AR用SDK全17個を徹底比較! – 開発ターゲット・機能・料金を一覧表付きで解説


AR用SDKとして広く認知されているものは、ARCore、ARKit、Vuforiaあたりでしょうか。

しかし、WebARやARクラウド、ロケーションベースARといった技術とともに新しいサービスが続々と現れ、林立している現状があります。

そこで今回は、数多ある中からめぼしいものをピックアップしました。

開発ターゲット別、機能別に比べた後、それぞれを詳しく見ていきましょう。

本記事を通し、思い描くプロジェクトにぴったりなものが見つかったり、新しいアイデアが生まれたりすれば幸いです。

開発ターゲット別のAR SDK一覧表

SDK選択の際にまず考慮しなければならないのは、開発するARサービスの形式です。

この項では、開発ターゲットを次の3つに分け、執筆時点(2019年9月中旬)での対応状況を鳥瞰します。

  • モバイルARアプリ; 現在の主流です。
  • WebAR; アプリのインストールが不要で、端末の仕様にも依りません。
  • HMDアプリ; Head-Mounted Displayは、これからの普及が見込まれています。

各SDKの機能詳細情報に関しては、次項以降をご覧ください。

# SDK Mobile Web HMD
Android iOS Windows HoloLens Windows MR Magic Leap Nreal Android
1 6D.ai CS CS
2 8th Wall
3 Amazon
Sumerian
4 ARCore ○*
5 AR.js
6 ARKit
7 DeepAR
8 EasyAR
9 Kudan
10 Lumin
11 MAXST
12 NRSDK
13 Onirix
14 Pikkart
15 Vuforia
16 Wikitude
17 Windows
MR

CS: Coming Soon

機能別のAR SDK一覧表

次に、実装可能な機能を軸にして見てみましょう。

機能の呼称はSDK毎にばらつきがあるので、今回は似たものをまとめ、下のように定義しました。

星付きのものは、右端の備考欄に追加情報があります。

  • 無料トライアル; 期限有り/無しでSDKを無料で試せる。
  • Unity向けSDK; Unityで開発できる。
  • 2Dマーカー・トラッキング: QRコード、白黒マーカー、画像マーカー
  • 3D物体マーカー・トラッキング: メッシュデータの事前登録、スキャン
  • SLAM; 端末の姿勢・位置の推定、空間のマッピング。
  • 平面トラッキング: 水平面、鉛直面
  • ヒットテスト; 画面タッチとVRオブジェクトとの相互作用。
  • ARクラウド: 空間情報のクラウド保存、セッション間での共有、端末間での共有
  • 環境光推定; ライティングを推定。
  • 顔トラッキング: RGBカメラ、深度カメラ
  • 人体トラッキング: ボーン、頭部の各パーツ
  • オクルージョン; VRオブジェクトと現実世界との前後関係を推定。
  • GPS: ロケーションベースAR
  • リモートテスト; ビルド無しでアプリをテスト。
  • スクリーンレコーダ; 端末の画面録画。
# SDK Free
trial
SDK
for
Unity
2D
marker
tracking
3D
object
tracking
SLAM Plane
tracking
Hit
test
AR
cloud
Light
estimation
Face
tracking
Human
body
tracking
Occlusion GPS Remote
test
Screen
recorder
Remarks
1 6D.ai
2 8th Wall
3 Amazon
Sumerian
12 mos
4 ARCore ○* ○* 向き付き特徴点を含む。24時間のマルチプレイのみ。
5 AR.js ○* 白黒マーカー、バーコードのみ。
6 ARKit ○* ○* ○* 空間情報のローカル保存。深度カメラ。人体のみ。
7 DeepAR 30 days ○* 顔のパーツのみ。
8 EasyAR ○* CS CS 水平面のみ。
9 Kudan
10 Lumin ○* ○* 空間情報のローカル保存。手のみ。
11 MAXST ○* マップではなく画像。
12 NRSDK ○* CS 水平面のみ。
13 Onirix 10 days
14 Pikkart
15 Vuforia ○* ○* 円柱側面上のマーカーも含む。水平面のみ。
16 Wikitude
17 Windows
MR
○* 手のみ。

