【AWE Nite TOKYO速レポ】イチから学ぶ、AR×5Gが描く未来の全容を大公開!


XR-Hub(Produced by x garden)による、クリエイター向けリアルイベント速報コンテンツ!

今回はXRの祭典「Augmented World Expo」(通称AWE)の日本ブランチ「AWE Nite Tokyo」主催のオンライントークイベントが開催されたので参加してきました!

主催企業であるGraffity社から許可を頂き、当日公開されたスライドに加えて登壇者たちのコメント(スライドでは述べられていない重要な事実や考察)も盛り込んでレポートしていきたいと思います。

登壇者紹介

まずは、今回のイベントの登壇者の方々をご紹介します。

左から

  • Graffity CEO 森本氏
  • ENDROLL CEO 前元氏
  • MESON プロデューサー 伊藤氏
  • NTTドコモ イノベーション統括部 担当部長 秋永氏
  • AWEの創設者であり、Super Ventures, Ogmento Inc. の共同創業者 Ori氏

業界をリードする国内のARスタートアップのメンバーや大手通信キャリアの部長、そしてAWEの創設者と非常に豪華な顔ぶれとなっています…。

それでは早速、発表内容の方にいってみましょう!

Session1:5Gとは何か、「AR×5G」のユースケースとは?

本イベントは、NTTドコモの秋永氏とMESONの伊藤氏への質問形式でセッションがスタート。

質問1:4Gと5Gの違いとは?

まず、そもそもの5Gの概要やキャリア会社の5Gに関する取り組みに関して、NTTドコモ秋永氏より説明がありました。

プレサービスは、昨年のラグビーワールドカップやドローンレースなど、これまで複数のイベントを通して実験的に5G適用の模索を行っていました。

5G移行に伴う変化を解説したこちらのスライドですが、3Gではテレビ電話が可能になると言われ、4Gではストリーミングが可能になると言われていました。

そして5Gがもたらす大きな変化としては

  1. 高速大容量:4Gの50倍〜100倍の速度
  2. 低遅延:4Gの10分の1ほどの遅延
  3. 同時多数接続:1つの基地局に対して大量の端末が同時にアクセスしても、安定した接続が可能

が挙げられます。

※関連記事)5分でわかる5GとAR/VRが生み出す新たなビジネス|技術と活用事例から見る産業・社会の変化

4Gから5Gへの変化は様々な業態に大きなインパクトを及ぼすと考えられており、通信キャリア各社は幅広い業界のパートナー企業と「協創」することで適用領域を模索しているようです。

中でも、リッチなコンテンツや映像表現が可能になるXRへの期待は大きいとのこと。

元々はオリンピックに向けて5Gの準備をしていたため、スタジアムなどの人が密集する場所から優先的に展開していたものの、今後コロナの状況下でどのように推進していくかは検討中とのことです。

質問2:5Gに取り組んでみての感想

ここからは、実際に5Gを体験したMESONの伊藤氏にバトンタッチ。

コンテンツ開発者目線での5G体験の所感です。

伊藤氏が実感した5Gの魅力は何よりも「速さ」。

従来の4G環境から大幅に進化した通信速度に驚いたそうです。

一方のデメリットとして、10分程度でかなり発熱すること、その結果バッテリーを20%程度消費すること、また、人がデバイスの前を通ると接続が不安定になるという「安定性」に欠点があること。

現状長時間5G回線でコンテンツを楽しむのは難しく、5Gはまだ技術として発展途上であるようです。

この点について秋永氏は「 3G・4Gでも導入当初は同じことが起きていたが、徐々に通信速度やバッテリーの問題は改善されていく。5Gスタート時には3.4Gbpsだったが、6月には4.1Gbpsに上がる予定もあるので、現状を5Gの全部だと思わず、今後の進化を期待して欲しい。 」と言及しました。

質問3:5GでARが注目される理由とは?

この問いに対して、伊藤氏は5Gを使用した感想として「 ネイティブアプリ相当の機能にwebページでアクセスするような手軽さがあった。実際、Googleplayの温度チェッカーアプリを1秒以下でDLできた。5Gで様々なことが変化していくと思う。 」と回答。

ザッカーバーグはARの日常における利用シーンの豊富さ・手軽さから「VRはテレビ、ARはスマートフォン」と喩えていますが、現状のARアプリケーションは

  • ネイティブアプリケーション:機能性には優れているが、インストールするコストがネックである
  • WebAR(ブラウザ型):利用ハードルは低いものの、機能として物足りないケースが多い

という課題を抱えています。

5Gはこういった課題を解決し、ARの普及を一層加速させる可能性がある、と伊藤氏は述べていました。

5Gに取り組もうとしている方々に一言

最後に、5GやARに関わる方々へのメッセージ。

伊藤氏は「ARを作る人間としてはふとしたときに使える、真価を発揮するARを考えている。スマホシフトの時にメルカリやスマートニュースが一気に伸びたように、ARのサービスを作ることで一緒に市場を作っていきたい。」と回答。

秋永氏は「5Gは触れる、端末も買える状況になったので、ぜひトライしてほしい。触った人でないとアプリケーションやビジネスは作れないので、まずは是非使ってほしい。」と話していました。

Session2:「AR×5G」で変わるエンターテイメント

次は、Graffityの森本氏とENDROLLの前元氏に対するエンターテイメントに関する質問形式のセッションへ。

質問1:「AR×5G」で取り組もうとしていることはありますか?

