセンサーを取り付け、両手に先端の空いた手袋を装着するスタイルです。
詳細は公開していませんが、6種類のセンサーを搭載しており、VRゴーグルの機能に依存せずにVRFreeだけで手の位置トラッキングと指の動きのトラッキングが可能とされています。
機種依存ではないために、Oulus Goだけでなく、Oculus Rift、HTC Vive、Google Daydream、Samsung Odyssey、Samsung Gear VR、HP Mixed Reality、Lenovo Explorer、LG VRなどとの互換性をうたっています。
ただし、現状でリリースされているVRソフトがすぐに使えるかというと、それは別の話であり、ソフト側の対応が必要となります。
SensoryxではSteam/OpenVRが使えると発表していますが、Oculus GoはSteam/OpenVRを使えないため、VRアプリのデベロッパーに対応してもらうしかないのが現状です。
まとめ(フルダイブはいつ実現する?)
ハンドトラッキングは、Leap Motionのように赤外線カメラを使用した光学式が多いのですが、光学式の弱点は「見えない部分をトラッキングできない」というものでした。例えば何かを掴んだ場合、ものに隠れた指の動きを感知することができないのです。
この点、グローブ式は手や指の動きが完全にトラッキングできるという利点があります。またグローブ式はVR空間上の触感をフィードバックすることができるメリットがあります。
特に作業用などの業務利用ではこの利点は大きく、エンターテインメント利用だけでなく、業務利用でのVR活用が一気に進んでいくかもしれませんね!
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