CS: Coming Soon

※一枚絵バージョンは、Twitterに投稿してあります。

目的別 – おすすめAR SDK8選

最後に、用途別のおすすめSDKをピックアップしました。

  • モバイルARアプリの開発
    1. ARCore/ARKit; 機能が豊富で、Unityを介せば開発が容易。
    2. Vuforia; 対応端末が多く、Unityだけで開発が可能。
    3. Kudan; オクルージョンとロケーションベースAR。
  • Web ARアプリの開発
    1. 8th Wall Web; 機能が豊富。
    2. AR.js; オープンソース。
  • プロトタイピング
    1. 8th Wall AR Camera; とにかく手軽(マーカーレスAR)
    2. Wikitude Studio; 使いやすく、手軽(マーカーAR)
    3. Reality Composer; Apple謹製で、使いやすい。

AR SDK全17個の詳細情報(サービス/開発環境/機能/料金プラン)

ここまでで概観がつかめたかと思います。

ここからは、①サービス、②開発環境、③機能、④料金プランを中心に、各SDKをより詳しく見ていきます。

機能は、 マーカーベースAR(2D・3D物体)、マーカーレスAR(平面・顔)、ロケーションベースAR と大まかに分けました。

また、以下は執筆時点(2019年9月中旬)での内容であることにご留意頂き、最新の情報に関しては随時更新していきます。

1. 6D Reality Platform

6D.ai社の提供する、モバイルAR用SDKです。

  • 開発環境: Unity、iOSネイティブ(Objective-C、SceneKit)、Androidネイティブ(早期アクセス版)
  • 機能: マーカーレスAR(機能一覧表へ↑
  • 料金プラン: 開発:無料。リリース:無料(〜2019年)、ARマップの月間ダウンロード数に応じた有料プラン(2020年〜)。

6D.aiの強みは、 単眼のRGBカメラからリアルタイムに3Dメッシュを生成できる ところです。任意の物体をオクルージョンできる、数少ないSDKの一つです。

また、 プライバシー保護を目的に、画像データを端末から出さない 点も特筆すべきです。空間情報はメッシュとしてクラウドにアップロードされます。

マルチプレイ・セッションへのスムースな移行にも力を入れており、オクルージョンと併せて、自然なAR体験の実現に重きを置いているのが特徴的です。

2. 8th Wall

8th Wall社の提供する、モバイル/Web AR用SDKです。

  • サービス: 8th Wall Web8th Wall XRAR Camera
  • 料金プラン: 開発:無料。リリース:無料のBasic(月間1,000ビューまで)、月額99ドル〜のAgency(WebAR開発)、月額250ドル〜のBusiness(+モバイル開発)、サービス公開用プラン。
2-1. 8th Wall Web

JavaScriptとWebGLベースのWebAR用SDKです。

  • 開発環境:   three.js、A-Frame、Babylon.js、Amazon Sumerian
  • 機能:   マーカーAR、マーカーレスAR(機能一覧表へ↑
 平面トラッキングや環境光推定など、WebAR用SDKとしては機能が充実している のが強みです。

公式ドキュメントが見やく、またサンプルが多数用意されており、開発への着手し易さという点でも優れていると思います。

2-2. 8th Wall XR

AndroidとiOS向けのモバイルAR用SDKです。

前述の8th Wall Webもそうですが、環境光推定を実装できるのが特徴的です。

また、 端末が対応していれば、8th Wall SLAMからARCore/ARKitへ自動的に切り替わる ので、プラットフォーム毎の開発が不要なのも魅力です。

2-3. AR Camera

GUIのプロトタイピング・ツールです。

  • 開発環境:   8th Wallコンソール(ブラウザ上)
  • 機能:   マーカーレスAR(機能一覧表へ↑

3Dモデル(glb形式)をアップロードするだけで、すぐに実環境下での見え方を確認することができます。

手軽さが何よりの強みです。

3. Amazon Sumerian

Amazon社の提供する、モバイルAR用SDKです。

  • 開発環境:   Sumerianエディタ(Webブラウザ上)
  • 機能:   マーカーベースAR、マーカーレスAR(機能一覧表へ↑
  • 料金プラン:   ストレージ、トラフィックに応じた料金。