この問いに対するGraffityの森本氏の回答は、上記スライドにまとまっています。

Graffity社は「ぺちゃバト」や「HoloBreak」といったマルチプレイのARシューティングバトルゲームを開発していることもあり、特に5Gを活用し多人数接続でのプレイが可能な「大人数イベント・大会」を開催し、新しいeスポーツの形を作りたいそうです。

現在事業共創プログラム「∞の翼」にてKDDI社と「5Gを活用したサッカースタジアム内のARコンテンツ」の企画に取り組んでいるENDROLLの前元氏は、「まずはとりあえず5Gを使ってみたい」と回答。

コンテンツ企画・開発の側面から「ARエンターテイメントをどうアップデートできるか」を模索する一方で、 5Gにより発生するユーザー体験の変化の差分も、ユーザーの反応から確かめていきたい とのこと。

質問2:「AR×5G」でエンタメはどのように変わるのか?

ぺちゃバト

森本氏は、大きく2つの変化があると回答。

リアルイベントがより相互的に

1つ目の予測は、リアルなイベントがよりインタラクティブになること

たとえば、スポーツ観戦中に選手がいいプレイしたら投げ銭をしたり、ライブなどのエフェクトがよりリッチになる等といった例が挙げられます。

街スケールでのゲーム体験

そして2つ目は、街の中でゲームをすることが日常化していくと予測。

街の中でPokemon GoなどのARアプリケーションを楽しむ人が増えていくとのことでした。

こういった「未来予測」をしつつも、予測するための最善の手段として積極的に自分たちでも発明・開発していきたいと貪欲な姿勢。

ENDROLLの前元氏は「 5Gによる変化をライフスタイルレベルまで精密に予測することは難しく、ひたすら仮説検証を繰り返していくしかない 」と回答。

テクノロジー軸の変化は想像できる部分も多い一方でライフスタイル軸の変化は想像しきれず、たとえば、4Gの時に「みんなが動画を見る」ようになることは予想できが「電車の中で空いた時間5分で動画を見る」ところまでは想像し切れなかったはずである、と言います。

ただ、予測可能なエンタメ領域における変化としては「ユーザーが(消費ではなく)生産側に回るコンテンツ」は増えていくと想定。

ユーザー主導でコンテンツを生成して街に配置する、といったベースとなる「コンテンツ生成・設計」自体は変化していくと述べました。

質問3:「AR×5G」にどのように取り組めば良いか?

本セッション最後の質問。

森本氏は:「 5Gは提供範囲が限られる(=ビジネスとしてスケールしづらい)ので、スタートアップ単体での参入は厳しく、大企業とスタートアップによる実証実験、R&Dが現実的 」と考えています。

スタートアップは「AR×5G」への取り組みを通じてノウハウやナレッジは蓄積できるがスケールはできないため、リーンな技術検証・仮説検証を通じてノウハウを蓄積するのが得意であるスタートアップと資本体力のある大企業が手を組み、産業を作っていくことが重要であると答えました。

また、Graffityは現在モバイル(4G)にフォーカスしたAR開発を主幹事業に据えてており、5GやARグラスはR&Dの位置付け。

そしてR&Dでは着実に「トライしてできること/できないことを把握すること。」が重要であると伝えていました。

Session3:「AR×5G」の海外でのユースケース

ここからはAWE創業者のであるOri氏に対する質問形式に移ります。

質問1:「AR×5G」はUSなどでも注目されているか?

