【性能・価格を徹底比較】Oculus Rift vs HTC VIVEー買うならどっち?
HTC VIVEとOculus Rift、この2種は発売以来常に高い人気を保っており、2大VRヘッドセットとして広く認知されています。
両者非常にハイクオリティなVR体験をもたらしてくれるのですが、HTC VIVEとOculus Riftはそれぞれ異なった長所と短所があり、思ったよりも共通点は少なくなっています。
本記事ではHTC VIVEとOculus Riftの価格・機能面などの違いを比較しつつ、どのような人にどのデバイスが向いているのかを説明していきます。
Contents
VRの要!ヘッドマウントディスプレイの性能・価格を徹底比較
VRを体験するにあたって大切なのは、没入感に深くかかわるであろうHMD(ヘッドマウントディスプレイ)とコントローラーのクオリティです。
特にHMDはVR世界と現実世界をつなぐ玄関口のようなもので、ディスプレイの良し悪しがVRデバイスの完成度を決めるといっても過言ではありません。
HMDの性能・価格比較一覧表
ディスプレイ・コントローラーの機能という点において、HTC VIVEとOculus riftはほぼ互角のクオリティを持っていると言えます。
Oculus Rift | HTC VIVE | |
解像度 | 2160 × 1200(1080×1200 2枚) | 2160 × 1200(1080×1200 2枚) |
リフレッシュレート(Hz) | 90Hz | 90Hz |
視野角 | 110度 | 110度 |
ディスプレイ方式 | 有機EL | 有機EL |
重量 | 468g | 470g |
価格 | 税別50,000円 →税込45,000円 |
税別64,250円 |
表を見る限り性能としてはどちらもほぼ同じ数字であり、違いはヘッドセットの重量(2グラムのみ)になります。
両者ディスプレイは2160×1200の有機ELを使用しており、高いリフレッシュレートとコントラストを実現しています。
価格ですが、Oculus Riftの方が元々約1万5000円近く安くなっていましたが、2019年に入りOculus Riftが税込45,000円まで値下げしました。
よって約20,000円程値段に差が開き、ヘッドセット自体の完成度にあまり差がないためお得感はOculusのほうが高いように思われます。
ただ、後程説明しますが、トラッキング方式に大きな違いがあるため、後々フルトラッキングにも手を出したいと思っているなら、費用も手間もVIVEの方が明らかにお得なのです。
性能で決めるというよりVRで何をしたいか?によってどちらかを選ぶことになります。
実際の使用レビューから見る「差」
SNSやほかのWEBサイトでの使用感想
解像度と視野角もスペック上は全く同じですが、複数の使用者から実際には微妙な差があるという声もあります。
記事によると確かに差異はあるようで、搭載するレンズによる違いが微妙な差となって現れているようです。
筆者レビュー/HTC VIVE・Oculus Rift
OculusとVIVEは広い視野角を得るためにフレネルレンズと呼ばれる特殊な薄型レンズを使って画面を拡大しています。
このレンズは性質上同心円の構造が視野に見えてしまいがちです。
写真は筆者が所有するVIVEのものです。このようにレンズにピントを合わせると同心円上の模様がはっきりと浮かび上がります。
Oculusはこのレンズの処理において一枚上手のようで、同心円の模様をVIVEより目立たなくさせることに成功しているようです。
一方で視野に関しては若干VIVEより狭いようです。(同じディスプレイを使用しているので視野が狭いほうが画面の密度間が高まるため欠点とは言えないかもしれません。)
この模様、普通にプレイしている分にはまったく気にならないのですが、暗闇の中で明るい物体をみる時など、光学的に厳しい条件になるとグレアとなって見えてしまいます。
スペックには表れない部分ですが、画面の綺麗さという点においてはOculus riftが若干ではあるものの上質であると言えます。
デバイスのコントローラーから見る操作性の違い
VR体験をするにあたって、コントローラーはプレイヤーの手の代わりになる重要な入力デバイスです。
