【全文書き起こし!】最前線で活躍するAR Developerが語るAR開発のいろは:ARISE Developer Session
XR-Hubによる、クリエイター向けリアルイベント書き起こしコンテンツ!
今回はARISEの第3パート「Developer Session」を全文書き起こしでお届けします!
- 第1セッション:MoguraVRの久保田氏による「Media Session」はこちら
- 第2セッション:MESON梶谷氏、meleap福田氏、ホロラボ伊藤氏、Graffity森本氏による対談「Startup Session」はこちら
このセッションでは、ARコンテンツを開発しているDeveloper3名が登壇!
「開発の難しさ」から「AR開発者になる方法」といったテーマについてAR開発者であるお三方ならではの視点でお話頂く、密度の濃いセッションでした。
それでは早速、発表内容の方にいってみましょう!
Contents
開発者視点で最もインパクトのあったニュースは?
ARおじさん:今回は様々な形でARに取り組まれているお三方に登壇して頂きました。
まず最初は「開発者視点から見て2019年最もインパクトのあった AR関連のニュースや出来事とは何ですか?」という質問です。
では、まず比留間さんお願いします。
比留間氏:そうですね。 MESONではiOSベースで作っているので、やはりARKit3の発表ですね。
オクルージョンやユーザー同士の空間シェアなど、これまでのARKitで足りなかったところを実現できると実感させてくれたので、個人的には一番インパクトのあるニュースでした。
そして、ARKit3は世間的にはオクルージョンが注目されがちですが、他にも注目すべき色んなアップデートがあったんですよね。
例えば、ボディトラッキングの機能はVTuberを始め、色々なことに引用できる機能になっているかなと思います。
あと、WWDCでARKit3を使ったMinecraftのデモが非常に記憶に残っていますが、あのデモこそ「我々の目指しているARの世界に近づいてきたことが分かる表現」じゃないかなと思っています。
ARおじさん:ありがとうございます。服部さんはいかがでしょうか。
服部氏:比留間さんと被ってしまうのですが、 ARKit3が私にとっても一番インパクトの大きいニュース でしたね。
この会場にAppleの方がいるような気がしますが、これまで私が「ARKit2を使う度にオクルージョンが欲しい」とか、「ライティング厳しいですよね」とか言ってたら、本当にそのリクエストを受け入れてくれることを今回知りまして。
なので、今後もまだ無いけど欲しい機能を沢山リクエストしていけば実装してくれるかもな、という知見を得ました。
まだARKit3を全然使い倒してないので、これからどんどん使い倒していきたいなと思います。
ARおじさん:ありがとうございます。豪君(=佐藤氏)どうでしょう。
佐藤氏:そうですね、僕は Startup Sessionでも挙がっていたnreal light ですね。
今年(2019年)の2月にスペインのバルセロナでMWCという世界最大級のモバイル関連のイベントがあったのですが、そこでHololens2が発表されると大々的に言われていたので、僕も現地に見に行ったんです。
初代Hololensからの2,3年ぶりのリニューアルということで、ハンドトラッキングが使えるようになっていたり、目の前の物もちゃんと描画されるようになったりと、かなり良いアップデートがありましたが、正直Hololensが初めて発表された時の衝撃に比べて、1から2になった時の衝撃が個人的にはちょっと少なくて。
「あぁ、わざわざスペインまで来たんだけどなぁ」という気持ちになりながら色々なブースを回っていた時に、ちょうどnrealさんのブースに行ったんです。
デバイスが凄く小さくて、「サングラスっぽくてかっこいいな」と思ってたまたまデバイスをかけてみたら、視野角の横の幅がかなり広くて、更に発色がとても良かったことが衝撃でした。
Hololens2では視野角の「縦の幅の向上」を強調していたのですが、体感してみて個人的には「横の幅」が大切だと思いました。
横の幅があるだけで今までのARグラスの「ちょっと小窓越しに見ている」という感覚が無くなったような気がして。
あと、先ほども言ったのですが発色が良かったことと、解像度が高く映像がきめ細やかだったことも印象的でした。
例えると、映画のIMAX シアターで見る3Dの映像を、あの綺麗さのままでパーソナルのデバイスで見ることが出来るイメージです。
なので今後、 映画館に行かなくても、自宅で部屋を暗くして、nrealのゴーグルをかけて最新の映画を見ることで、映画館と同じような体験を家で体験できるようになると思います。
しかも、それを高価なパソコンを用意する必要無しに、 モバイル端末に接続することで体験できる。
で、普段はそれを尚且つサングラスとして使える、というようにnrealを体験した時に様々な用途を一気に想像できて、かなり衝撃を受けましたね。
AR開発者として今の場所で働こうと思った決め手はなんですか?