VRゴーグル向けの開発がメインなサービスですが、基本的なAR開発も行えます。

特徴的なのは「ホスト」と呼ばれる3Dアニメーションキャラクターで、 Amazon Lex(対話型I/F)やAmazon Polly(テキスト読み上げ)を活用し、自然な仮想コンシェルジュを実装することができます。 コンシューマ向けというより、作業のインストラクションや建物の案内など、ビジネス向けのシステムで活きてくる機能です。

4. ARCore

Google社が提供する、Android向けARアプリ用SDKです。

  • 開発環境: Androidネイティブ(Java)、Unity、Unreal、iOSネイティブ(Objective-C)
  • 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR、ロケーションベースAR(機能一覧表へ↑
  • 料金プラン: 無料

豊富な機能はもちろん、平面と特徴点にもVRオブジェクトを置けるというARCore唯一の機能もあります。

また、 マルチプレイ機能がiOSでも利用可能 なのは大変便利です。加えて、深度カメラを使わない顔認識もiOSに実装できるようになっています。

Android端末をターゲットにするなら、間違いなく最初に試すべきSDKです。但し、古い端末は対応していない場合があるので、公式情報をよく確認しましょう。

(関連記事:【Unity】ARCoreでARアプリ開発 – 環境構築から実装まで徹底解説!

5. AR.js

オープンソースのWebAR用SDKで、Github上で公開されています。

  • 開発環境: three.js、A-Frame
  • 機能: マーカーベースAR(機能一覧表へ↑
  • 料金プラン: 無料

オープンソースのARToolKit.jsをベースに作られており、動作が軽く、古い端末でも十全に動くのが強みです。

現段階でマーカーとして使えるのは、専用の白黒マーカー2次元バーコードだけで、 任意のカラー画像は認識できません。 ただ、複数のマーカーを同時にトラッキングする、複数のマーカーからVRオブジェクトの位置を補正するといった高度なことができます。

サンプルもあって開発が容易なので(幾つかリンク切れなのが残念…)、WebAR開発の際にはぜひ試しておきたいSDKです。

Fig. サンプルをAndroidのChrome上で実行した様子。

6. ARKit

Apple社が提供する、iOS/iPadOS向けARアプリ用SDKです。

  • サービス: ARKitRealityKit(ベータ版)、Reality Composer(ベータ版)
  • 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR、ロケーションベースAR(機能一覧表へ↑
  • 料金プラン: 無料
ARKit
  • 開発環境: iOSネイティブ(Objective-C、Swift)、Unity、Unreal
 人体の認識・オクルージョン、前後カメラの同時利用といった独自機能 をはじめ、最も豊富な機能を備えています。

但し、バージョン毎に端末の要件(OS、チップセット、深度カメラ)が異なることに注意しましょう。例えば、最新のARKit 3は、iOS13のiPhone XS以降の端末でしか動きません。

iOS端末をターゲットにするなら、間違いなく最初に試すべきSDKです。

(関連記事:【Unity】ARKitでARアプリ開発! 開発環境構築からサンプルアプリの実装まで

RealityKit
  • 開発環境: iOSネイティブ(Swift)