ヘッドセットではOcurusもVIVEも微妙な差こそありましたがほぼ同じ性能を持っており、機能的にも同等と言えるものでした。
しかしコントローラーは画像からも分かるようにかなりの違いがあります。
左がVIVEのコントローラー、右がOculus riftのOculus touch(コントローラー)。全く違う姿をしています。
この違いはコントローラーに対する考え方の差から生まれています。
VIVEのコントローラーは、VR上でのアクション(何かを持つ、何かを操作する)を実行することを前提にデザインされており、コントローラーをVRに最適化したような存在です。
対してOculus riftのコントローラーは全く違う方向からアプローチしています。
Oculus touchと呼ばれるこのデバイス最大の特徴は、手の再現にあります。
掴む・つまむ・さわる・離すといった動作を直感的に行えるため、まるで手そのものをVR上に移植したかのような操作感を味わえます。
このMRヘッドセットに近いデバイスの使用感はVIVEコントローラーにはない魅力でしょう。
コントローラーに対する考え方がまったく違うので単純な比較はできませんが、VIVEコントローラーは「入力デバイスとしての総合的な性能」を高めたのに対し、Oculus touchは「手の再現」という目的に特化したコントローラーだと言えます。
ちなみに、現在「knuckles」と呼ばれる新型コントローラーがSteamVRを運営するValve社によって開発されています。
Valveの新型VR用コントローラー「Knuckles」開発者版これまでのコントローラーと比較
このコントローラーもOculus touch同様高いクオリティで人間の手を再現できると言われており、またVIVEはSteamVRパートナーでもあるため、knucklesコントローラーがVIVEに対応する可能性はかなり高いと言えます。
そうなった場合、Oculus touchとの差は非常に小さくなります。
両者最大の違いはトラッキング方式にあり
HTC VIVEとOculus riftはどちらも外部センサーによって位置を確認、トラッキングを行うシステム(アウトサイドイン方式)を採用していますが、システムの考え方としてはほとんど真逆と言っていい程の違いがあります。
Oculus Riftのトラッキング方式
まずOculus riftのトラッキング方法ですが、Oculus riftはHMDやコントローラーに埋め込まれた赤外線LEDを赤外線カメラで認識、得られたデータをPC内で映像処理することでトラッキングを確立しています。
Oculus riftのセンサー。構造としてはwebカメラに似ています。
このセンサーはUSBでPCと接続されます。標準で2個付属しており、PCデスクの上といった比較的狭い空間でもトラッキングエリアを構築できる手軽さが魅力です。
PC用VRゲームなどのうち、比較的動きが少ないゲームに向いているでしょう。
HTC VIVEのトラッキング方式
そしてHTC VIVEですが、こちらは「lighthouse」と呼ばれる仕組みによってトラッキングされます。
lighthouseとは、まず装置に内蔵した赤外線レーザーユニットを高速で動かすことで空間内を絶えず走査ます。
HMDやコントローラーに埋め込まれた受光部はこのレーザーを感知し、それぞれの受光部に届くわずかな時間差やレーザーの届いた角度の違いによって位置を推定するというシステムです。
VIVEではベースステーションがlighthouseのレーザー発振装置となっていて、サブミリ単位の非常に高精度なトラッキングを実現しています。
また、このシステムはルームスケールトラッキングと相性がとてもよく、部屋の対角線上に配置すればほぼ全周をカバーできます。
死角がほとんどないため、遮蔽物がない環境では強力なトラッキングを可能にしています。
振り向いたりジャンプするといった激しい動きから、寝そべるといったトラッキング維持が難しい態勢でも、難なく追跡するVIVEはフルトラッキングにも向いています。
フルトラッキングのためのセットアップの違い
フルトラッキングでVR体験したいならHTC VIVE!