ARおじさん:では、次の質問に移りたいと思います。
オーディエンスさんからの質問ですが、「今のARスタートアップでAR開発者として働こうと思った決め手はなんですか?」という質問です。
これからAR開発者として転職を考える方もいらっしゃると思うんですけれど、その人たちに向けて、じゃあ今度は豪君からお願いします。
佐藤氏:僕に関しては運命としか言いようがないですね。
というのも、2014年にPsychic VR Labが立ち上がったのですが、Psychic と言うだけあって、本気で人間の能力を超能力レベルまで拡張できると考えているんです。
そして設立当初は、「VRヘッドセットとWeb カメラを使って幽体離脱の体験をした時にどういう感覚になるのか」とか、「コーヒーカップに入れたお湯を、VRの表示を通して飲むことでコーヒーとして知覚するのか」といったことを検証していました。
これらをやっていて「VRによって今後の人間のあり方が変わるな」という実感がありました。
確かに普通の会社に行くという選択肢もあったと思うのですが、今の時代に生まれてしまった以上「これ(=VR)をやるしかない」と思っていた中で、現社長の山口に「暇なら一緒にやろうや」と言われ、決断しました。
当時僕は茨城に住んでいましたが、東京に出てきて、その直後にもう2人メンバーが入って、4人で会を立ち上げました。
ということで、僕の場合、一般の会社を経由してスタートアップというよりスタートアップから始まる運命だったんです。
ただ、働いていく中でスタートアップならではの問題もありました。一般の企業で働いた事が無いので
- 自分がどの程度の実力を持っているか
- 今後どういう道を歩んでいけば良いか
といったことが分からなかったんです。
そこで、一旦僕はコロプラに3年修行しに行くことにしました。
ところが結局2年経った時に、「ああ、戻りたい。」と思って戻っちゃったので、生まれながらのスタートアップの人間なんだと思います。
ARおじさん:なるほど、服部さんはいかがですか?
服部氏:あくまで、個人の意見だと思って聞いてください。
サイバーエージェントという大きめの企業で「ARエンジニアです」と手を挙げてやるのは、現状少し厳しいかなと感じていて。
どうしてもメインのタスクが忙しいのに、更にARやりますと言っても、会社に対して事業性を示すことができる数字を作れる実感が湧かないんですね。
またR&Dをやらせて下さいと言っても、「サブプロジェクトとしてやればいいじゃん」ということになりがち、というのが現状だと思っています。
ただ、ARKitを使った時に個人的に非常に可能性を感じて、みんなより先に知見を貯めること、そして社内でも社外でもARKitと言ったら服部さんだよねというポジションを目指すのが筋が良いと思ったんです。
そこで、 サブプロジェクトだけど本気でコミットしてやろうと決め、「XR – Guild」を作りこれまで本気で取り組んできました。
あれ、こういう答えでいいんでしょうか。
ARおじさん:そういう答えを求めていたんですよ!
