【AWE Nite TOKYO最速レポ】世界の最先端をキャッチアップ!報告会の全容を大公開!


XR-Hubによる、クリエイター向けリアルイベント速報コンテンツ!

今回はアメリカで10年の歴史を持つXRの祭典「Augmented World Expo」(通称AWE)の記念すべき日本ブランチの設立と、その初回イベントが開催されたので参加してきました!

主催企業であるGraffity社から許可を頂き、当日公開されたスライドや登壇者たちのコメント(スライドでは述べられていない重要な事実や考察)もがっつりご紹介していきたいと思います!

登壇者紹介

今回の登壇者は、実際に米国で行われたAWEカンファレンスを視察したこちらの4名。

左から

  1. Graffity Game Director 斉藤氏
  2. MESON CEO 梶谷氏
  3. MESON COO 小林氏
  4. ENDROLL COO 大島氏

まさに「国内ARスタートアップを代表する若き精鋭たち」といった顔ぶれで、各社のこれまでのARでの取り組みなども織り交ぜながら語られた今回の報告会は大変参考になるものでした。

それでは早速、発表内容の方にいってみましょう!

Session 1:ARCloud

Graffityの斎藤氏による開会の挨拶から、まずはARクラウトの定義の話からスタート。

ARクラウドを構築する3つのアプローチ

前提となるARCloudの構成要素として以下の4つが紹介されていました。

この4つから構成されるARクラウドの構築には、大きく3つのアプローチがあるようです。

※「SLAM」:自己位置の推定と周辺の3D地図の作成を行う技術

Graffityの斎藤氏によると、中でも最も技術的なトレンドはEdge SLAMでありその背景としては 「クラウド上には3Dメッシュ化された情報しか残らないためプライバシーが守られる」 という点が大きく起因しているようです。

(ポリゴンの3Dメッシュの場合、360度カメラを用いた事前スキャンアプローチと違い個人を特定できないためプライバシーが守られる)

デジタル空間における権利について

続いて、とても興味深かったのがARクラウドにおけるデジタルレイヤーの権利問題。

その引き合いとして紹介されていたのが、「ソニーが映画中で作ったCGによるNY TimesSquareの広告に対して、本家NY TimesSquareが訴えた」という事例。

最終的に「ソニーが勝訴した」という点は大変興味深く、 デジタルコピーされた建物の権利は「フィジカルなオーナー」と「デジタルコピーの作成者」で分離されている と、現状では裁判所に判断されているようです。

このあたりの権限問題は明確な線引きがないため、今後議論されていくAR界の重要なトピックの1つになりそうです。

Session 2: Startup

お次はXRスタートアップトレンドです。まずはサマリーから。

まだコンシューマーは早いというのがAWEの一般解。

次はNiko(General Catalystのマネージングディレクター)とMatt(6D.ai CEO)の対談内容です。

「コンシューマー向けはまだ早く5~7年の長期スパンで考えるべき」というのが、お二人の見解。

「5~7年」という数字の根拠としては、「ハードウェアの制約もあるが、5G浸透のタイムラグなども関係しているのではないか?」という仮説が登壇者の間で話されていました。

AR/VRスタートアップの立ち上がりは泥臭いことも…

今や訓練VRの領域で伸びているSTRIVRは、今でこそ彗星の如く現れたスタートアップのような印象がありますが初期の立ち上げ期では人海戦術で規模を拡大するなど、かなり泥臭く事業を推進していたようです。

ホログラムディスプレイのVNTANAも、初期のキャッシュフローをコンサート会場から前金制で稼いでおり、いかにもスケールしなさそうな事業モデルで市場に参入。

どちらも(自分たちも認めるレベルで)投資家から好まれるような美しいビジネスモデルではなかったようですが、「XRスタートアップも、泥臭い」というのは、今回のイベントでよく語られたメッセージの1つだったように思います。

ユーザーアセットを持つ企業のAR活用が進む

コンシューマー向けAR単体で成功することは難しいものの、すでにユーザーアセットを持っている企業によるAR開発が本格化してきており、「既存プラットフォーマーがゲームエンジニアを積極的に採用するトレンドがきている」というのは興味深いお話でした。

MESON梶谷氏曰く、Houzz(家具・インテリアEC)はARを用いることでCVRを11倍に跳ね上げたそうで、11倍という事業インパクトはどんなグロースハックの手段でも不可能なので、異常値と仰っていたのが印象的でした。

Session 3:UI/UX

次は、XRサービス開発におけるUI/UX設計についてです。

UI/UX設計における情報配置

 

ENDROLLの大島氏によるXR体験の3分類。

AR情報へのコントロール感・インタラクションのレベルによって区分けされており、「神」や「ロボット」といったメタファーで分かりやすく解説されていました。

※ワード解説

  1. Affordance:知覚された情報によって動物的な行動が無意識的に引き起こされること。ジェームズ・J・ギブソンが提唱。
  2. Input:アフォーダンスによって実際に引き起こされたアクション
  3. Feedback:アクションした後の反応、コミュニケーション

(WPM=Words Per Minuteで、1分あたりに処理できる単語のこと)

このパートは大変興味深い内容で、ARサービスの中で

  • ユーザーがAffordance(知覚して)
  • Input(アクションし)
  • Feedback(コミュニケーションする)