3Dオブジェクトのレンダリングやアニメーション、物理演算などを扱うAR用フレームワークです。

まだUnityほど複雑なことはできませんが、ARKitと合わせて、 Swiftだけで簡単にARアプリを開発することができます。 

Reality Composer
  • 開発環境: Xcode、iOS、iPadOS

GUIのプロトタイピング・ツールです。

Unity等のゲームエンジンを介さずとも、直感的にARシーンを作成できるのが魅力です。

7. DeepAR SDK

DeepAR社が提供する、モバイルARアプリ用SDKです。

  • 開発環境: DeepAR Studio
  • 機能: マーカーレスAR(機能一覧表へ↑
  • 料金プラン: 開発:30日間の無料トライアル。リリース:不明。
 マーカーレスARの中でも、とにかく顔に特化している のが最大の特徴です。

目や顔面にVRオブジェクトを置くことや特殊効果を加えることはもちろん、表情を7種類に分類したりすることもできます。さらに、深層学習を駆使し、より細かなパーツ(眉、唇、歯)や顔の輪郭まで編集するアドオンも用意されています。

専用の開発ソフトであるDeepAR Studioでは、高度なARシーンを簡単な操作だけで作成することができます。MayaやBlenderで作成した3Dモデル(fbx形式)を読み込むことも可能です。

8. EasyAR SDK

VisionStar Information Technology社の提供する、モバイル/Web AR開発用SDKです。

  • 開発環境:   Unity、Androidネイティブ(Java、Kotlin、C++)、iOSネイティブ(Objective-C、Swift)、Windowsネイティブ(C#、C++)
  • 機能:   マーカーベースAR、マーカーレスAR(機能一覧表へ↑
  • 料金プラン:   無料のBasic(機能制限)、499ドル/ライセンスキーのPro。
 豊富な機能と、幅広い開発環境 が何よりの魅力です。

画像マーカーに加え、それに付随するメタデータ(3Dモデル、Unityアセット)までクラウドに保存できるという特徴もあります。

将来的には、3Dメッシュのリアルタイム生成や空間情報の保存、マルチプレイ機能も実装されるようなので、今後のアップデートが楽しみなSDKです。

9. Kudan

Kudan社の提供する、モバイルAR用SDKです。

  • サービス: AR SDKCV SDK
  • 開発環境: Unity、Androidネイティブ(Java)、iOSネイティブ(Objective-C)
  • 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR、ロケーションベースAR(機能一覧表へ↑
  • 料金プラン: 開発:無料。リリース:無料のAR Indie(売り上げ100万ドル未満、透かし有り)、年1,500ドルのAR Business(売り上げ100万ドル未満、透かし無し)、規模に応じたAR Enterprise(売り上げ100万ドル以上)。
 マーカーベースARとマーカーレスARはもちろん、3Dメッシュのリアルタイム生成、GPSを用いたロケーションベースARまで備えた、全方位的なSDK です。

高度な機能を備える一方、古い端末でも十全に動作し、プラットフォームを選ばないことも強みです。

トラッキングを担うKudanCV (Computer Vision) エンジンの部分は、CV SDKとして、AR機能とは別個に扱うことができます。

(関連記事:AR開発者必見!Kudan社の技術・プロダクトから企業情報まで徹底解説

10. Lumin

Magic Leap社の提供する、Magic Leap One用SDKです。

  • サービス: Lumin SDKPrismatic
  • 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR(機能一覧表へ↑
  • 料金プラン: 開発:無料。リリース:アメリカ限定。
Lumin SDK
  • 開発環境: Lumin Runtime(C++、MagicScript)、Unity、Unreal

Lumin Runtimeは、Magic Leapアプリ専用のプラットフォームです。 GUIでARシーンやアニメーション、UIを作るツールも備わっており、Unity/Unrealと同等の環境で開発を進めることができます。 また、MagicScriptというJavaScriptとWeb APIを介す開発方法も用意されています。

機能面では、まだベータ版ですが、手のメッシュ生成やマルチプレイもできるようになり、着々とアップデートがなされている印象です。

Prismatic

Magic Leap OneにはHelioというWebブラウザがありますが、そのブラウザを通したARシーンを開発するためのJavaScriptライブラリです。

(関連記事:Magic Leap Oneのスペックや仕組み、活用事例を解説!