世間的にARのプロジェクトも増えてきていると思いますが、具体的にどういう開発をされているんですか。
服部氏:そうですね、例えば放送にARを載せるという開発をやっていますね。
具体的に言うと、Abemaに競輪のチャンネルがあるのですが、そこの解説のコンテンツをARで作っていて、既に実際の放送で使われています。
ARおじさん:そうなんですね、ありがとうございます。
続きまして比留間さんにお聞きできればと思います。元々比留間さんもコロプラでVRエンジニアとして働かれていたと思いますが、VRからARに乗り換え、かつMESONで働き始めた決め手を聞かせて頂きたいです。
比留間氏: 元々コロプラに入る前からVRはやっていたのですが、ずっとVR技術者として働いてきて思ったていたことが、「VRはちょっと早かったかな」ということでした。
ただこれはディスりという意味ではなくて、VRもすごく信じてます。
いつだか忘れたのですが、Hololensの開発者の方が言っていたのが今でも心に残っていることがありまして。
「VRとARの違いって何でしょう?」という質問に対してその人が「VRとARの違いはCGの濃度である」と答えていたんです。
「100%にするとVR、そこから%を減らした99%以下がARであり、結局濃度の差でしかない。」という話をしていて、この表現は的を得てるなあと思ってまして。
なので、今はARに注力してますが、最終的にはARとVRが統合され一つの世界になるんだろうなと思っています。
ただ、さっき早かったと言ったのは、 やっぱりVRで何かを達成しようとすると、どうしてもコンシューマーや一般の方に届けづらく、やっぱりARの方がイメージはしやすく、届けやすいなあと思っているんです 。
そんなことを思い始めたタイミングで、梶谷さんと小林さん(ARおじさん)と知り合い、お手伝いする機会があり、一緒にやりませんかと声をかけて頂いたのでMESONに入ることにしました。
今のAR開発で難しい点はどこでしょうか?
ARおじさん:では、3つ目の質問に行こうと思うのですが、デバイスやSDKの話は最初の質問の話と被っちゃうので、Q4に行きたいと思います。
(Q3は「2019年取り組んでみたいと思うデバイスやSDKを教えてください」でした。)
「今のAR開発において難しいと感じ点はどんなところですか?」という質問です。
難しい点に加えて「今後こういう風に改善したいな」と思ってることがあったら、是非教えて頂きたいです。
じゃあ、今度は服部さんからお願いします。
服部氏:さっきお伝え下通り、私の現状だと、どうしても「まとまった時間を取ってXRに取り組む」というのが難しいです。
社内事業として行う以上は何かしら成果を出す必要があり、UnityやUnreal Engine 4などのツールを使ってARサービスの開発を行った結果どうなるのか?(どういったメリットがどれほどあるのか?)という点を示さなければならない。
開発者視点としてではなくビジネスという軸になりますが、私が現在難しいと感じているのはそういったポイントですね。
ARおじさん:ありがとうございます。比留間さんいかがでしょうか?
比留間氏:一番感じていることは、これまでのディスプレイで完結していた2Dのコンテンツの作り方とはガラッと考え方を変えなければいけないということです。
勿論スマホベースのコンテンツであれば、画面というものを通して見てるので多少その文脈に沿って作れます。
ただ、これがグラスになると、例えば「右端のところにボタンを置きたい」となった場合に、グラスには端がないので「端ってどこですか?」みたいな問題が発生するんです。
いわゆるパラダイムシフトじゃないですけど、これまでと全く違う脳の場所を使ってコンテンツを作っていかなければいけないことを常々痛感しています。
また、実際に自分でARのコンテンツを触ってたり試してみないとどうしても結論が出ないということが非常に多いことも難しさを感じるポイントですね。
VRやARなど空間を使ったコンテンツ作りを既に数年間行ってきているのですが、にも関わらず想像したものと出来上がったものが違うことが非常に多いので。
大切なことは、とにかく どれだけ最速でコンテンツを作り出してみるか だと思っています。
ARおじさん:なるほど。最近だと独自のプロトタイプツールとかも使ったりしてますもんね。
比留間氏:そうですね、既存のツールやアプリを使ったり、VR内でARのコンテンツを疑似体験できるツールも自分たちで開発して使っています。
VRの知識を持っているからこそ作るべきだろ、というノリで作ったやつですね。
ARおじさん:ありがとうございます。豪君、いかがでしょう?