という一連のユーザー体験の中で、「視覚」「聴覚」「触覚」のメリット・デメリットを理解した上で、どのステップで、どのアプローチから情報を与えるかを最適化する必要があるという話がありました。

具体的な事例としてGraffityの斎藤氏からもお話がありましたが、上記のGifを見ると分かるように実際ペチャバトにおいても、「自分のライフポイントが減る」というフィードバックはプレイ中に確認する暇がなく、人間の認識上限を超えていたというお話も。

かといってフィードバックを触覚に寄せることも現状は難しく、UI/UXの最適解はまだ探求している最中とのことです。

Rapid Prototypingの重要性

MESONの梶谷氏曰く、 ARサービスのUI/UXは空間的な体験デザインになるため初期に仕様を決めきることは不可能に近い とのこと。

また「プロトタイプ」作成ではUnityを使うと一定リソースが必要になるため、プロトタイピングは「3Dのイメージが湧く」という要件を満たした数分で行えるものがベストで、もはやそれは「紙」や「レゴ」でもいいというお話は印象的でした。

ARのサービス設計について詳しく知りたい方はこちらのインタビューも合わせてどうぞ→)【AR R&D徹底解剖!】MESONが明かすR&Dプロジェクトの苦難と成功の舞台裏!

Session 4:Smart Glass

次のセッションはSmart Glassです。

消費者向けARデバイスとして期待大 – nreal

ブログでも熱量高くnreal lightを紹介していたMESONの小林氏が、今日も熱くnreal lightについて解説!

このnrealですが Magic Leap oneに近いスペック(そしてデザイン性は明らかに上)にも関わらず、5万円 という価格設定は計り知れない産業インパクトがあるという意見で登壇者たちの意見も一致。

視野角はほぼMagic Leapと同じですが、解像度が高いこと、そしてARオブジェクトとの距離が近くてもちゃんと投影される焦点距離の近さが、際立っていたとのことです。

またIoTとの連携といったユースケースが紹介されており、「一家に一台ARグラス」という時代の到来を感じさせました。

 

両目の視力が違う人用にも、マグネットでレンズを片方ずつ調整できるという優しさ・配慮が素晴らしいというお話もありました。(Magic Leapなどは片目ずつで度数調整が出来ないそうです)

MESON小林氏によるnreal lightへの詳細記事はこちら→)nreal がAWE2019で見せてくれた「消費者向けARグラス時代の幕開け」

世界で初めて現実とバーチャルの境界が消失する? Varjo XR-1

MESONの梶谷氏がイチオシしていたこちらのVarjo XR-1

nrealの熱狂も凄かったそうですが、AWEの会場で一番話題になっていたのがこちらのデバイズだそうです。

というのも、いかにハイスペックな最新ARグラスと言えども「解像度」や「AR情報の遅延・タイムラグの問題」でARと現実の境界を識別できるのが普通なのですが、このVarjoは本当に現実とバーチャルの違いが識別出来ないのだそうです

neal lightはMagic Leapが出来ることをブラッシュアップして、かつ5万円まで圧縮したという意味でビジネス的な影響力は凄まじいですが、純粋な「体験」という意味ではこのVarjo XR-1が最も衝撃的だったとのことです。

Session 5:Privacy

最後はプライバシーセッションです。

国内のAR界隈ではまだ大きく話題になることも少ないですが、ARに携わる人であれば必見の内容でした。

個人情報が個人資産であるという考えが広く浸透してきている中で、3D空間および個人データの収集が可能なXR産業は、例外なくプライバシーに関する問題が提起されています。

先ほど紹介した「3Dメッシュ化」により個人の顔などのデータを放棄している「6d.ai」社は「クロス・プラットフォーム」「データ・オーナーシップ」の双方に配慮している、と主張しています。

各企業がプライバシーには非常にセンシティブになっていますが、「人の顔」は「最もパブリックかつプライベートな情報」と言われている中で、今後人間の身体情報を「どのようにプライバシーとして扱っていくか?」といった点は熱く議論されていきそうです。

AWE Co-Founder Ori Inbarインタビューも全文公開中!

またAR/VRのアーリーステージへ投資するファンドSuperVenturesのFounderであり、AWEの設立者であるOri Inbarに、直接Graffityの斎藤氏が質問した内容について、何とこちらで全文公開されています。

  • 投資先へのアドバイス
  • どのようにARの歴史を学ぶべきか?
  • 投資先の失敗から学んだことは何か?
  • スマートグラス普及のタイミングはいつか?

などなど、盛りだくさんの質問に対するOriの回答が見れますので、ぜひお見逃しなく!

AWE Co-Founder Ori Inbarインタビュー全文

まとめ

いかがでしたでしょうか?

初のAWE報告会でしたが、海外のXR企業の動向をキャッチアップするだけでなく「開発者目線の最新情報」から「海外のXRスタートアップ事情」まで非常にバラエティに富んだ話題を楽しむことができました。

(少しでも参考になった!という方はぜひ本記事をツイッターでシェアいただけますと幸いです^^)

会の最後には交流会も行われており、AWEを中心にXRスタートアップコミュニティはさらに熱気を帯びてきそうです!

今回参加できなかった方も、ぜひ次回参加参加してみてはいかがでしょうか!

<AWE Nite TOKYOへの参加はこちらから!>


XR-Hub 編集部