90%の人が間違えてる!「ホログラム」・「ホログラフィ」ってどんな技術?


「ホログラム」と言われてあなたは何を想像しますか?

なんとなく「SF映画に出てくる立体映像」や「VRアイドルにおける3D映像」のことと考えている人が多く、実は「ホログラム」について、正確に理解している方は少ないのではないでしょうか。

本記事は、ホログラムやホログラフィといったワードの解説から、その原理・仕組み、通常の2D映像との違い等について詳しく解説していきます!

ホログラムとは?ホログラムとの違い/通常映像との違い

ホログラム

①ホログラムは映像が立体的に記録された「媒体・物体」

「ホログラム」とは、映像が立体的に記録・再生された媒体・物体のことを指します。

「ホログラフィ」とは、「立体的」に映像を記録・再生できる技術のことを言います。

つまり

  • ホログラム=立体情報を記録された媒体/ホログラフィによって作られる
  • ホログラフィ=ホログラムを生成する技術

ということです。

ホログラムは、ホログラフィで記録された写真などの記録媒体になります。それでは、立体的な記録媒体と通常の映像記録とは何が違うのでしょうか。

②通常映像との違い=「記録映像が立体的か」

「ホログラフィ」の画像検索結果

(引用元:https://ja.wikipedia.org/wiki/

通常はカメラで写真を撮っても被写体が立体的に見えることはありませんが、対照的にホログラムの場合、映像そのものが「立体的」に記録されるため、記録媒体を再生すると映像が「立体的」に見えることになります。

ホログラムは、360度どのような角度からも、映像自体が動いていても、映像は立体的に見えます。これは、映像そのものは立体的に記録されていると考えれば、想像できるのではないでしょうか。

一方で、通常映像は被写体を「平面」的に記録しているので、映像は平面の画像として再生されます。

平面の画像を加工し、立体的に表示できたとしても、映像が「立体的」に記録されていない時点でホログラムではないのです。

街中で見かけるプロジェクションマッピングや加工することにより立体的に見える映像は、ホログラムとは全く別物ということを理解しておきましょう。

ホログラムの原理・仕組みについて

「ホログラム」・「ホログラフィ」の言語の意味が分かったところで、「ホログラフィ」という立体的な映像を記録・再生する原理・仕組みはどうなっているか、通常の映像記録と何が違うのかを解説していきます。

仕組みとしては、「通常の映像記録では記録できない3D情報を、別の光(=参考光)を差し込むことで立体的に記録する」というのが概要になります。

①ホログラムに使用される光源=物体光+参考光

ホログラムと通常の映像では、使用する光源に違いがあり、この差異が立体的映像の作成される仕組みになっています。まずは下記のワードを抑えましょう。

  • 物体光:物体から反射した光
  • 参考光:3D情報記録のために補完的に利用される光
物体光 参考光
通常の映像 ×
ホログラム

まず、通常の映像は、「物体光(物体から反射した光)」のみを利用します。ホログラムも光の反射を利用するのは変わらないのですが、ホログラムの場合は、通常の光に加え、「参照光」という光を合わせて利用しており、立体的な映像の記録を可能にしています。

②「物体光」=被写体から反射した光

両者に共通している物体光は、被写体から反射した光のことです。

私達の眼は、光の色や強さを受け取ることにより、物を見ることに可能にしています。

  • 光の色=波長
  • 光の強=振幅

であり、通常の映像では光源から光が被写体に照射され、被写体に当たった光が物体光として反射し、記録媒体に光の強さと振幅が記録されることになります。

我々が物を見る仕組みも基本的には光の反射を利用していますし、物も立体的に見えます。

しかし、カメラで撮影したものは立体的に見えることはありません。これは、光の色と強さしか記録媒体(フィルム)に記録されないからです。

対して、我々の眼はこれ以外の要素光の位相も直接光として両目が受容し、それぞれの眼で受け取った映像を脳内で処理するからです。そのため、肉眼では、物が立体的に見えるのです。

③「参照光」=「光の位相」を補完する為の光源

 物を立体的に見るためには、「光の色」、「光の強さ」に加えて「光の位相」が必要になります。

光の位相は通常の「物体光」では記録することができないため、立体的な情報を記録する場合には代わりの光源が必要になってきます

この光を「参照光」と言い、参照光は反射を利用することで直接記録媒体に照射されます。
※照射される光は「位相」を表します

 そして、被写体から記録媒体に反射する「物体光」と記録媒体に直接照射する「参照光」、これら二つの光の波が干渉し、干渉縞という細かい模様が発生します。

ホログラム参考図2

(引用元:http://www.ntt.co.jp/journal/0406/files/jn200406062.pdf)

この干渉縞が記録されることで、光の色、光の強さ及び光の位相の3つ全てを記録したホログラムが完成することになります。

※参考文献:NTT技術ジャーナル(2004)