11. MAXST AR SDK

MAXST社の提供する、モバイルAR/HUD用SDKです。

  • 開発環境: Unity、Androidネイティブ(Java)、iOSネイティブ(Objective-C、Swift)
  • 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR(機能一覧表へ↑
  • 料金プラン: 開発:無料。リリース:499ドルのPro-One time fee(アプリ1,000DL)、月599ドルのPro-Subscription(アプリ10万DL+クラウドホスト)、規模に応じたEnterprise

MAXST AR SDKの最大の特徴は、 2Dマーカー・トラッキングを拡張したARクラウド です。リアルタイムのカメラ画像をマーカーとしてアップロードすることで、セッション/端末間でのARシーン共有を可能にしています。

また、 1.5m以内の空間情報に限れば、Visual SLAM Toolというアプリで予めスキャンしてターゲットにできる のも特筆すべき点です。

AndroidベースのHUDであるEpson Moverio BT-200/300/350やODG R-7にも対応しています。

12. NRSDK

Nreal社の提供する、Nrealグラス用SDK(ベータ版)です。

  • 開発環境: Unity
  • 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR(機能一覧表へ↑
  • 料金プラン: 不明。

Nreal LightNreal Light Controller向けの開発を行うことができます。

リリースされて日が浅いので、 垂直面のトラッキングやAndroidスマホをコントローラとして使う機能など、まだ実装できない機能がいくつかあります。 

将来的には、Unreal、Androidネイティブでの開発も可能となるようです。6D.aiとの提携も記憶に新しく、今後のアップデートに期待です。

(関連記事:KDDIが提携する最新ARグラス「nreal light」まとめ – スペック・価格・開発者向けとの違い・購入方法など

13. Onirix

Onirix社の提供する、モバイルAR用SDKです。

  • サービス: Creative StudioApp PlayersSDK
  • 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR、ロケーションベースAR(機能一覧表へ↑

Targets(マーカーベースAR)、Spaces(マーカーレスAR)、Places(ロケーションベースAR)と三拍子揃っており、各々で開発環境が異なります。

また、 App PlayersというOnirixのモバイルアプリを通してリリースする方法もある のが最大の魅力です。

Creative Studio

GUIのプロトタイピング・ツールです。

  • 開発環境: Creative Studio(Webブラウザ上)
  • 料金プラン: 10日間の無料トライアル。月29ユーロのSubscription(App Playersで500ビューまで)、月25ユーロのExtra Views(500ビューの追加)、月299ユーロのWhite Labeling(App Playersのカスタマイズ)。

App Players上で公開するARシーンを開発するためのものです。 App Playersさえインストールされていれば、URL・QRコードからARシーンにスムーズに誘導できる のが強みです。

どのタイプのARシーンもノンコーディングで開発することができ、Spacesでは、スマホでスキャンした部屋をCreative Studio上で再現することもできます。

SDK
  • 開発環境: Unity、Androidネイティブ(Java)、iOSネイティブ(Swift)
  • 料金プラン: 10日間の無料トライアルの後、月99ユーロです。

App Playersとは完全に別個なアプリを開発するためのものです。

TargetsとSpacesはUnity向けのSDKが、Placesはネイティブ向けのSDKが用意されています。但し、SpacesのSDKはiOSに対応していません。

14. Pikkart-AR SDK

Pikkart社の提供する、モバイルAR用SDKです。

  • 開発環境: Unity、Androidネイティブ(Java)、iOSネイティブ(Objective-C、Swift)
  • 機能: マーカーベースAR、ロケーションベースAR(機能一覧表へ↑
  • 料金プラン: 開発:無料。リリース:299ユーロのSingle license、月99ユーロ〜のCloud Recognition(マーカー1,500万枚〜)、月99ユーロのCloud API(マーカー無制限)
 超高精度の画像識別能力を備える のが最大の強みです。例えば、同一の(人間にはそう見える)画像マーカーが複数あっても、それぞれに異なる3Dオブジェクトを置くことができます。