佐藤氏:ARに関して言うと、コンテンツ作りやサービス開発が画面の中だけじゃ収まり切らないことですかね。
というのも、ARは必ず現実との接点があり、現実の上にホログラムや情報を載せることになるので、現実もちゃんと設計しないといけないという点がすごい大変だと思っています。
現実も設計しないといけないので、例えば現実空間の棚のレイアウトはどうすればいいのかとかも考える必要があるんです。
今後は空間設計のデザインもかなり大切になってくるなと思っていて、最近は空間設計のデザイナーと協力しながらコンテンツを作っていますね。
多岐に渡る知識が必要になりますし、 自分自身で全ての作業を完結させられるわけではないので、常にメンバーとコミュニケーションを取ってコンテンツを作る必要があるのは大変ですね。
ARおじさん:確かに。そういえば、オフィスにクリエイター用の空間を作られていますよね。
佐藤氏:そうなんです。現実とデジタルの両方があって、初めてコンテンツの良さが引き出されると思ってるので、双方の空間をデザインしています。
例えば、僕達が今年(2019年)3月頃にやったイベントで、STYLYを商業施設の店舗設計をしている人にも使ってもらうためにデモをしまして。
その時に、実際に店舗にある商品棚や机などがない状況でプロトタイピングやコンテンツ作りをしていたんです。
ただ、これでは机上の空論と変わりないよねという話になり、実際に棚のようなものを置いてカップラーメンを並べてみたり、ファッションブランドの服を陳列してみたりしました。
これらがある状態で、デジタルの情報を付与したらどう見えるのか?それをどう体験してもらえるのか?というプロトタイピングができるように、そのような空間を用意しています。
実はそこ、基本誰でも遊びに来てOKな場所にしてるので、是非興味がある方がいたら声を掛けて貰えたら、是非日程を決めて案内しますよ。
服部氏:現実も作らなければならないというのはすごく分かります。
白い壁や床だと認識しなかったり、ものが移動しちゃうと見失ったりとかがありますよね。
あとはマーカーを使ったりしても、そのマーカーが照明で潰れちゃったり、雰囲気を出すために暗くすると見つからなかったりというところも含めて、部屋の状況もしっかりデザインする必要があるのがまた大変で。
佐藤氏:今の話に重ねると、ARやMRだと昔と変わらずに画像マーカーベースであることが多いんですが、現実に存在しても違和感がないように画像マーカーもちゃんとデザインしなきゃいけないんですよね。
デジタルの世界だけでなくリアルの世界も非常に関係してくるので、エンジニアとしても足りない知識は多くて、アートやインテリアデザインとかの観点など、色んなことを考えなきゃいけないなと思っています。
比留間氏:あと実際に作ってて感じるのが 使う人側の視点が抜けてしまいがちなこと ですね。
「こういう操作をさせたい」と思って制作して、いざユーザーとして体験してみると手が疲れる、といったことがよくあります。
佐藤氏:確かにありますね。開発者として慣れてしまったために取り戻せない部分ですよね。
比留間氏:本当にそうですよね。
その人になりきって、かつ「こういう風に使うだろう」といったこともちゃんと設計してあげないといけないんですよね。
普段iPadとかiPhoneとかを寝っ転がって使うこともある中で、ARだとどうしても体を動かして貰う必要があって。
なので、どういう人がどう使うかも考えなきゃいけないのが、やっぱりARの難しいところかなと。
ARおじさん:人と部屋、空間全てを紐付けて考えていかないといけないですね。
比留間氏:だからこそ、人間工学的な話も今後出てくるかなと思ってます。
ARおじさん:グラス型だとますますありますね。
比留間氏:ですね。
AR開発者になるために意識すべきことはなにか?
ARおじさん:Q5に移りたいと思います。「AR開発者になるために意識すべきことはなにか?」という質問ですね。
これまで開発で意識したことや努力してきたことについてお聞きしたいできればと思うのですが、比留間さんはよくQiitaを書かれていますが、どういった視点で勉強しているのかを教えてもらえますか。
比留間氏:Qiitaには、自分が興味を持った技術とかこれってどういう仕組みで動いているのかとかをまとめています。
AR開発者になるためという話だと、新しい技術にいち早く触れてみるだとか、自分で実際にどういう仕組みで動いてるかとか、をちゃんと把握する必要はあるかと思っています。
あとは、ディスプレイとVRとリアル空間で何が違うのかな?というのは結構意識していますね。
実際に自分で触ってみて難しいと思った時に、なんでこれを難しく感じたのかな?とか、逆にそれを「ARならでは」に置き換えるにはどうすればいいのか?みたいなことを頻繁に考えていますね。
一種の脳のトレーニングじゃないですけど、常にARだったらどうする?と考えることは意識してます。
ARおじさん:ありがとうございます。その点豪君はどうですか?そもそもARをいつ頃から開発し始めました?