ARにおけるホログラムの役割とは

AR

近年、このホログラフィ技術を利用する事例が多く見受けられています。その代表例である「AR(拡張現実)」は、現実の世界にコンピュータによる処理で付加的に情報を加える技術です。

のARにホログラフィを利用することで、現実の情報に立体的な情報を加えることが可能になります

ちなみによくある間違いとして「AR」=「ホログラム」と理解している方が多いのですが、「AR」と「ホログラム」は全く違う技術の総称です

AR」は、あくまで現実で得られる情報に変化を加える技術であり、「ホログラム」は、映像が立体的に記録された媒体になるので、注意してください。

①ARに利用されるホログラフィ技術=ホログラムを利用したレンズの活用

ホログラム レンズ

ARは、一般的に眼鏡やスマホといった「何かしらの装置を介して、現実の情報を得る」ということです。

そのため、経由する装置にホログラフィ技術を組み合わせれば、ARで見ている情報にホログラムを表示することが可能になります。両者の組み合わせとして注目されているのは、ホログラムを活用したレンズによるAR技術です。

②ホログラムARレンズの役割とは

まず前提として、立体的な映像はホログラフィの技術を利用しなくても表示することができます。いわゆる「擬似ホログラム」というものです。

よってホログラムをARに活用する役割としては、既存のAR装置などに利用されているARレンズの「課題の解決」が期待されています

現在のARレンズの課題としては

  • 「輻輳調節矛盾」を起こす⇒酔い、めまいの原因になる
    • 理由:現在のARグラスは、ディスプレイ上に「異なる2点の映像」を重ねることで立体的映像を表現するため(後程詳細を記述します)
  • グラスの質量が非常に重たい

等が挙げられ、上記課題をホログラフィを活用することで解決が可能とされています。

現在のARグラスの課題「輻輳調節矛盾」とは~なぜホログラフィで解決するのか

※「輻輳調節矛盾」:
輻輳(=眼球による対象物との距離の認識)」と「調節(=水晶体によるピント調節)」の矛盾になります。まずは両者の意味について解説します。

  • 輻輳=対象物との距離認識時の眼球の動き
    • 対象物が近いとき⇒眼球は内側に寄る
    • 対象物が遠いとき⇒眼球は外側に寄る

▼対象物との距離認識における眼球の動き

輻輳

※引用元:MoguraVR

  • 調節=対象物とのピント調節時の水晶体の厚みの変化
    • 対象物が近いとき⇒水晶体を膨らませる
    • 対象物が遠いとき⇒水晶体を引き延ばす

▼対象物とのピント調節における水晶体の厚みの変化

ピント調節

(引用:Santen公式サイト)

つまり、現実空間において、人間の身体は通常このような働きをし、輻輳と調節は比例する仕組みになっています。

対象物との距離 輻輳 調節
遠い 眼球は内側 水晶体薄い
近い 眼球は外側 水晶体厚い

一方で、VRやディスプレイ上に「異なる2点の映像」を重ねることで立体的映像を表現するARグラスであれば

対象物との距離 輻輳 調節
遠い 眼球は内側 一定
近い 眼球は外側 一定

※輻輳:対象物は3Dで奥行きがあり、認識する対象物により都度調整
※調節:ピントはスクリーンに合わせるため常に一定

となってしまい、「輻輳」は変化する一方で、「調節」は変化しないのです。

そこで、ホログラフィの技術を利用すれば、異なる2点の映像で形成される錯覚ではなく、最初から立体的な映像を両目で見ることになるため輻輳調節矛盾は起きません。

ホログラフィ

ホログラムレンズには、こういった役割が期待されており、注目が集まっています。

③ホログラム×ARレンズはどのように作られるのか

AR分野でも期待されているホログラムですが、ホログラフィを活用したARレンズはどのように作られているのでしょうか。

現在、様々な企業がこの技術を搭載したARゴーグルや眼鏡を開発しています。ホログラムを活用したARレンズは、

  • 「光学エンジン」(画像やテキストなどの映像光を発射する技術)
  • 「導光版」(光学エンジンから発射した映像光を目に伝搬させる透明版)

の二つから構成されることになります。

ホログラムの原理・仕組みからも分かるように、「物体光」の他に「参照光」が必要になることから、「映像光」を利用することで、立体的な映像を表現できます。

ホログラフィやARレンズはまだ発展途上であり、各企業もより高性能なホログラムレンズの開発を進めています。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今まで何となく理解していた「ホログラム」が本記事を読むことで少しでも理解の手助けになれば嬉しい限りです。

今後、様々分野で活躍が期待されるこの技術は、きっと、わたしたちの生活に大きな恩恵をもたらしてくれることでしょう。


ホログラム

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Kohei Imaizumi

今泉滉平:株式会社x garden執行役員 CCO / XR-Hub 事業責任者