ロケーションベースARは残念ながらUnityで開発できませんが、Google Mapと連携するという特徴があります。

15. Vuforia

PTC社が提供する、モバイルAR/HUD用SDKです。

  • サービス: Vuforia Engine
  • 開発環境: Unity、Androidネイティブ(Java)、iOSネイティブ(Objective-C)、Windowsネイティブ(C#、C++)
  • 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR(機能一覧表へ↑
  • 料金プラン: 開発:無料。リリース:月42ドルのBasic(売り上げ1,000万ドル未満)、月99ドルのBasic + Cloud(売り上げ1,000万ドル未満)、規模に応じたPro

基本的な機能はさることながら、 円柱・円錐表面の画像(ラベルなど)のトラッキング、その場でスキャンした3Dモデルのトラッキング、QRコードとARマーカーを兼ねたVuMark といった独自機能も備えています。

端末の仕様に応じて、SLAM、VISLAM、ARCore/ARKitを自動的に切り替えられるので、プラットフォーム毎の開発が不要なのも魅力です。 Unityだけで開発を始められるので、初学者におすすめ したいSDKです。

HoloLensやUWPに加えて、AndroidベースのHUDであるEpson Moverio BT-200やODG R-7、Vuzix M300に対応しています。

16. Wikitude

Wikitude社の提供する、モバイルAR/HUD用SDKです。

  • サービス: Wikitude AR SDKWikitude Studio
  • 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR、ロケーションベースAR(機能一覧表へ↑
  • 料金プラン: 無料のSDK Startup、499ユーロのWikitude Demo(30日間限定)、1,990ユーロのSDK PRO(マーカーベース、ロケーションベース)、2,490ユーロのSDK PRO 3D(+3Dマーカー、マーカーレス)、4,490ユーロのCLOUD(クラウドホスト)、規模に応じたEnterprise
Wikitude AR SDK
  • 開発環境: Unity、Androidネイティブ(Java)、iOSネイティブ(Objective-C)、Windowsネイティブ(C++)、Cordova、Flutter、Titanium、Xamarinなど

ロケーションベースARを備えた数少ないSDKの一つですが、 Androidに限って、GPSではなくWifiを利用することもできます。 端末の電力消費量を抑え、屋内でも高い精度を出せるのが強みです。

3D物体トラッキングも特徴的で、 複数枚の画像または動画から3Dデータを構成し、ターゲットにする 機能があります。この機能は部屋や広場といった空間にも適用できるため、ロケーションベースAR体験の精度をさらに高められます。

AndroidベースのHUDであるEpson MoverioやVusixにも対応しています。

Wikitude Studio
  • 開発環境: Creative Studio(Webブラウザ上)

前述したような3Dターゲットの生成、Wikitude App(スマホアプリ)で公開するARシーンの作成を行うためのGUIツールです。

UIが洗練されており、かつプレビューも容易なので、 マーカーベースAR用のプロトタイピングツールとしても優れています。 

17. Windows MR Toolkit

Microsoft社の提供する、モバイルAR/HUD用SDKです。

  • 開発環境: Windowsネイティブ(C++)、Unity、Unreal
  • 機能: マーカーレスAR(機能一覧表へ↑
  • 料金プラン: 無料

HoloLens、Windows MR HUD向けの開発が主になるでしょう。

Unityでの開発が公式に推奨されており、Mixed Toolkit – Unityにはインストラクションやレファレンス、サンプルが充実しています。

また、Spatial AnchorsやSpeech Service、Computer VisionといったAzureのサービスと連携させることで、より高度な機能を実装することもできます。

(関連記事:【HoloLens2完全解説】先代モデル、Magic Leap Oneとの比較から進化を大解剖

まとめ・ARに関するリサーチ・コンサルティングはこちら

以上、AR用SDK全17個を一挙にご紹介しました。

こうして比較すると、開発ターゲットもさることながら、機能やサービスにおけるそれぞれの特色が見えてきたと思います。

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