佐藤氏:ARに関しては2014年,2015年辺りからですね。
ただ、AR開発者になりたい意識は今も昔も実はあまり無くて、ARもVRも手段の一つであって、目的では無いので。
基本はAR・MRがベースなんですけど、案件によってはVRもやったりするので、AR開発者ですという感覚はないんですよね。
でも、やっぱり幅広い知識が昔より必要になってるのかな、とは思いますね。
また、開発者という点だとSDKのドキュメント読んだり、Qiitaの記事とかを読めば、開発自体はそこまで難しくはないんですけど、何を作りましょうか?とか、これを作ったことで誰かを感動させられるかどうか?というところの方が大変な気がします。
ARおじさん:それ分かります。開発と言っても、例えばUnityでパーティクルを作るのはエンジニアなのかデザイナーなのかとか。
佐藤氏:そうですね。Unityを触ってる人に関しては、今の世界だったらエンジニアよりかはクリエイターに近い気がしますね。
目的をどう実現するかのために、日々比留間さんのQiitaとか色んなものを見て学習してますけど、結局アウトプットが大事なのかなと思います。
比留間氏:ARクリエイターって言うのは、すごく良いですね。
名は体を表すじゃないですが、言葉に思考が縛られることは結構あるので。
今の話を聞いて思ったのは、開発者になるためには?という前にARクリエイターになる為には?というところで言うと、「自分じゃない別の人の視点をどれだけ持てるか」というのが重要だと思います。
さっき話した、実際やってみたら違うとかもそうですし、他人の視点をどこまで想像できるかは1つ大きなポイントかなと。
ARおじさん:服部さんその辺いかがでしょうか?
服部氏:この質問が出るということは、まだAR開発者じゃないけど目指している人がいると仮定して、その人にアドバイスするとしますね。
まずAR開発者になるためには、スパルタコースと普通コースの2つのコースがあります。好きな方を選んでもらえればと思いますが。
スパルタコースは1人アドベントカレンダーをやりましょう ということですね。
アドベントカレンダーは皆さんご存知だと思うんですけど、20何日間1人で記事を書いてつないでいくというやつなんですけど。
あれを1人でやりきると、カレンダーが終わる頃にはAR開発者になってますね。
そして、 普通コースは「ARでやってみた」系の作品を作っていくこと ですね。
「ARでやってみた」系はTwitterで反応してもらいやすいので、短いのを作ってTwitterに投げてリツイートしてもらうという流れで、数字稼いで自己承認と知識を高めながら、そのサイクルを週1とか週2で繰り返していくと、2,3ヶ月後くらいには自分の心も周りの認知もAR開発者になっていくと思います。
ARおじさん:確かに、今の開発者の方々はアウトプットの多い方が多いなという印象がありますね。
比留間氏:そうですね。今の文脈でいくと、 AR開発者になろうと思った時に一番手っ取り早い手段は自分でAR開発者ですと言う事 だと思います。
これは半分冗談半分本気ですけど、元々ゲームを開発してた人とか、ディスプレイ向けのコンテンツを作っていた人の方が、逆に既成概念に囚われちゃって、新しいアイディアが出てこないという話があるので。
まず名乗っちゃって、新しいものを作って、それこそ私みたいにQiitaにまとめたりとかアウトプットをとにかく出していけば、気付いたら本当の意味でAR開発者になってると思います。
「まずは名乗ってしまう。そして、アウトプットする」というのが一番重要かなと思います。
ARおじさん:今日建築開発者の方もいらっしゃいますけども、そのような建築家の人がUnityとかを触っていくことが僕は一番早いと思うんですけれど。
佐藤氏:まさしくその通りだと思っていて、僕自身もあんまりエンジニアという感覚よりかは、技術を使って何作ろうかな?みたいな気持ちなので、建築の人とかは、今それがダイレクトに表現できる場所が多い気がしてて。
うちの会社の話を少しすると、元々エンジニアの社長と始めた会社で僕もエンジニアで入ったのでエンジニアが基本多かったんですよ。