Ori氏は「もちろん!」と即答。

5Gは海外でも大きなトピックであり、多くの企業やユーザーが早く5Gが実装されるのを心待ちにしているそうです。

アメリカにおける通信リーディングカンパニーであるベライゾンは、5Gを有効活用できる企業を見つけるためのコンペティション「ベライゾン5Gチャレンジ」を開催しました。

そこでは 驚くべきことにコンペの上位3社は全てXR領域の企業だったようです。 

ちなみに、1~3社の企業はこちら。

1位:訓練ソリューション:Ario

Arioは組織の専門知識をデータ化し、スキルを標準化するためのツールを提供するスタートアップです。

ARの王道ユースケース、訓練ソリューションですね。

コンテンツ編集ツールが充実しているため、誰でも簡単にARコンテンツを作成する事ができるようです。

2位:5G対応型 マルチプレイVR空間プラットフォーム:Garou

GAROUはテスラやブランドが持つ、ビジョンイメージを部屋規模のVR空間として提供するスタートアップ。

事業のステータスはやや謎に包まれていますが、5Gを使ったリアル空間のレンダリングに強いソフトウェアを有していると想定されます。

3位:TDaaSスタートアップ:LexSet

SLAM(コンピュータービジョン)で学習させるために必要な膨大かつ高品質なデータ。これを集めることは容易ではありませんが、LexSetは3Dデータを用いてデータインプットする事で、実際にロボットを走らせたりする必要性がなくなるサービスです。

TDaaS(Training Data as a Service)というサービスで、自律ロボット時代は重要なピースを担うソリューションだと感じます。

それでは質問に戻りましょう。

質問2:5GによってAR技術はどのように変わるか?

Ori氏は 5Gの帯域幅と低遅延性によって、AR領域ではレンダリングなどの処理をクラウド上で行い、ミリ秒単位でデバイスに送信できるといった変化が起きる。 

と指摘。

あらゆる産業に影響を与えるが、特にARクラウド関連のプロダクトが恩恵を受けるとのこと。

5Gによってあらゆるものをスキャンし、クラウド上で遅延なしに処理し、即座にデバイスにデータを送れるようになるため、コンシューマーゲームや工場内のエンタープライズ製品に応用が想定されます。

クラウド上で処理することでスマートグラスはもっと小型化でき、普段のメガネに近い形になるとのことです。

質問3:新型コロナウィルスがAR業界に与えるインパクトとは?

今回、AR業界へのコロナインパクトとしてOri氏からは下記のインパクトを言及していました。

1,コミュニケーションの転換

 1つ目は、リモートコミュニケーションとしてAR/VRへの需要が上がっていること。 

これは、家から仕事をするために強制的にビデオチャットなどでコミュニケーションを取るようになったことに起因しています。

2,人類全体の新しいテクノロジーへの適応性

2つ目は、 人々の新しいテクノロジーに対するハードル・恐怖感が低くなる可能性があると指摘。 

強制的にビデオチャットなどのツールを使ったことによってARなど新しいテクノロジーにより適用しやすくなるのではないかと話していました。

3,SNSの滞在時間の増加に伴うAR使用率

3つ目は、人々がSNSでARを体験することが増えていることを指摘。

家にいる時間が増え、SNSに費やす時間も増えてえたことにより、ARフェイスフィルターなどの利用率が増加しているそうです。

例えばSnapchatのユーザー数は昨年より20%程度伸びていて、うち75%のユーザーがARフィルターを毎日使っているようです。

Last Session:質疑応答

それでは最後に、数ある質疑応答の中からいくつかピックアップしてご紹介します!

質問:NTTでは6Gの研究がされていますが、ARはどんな風に進化していくのか?

NTTドコモの秋永氏が回答。

6Gの研究は今のうちからしておかないと、何年後かの実装に間に合わないため検証を進めているとのこと。

ARについて考えると話が変わるものの、ARグラスの不便なところが色々と解消されるのではないかと予想されていました。

質問:ARで一番ホットな国はどこですか?

下記、Ori氏の回答。

選ぶのは難しい。世界地図の1つ1つの国を指差しながらAR企業名を挙げられる。ニューヨークでは色んな活動(大企業もユーザーも)があるが、日本もイノベーティブでエンタメ領域、とてもユニーク。中国はとても大きなマーケットだし、ヨーロッパはAR企業が一番多い。

フィンランドは先進研究や先進アプリケーションを持っている。フランスは最初のAR企業があるし、イングランドの大学(ケンブリッジ、オックスフォード)では、最新のコンピュータビジョンの研究開発をしている。

イスラエルはARのコアテクノロジーの中心だが、今はアプリケーション領域にも進出している。どの国も面白い。

ARの面白い部分は多様性があること。状況に合わせて多様なアプローチを取ることが普及にとって重要であると考えている。

まとめ

かがでしたでしょうか?

5Gの定義や各社が取り組み、AWE共同創業者 Ori氏による「海外のXR事情」まで非常にバラエティに富んだ話題を楽しむことができました。

(少しでも参考になった!という方はぜひ本記事をツイッターでシェアいただけますと幸いです^^)

今回参加できなかった方も、ぜひ次回参加してみてはいかがでしょうか!

<AWE Nite TOKYOへの参加はこちらから!>


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慶應義塾大学 理工学部卒業。

現在はHR領域のSaaSプロダクトマネージャとして勤務する傍、XRクリエイティブスタジオ株式会社x garden (XR-Hub) のR&D Researcherの1人として活動中。