全身を追従させるフルトラッキングはVR環境ではもっとも没入感の高いプレイであり、VIVEはOculus riftと比べてかなりフルトラッキングを行いやすいと言えます。
PC用のVRゲームのヘビーユーザー向けの遊びで方しょう。
その理由をまとめると、こちらになります。
- 付属のベースステーション(2個)だけでルームスケール環境を構築できる
- トラッカーと呼ばれる追加デバイスがHTCより発売されている
- トラッカーを装着するだけでフルトラッキングが可能
つまり、VIVEではトラッカーを別途用意するだけでフルトラッキング環境が整えるのです。
手軽にフルトラッキングできることから、一時期生産が追いつかなくなるほどの人気を誇るこのVIVEトラッカー。
Oculus riftではフルトラッキング環境を整えるために下記を用意する必要があります。
- センサーを追加購入(1個または2個)する
- Kinectを別途用意する
センサー・セットを用意すること自体はそこまで大変ではないものの、セットアップがVIVEと比べて大変だと言われています。
まずOculus riftは標準でセンサー2台とHMD、Oculus touchが付属するのですが、センサーとHMDはそれぞれUSBでPCに接続する必要があります。つまり、デフォルトでUSBポートを3か所使う事になります(ちなみにUSB3.0です)。
ルームスケールトラッキングにはさらにセンサーを1から2台追加することが推奨されているので、必要なUSBポートの数は最大6か所になる可能性があります。
これだけの開きがあるPCはあまりないと思われるので、たいていの場合は追加のUSBハブを使わないと厳しいでしょう。
またOculus RiftはKinectを用いたフルトラッキングがよく利用されているのですが、Kinectは元々XBOX360用に開発されたデバイスです。
本来はOculus Rift用に造られてはいないのですが、うまくソフト側をいじることでKinectを使用可能としています。
Oculus Rift + KinectによるフルトラッキングでVRChatを遊ぶ
以上を踏まえると、トラッキングの手軽さではOculus riftが優れており、ルームスケールのクオリティやフルトラッキング適正はHTC VIVEが圧倒していると言えます。
おたがいの長所と短所が入れ替わりのような関係ということが分かりました。
Viveトラッカーについてはこちら→)VIVE トラッカーの使い方・セットアップ方法について解説
その他の違い~センサー・ヘッドセット構成
センサー設置方法の違い
前項ではトラッキング方式の違いについて書きましたが、それに付随してセンサーの設置にもVIVEとOculus riftでは差がでてきます。
Oculus riftだとセンサーはデスクの上などで十分な間隔を開けて配置すればいいだけなのですが、VIVEの場合ベースステーションを部屋の対角線上(しかも天井付近に)に設置する必要があります。
加えてVIVEに付属する固定器具は直接壁などにボルト留めするため、非常に設置が難しいのは事実です。
筆者のベースステーションです。直接障子の枠にボルト留めしており、当然枠には穴が穿たれます。
多くの場合、ベースステーションは付属の器具を使わず別の方法で固定するかと思われます。
よくあるやり方としては、カメラ用三脚に固定する・カメラクリップとつっぱり棒を併用する・カーテンレールなどにゴリラポッドを巻きつけるといった方法があげられます。
これらの方法は別途必要な器具を揃える必要があるためどうしてもOculusより設置作業が煩雑となってしまいます。
逆に、Oculus riftはUSBポートの管理という点でVIVEに劣ります。
最低でもUSBポートを3つ、HDMIポートを1つ消費するOculus riftに対しVIVEはUSBポート1、HDMIまたはDPポート1で済むため、PC側の準備ではVIVEに分があります。
ヘッドセット構成の違い
その他に注目すべき違いとしてヘッドセットの構成があげられます。
VIVEはHMDとそれを固定させるバンドだけですが、Oculus riftはそこに加えてヘッドホンが搭載されています。
VIVEで同じ構成にするならデラックスオーディオストラップと呼ばれる追加パーツを購入しないといけません。
まとめ(結論)
ここまでOculus riftとHTC VIVEの違いを比較してきました。
まとめると、下記のように分けられるでしょう。
・より自然な手の感覚を楽しみたいならOculusを、あくまでコントローラーをVR空間に持っていきたいならVIVEを。
・手軽にトラッキングをしたいならOculusを、いずれフルトラッキングにも挑戦してみたい方はVIVEを。
・より綺麗な画面でVRを体験したいならOculusを、少しでも広い視野が欲しいならVIVEを。
どちらもVRデバイスとして高い性能を持っており、初めてVRの世界に手を出したいという方にはどちらを選んでも満足して貰えるかと思います。
しかし性能は拮抗していてもOculusとVIVEは得意としている要素が異なっており、特にコントローラーとトラッキング方式の部分でその差が顕著に表れています。
Oculus RiftとHTC VIVE、どっちを買うべきか悩んでいる方に、この記事が少しでも参考になれば幸いです。
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