ただ、面白いのがVRクリエイター採用を絶賛やってまして。VRという名前はあまり関係なくて、空間クリエイター採用を行っています。
それで1人入ってきた人間がいて、今その人が大活躍しているんですよね。
その人はもともと近いところにいて、僕たちのサービスを使っていた1ユーザーだったんですね 。
1ユーザーで、建築学科出身で、建築の知識を使ったり色々自分の中に貯めていたデザインの知識を使って、STYLYというコーディング・ビルドの必要のないプラットフォームを使って自分の作品をいっぱい出していたんです。
そして、去年(2018年)の僕たちが主催しているCreative AwardのNEWVIEWでPARCO賞を受賞した方で、本人のセンスが光る作品がたくさんがあって。
それを見た僕達が「こういった人たちが今後絶対必要だし、自分たちに無い能力だから雇おう」となって、オフィスに呼んで「やろうよ一緒に」と引き込んだんですよね。
なので今はコンテンツを作るとなったら彼が中心になって、それに僕とか他のメディアチームの人間が協力して、彼の試作品を世に出して行くみたいなことが増えてるので。
建築学科出身みたいな人たちがこの世界ではかなり大切になってくると思うので、是非Unityを触って僕たちとスムーズに制作が出来るようになったらすごく嬉しいです。
ARおじさん:最近で言うとフォトグラメトリーアートとかすごいやってますもんね。
佐藤氏:正にそれをやってる人間ですね。
ARおじさん:なるほど。服部さんのXR – Guildではそういう異業種の方との関わり合いとかあったりするんですか?
服部氏:異業種との関わり合いはあまりなくて、デザイナーがマジ欲しいです。
プログラミングはできるけれども、そこから先の素敵なデザインとか導入文とかまで考えられる人がいたら、是非サイバーエージェント入社して、協力して欲しい。
ARおじさん:開発の話をしてきましたけど、業種としての境目が変わってきてるな、というのはありますよね。デザイナーなのか?エンジニアなのか?とか。
比留間さんは開発してみてそういうことを感じたことはありますか?
比留間氏:やっぱり決められた機能をただ作るだけではARのコンテンツっていうのは100%達成出来なくて、ARを作るということは非常に色んな視点や知見が必要となってくると思います。
Googleが、プロトタイピング無しにARコンテンツの仕様が決まることは無いと明言したぐらいですし。
さっき豪君が言ったように、建築家の方やデザイナーの方など、これまで開発には関わってこなかった色んな人たちの話を聞いてると、脳内で化学反応が起きて新しい表現やアイデアが出てくると思います。
逆に新しい表現やアイデアに興味があり、それらを考えていくことが楽しい人こそAR開発者に向いているのかなと。
ARおじさん:AR開発って、思ったよりアクティブに動かないといけないというのがありますよね。
実際にリアルの場に行って色々と考える必要があるというのは、今までのエンジニアにはない事だと思っていて。
比留間氏:ARコンテンツを開発するのは今回で3回目になるんですけども、未だにやってみないと分からないことがあり過ぎて。
想像力は体験には敵わないなということを常々感じているので、是非AR開発者になりたいと思っている人は実際作ってみると良い経験になるんじゃないかなと思っています。
服部氏:実際作って1番良い6秒ぐらいをツイートすると、リツイートされやすいですね。
比留間氏:確かに。
ARおじさん:ありがとうございます。お時間が来てしまったので、セッションを締めたいと思います。
皆さん、ありがとうございました!
まとめ
いかがでしたでしょうか。
AR開発を実際にやっているからこそ感じられる課題や考えを学ぶことができる大変貴重なお話でした。
ぜひ、これからAR開発者になりたい方はここで学んだ知識や見聞を生かしてARの更なる発展を生み出していただければ幸いです。
次回は2019年のAR界隈を賑わせた、nrealのspecial sessionの様子をお届けします!
この記事はいかがでしたか?
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