AR用SDK全17個を徹底比較! – 開発ターゲット・機能・料金を一覧表付きで解説
AR用SDKとして広く認知されているものは、ARCore、ARKit、Vuforiaあたりでしょうか。
しかし、WebARやARクラウド、ロケーションベースARといった技術とともに新しいサービスが続々と現れ、林立している現状があります。
そこで今回は、数多ある中からめぼしいものをピックアップしました。
開発ターゲット別、機能別に比べた後、それぞれを詳しく見ていきましょう。
本記事を通し、思い描くプロジェクトにぴったりなものが見つかったり、新しいアイデアが生まれたりすれば幸いです。
Contents
開発ターゲット別のAR SDK一覧表
SDK選択の際にまず考慮しなければならないのは、開発するARサービスの形式です。
この項では、開発ターゲットを次の3つに分け、執筆時点(2019年9月中旬)での対応状況を鳥瞰します。
- モバイルARアプリ; 現在の主流です。
- WebAR; アプリのインストールが不要で、端末の仕様にも依りません。
- HMDアプリ; Head-Mounted Displayは、これからの普及が見込まれています。
各SDKの機能、詳細情報に関しては、次項以降をご覧ください。
# | SDK | Mobile | Web | HMD | ||||||
Android | iOS | Windows | HoloLens | Windows MR | Magic Leap | Nreal | Android | |||
1 | 6D.ai | CS | ○ | CS | ||||||
2 | 8th Wall | ○ | ○ | ○ | ||||||
3 | Amazon Sumerian |
○ | ○ | |||||||
4 | ARCore | ○ | ○* | |||||||
5 | AR.js | ○ | ||||||||
6 | ARKit | ○ | ||||||||
7 | DeepAR | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
8 | EasyAR | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
9 | Kudan | ○ | ○ | |||||||
10 | Lumin | ○ | ||||||||
11 | MAXST | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||
12 | NRSDK | ○ | ||||||||
13 | Onirix | ○ | ○ | |||||||
14 | Pikkart | ○ | ○ | ○ | ||||||
15 | Vuforia | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||
16 | Wikitude | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||
17 | Windows MR |
○ | ○ | ○ |
※CS: Coming Soon
機能別のAR SDK一覧表
次に、実装可能な機能を軸にして見てみましょう。
機能の呼称はSDK毎にばらつきがあるので、今回は似たものをまとめ、下のように定義しました。
星付きのものは、右端の備考欄に追加情報があります。
- 無料トライアル; 期限有り/無しでSDKを無料で試せる。
- Unity向けSDK; Unityで開発できる。
- 2Dマーカー・トラッキング: QRコード、白黒マーカー、画像マーカー
- 3D物体マーカー・トラッキング: メッシュデータの事前登録、スキャン
- SLAM; 端末の姿勢・位置の推定、空間のマッピング。
- 平面トラッキング: 水平面、鉛直面
- ヒットテスト; 画面タッチとVRオブジェクトとの相互作用。
- ARクラウド: 空間情報のクラウド保存、セッション間での共有、端末間での共有
- 環境光推定; ライティングを推定。
- 顔トラッキング: RGBカメラ、深度カメラ
- 人体トラッキング: ボーン、頭部の各パーツ
- オクルージョン; VRオブジェクトと現実世界との前後関係を推定。
- GPS: ロケーションベースAR
- リモートテスト; ビルド無しでアプリをテスト。
- スクリーンレコーダ; 端末の画面録画。
# | SDK | Free trial |
SDK for Unity |
2D marker tracking |
3D object tracking |
SLAM | Plane tracking |
Hit test |
AR cloud |
Light estimation |
Face tracking |
Human body tracking |
Occlusion | GPS | Remote test |
Screen recorder |
Remarks |
1 | 6D.ai | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||
2 | 8th Wall | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||
3 | Amazon Sumerian |
12 mos | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||
4 | ARCore | ○ | ○ | ○ | ○ | ○* | ○ | ○* | ○ | ○ | ○ | ○ | 向き付き特徴点を含む。24時間のマルチプレイのみ。 | ||||
5 | AR.js | ○ | ○* | 白黒マーカー、バーコードのみ。 | |||||||||||||
6 | ARKit | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○* | ○ | ○* | ○ | ○* | ○ | ○ | 空間情報のローカル保存。深度カメラ。人体のみ。 | |
7 | DeepAR | 30 days | ○ | ○* | ○ | 顔のパーツのみ。 | |||||||||||
8 | EasyAR | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○* | CS | CS | ○ | 水平面のみ。 | ||||||
9 | Kudan | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
10 | Lumin | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○* | ○* | ○ | 空間情報のローカル保存。手のみ。 | ||||||
11 | MAXST | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○* | マップではなく画像。 | |||||||
12 | NRSDK | ○ | ○ | ○ | ○ | ○* | ○ | CS | 水平面のみ。 | ||||||||
13 | Onirix | 10 days | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||||
14 | Pikkart | ○ | ○ | ○ | ○ | ||||||||||||
15 | Vuforia | ○ | ○ | ○* | ○ | ○ | ○* | ○ | 円柱側面上のマーカーも含む。水平面のみ。 | ||||||||
16 | Wikitude | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | |||||||
17 | Windows MR |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○* | ○ | ○ | ○ | 手のみ。 |
※CS: Coming Soon
※一枚絵バージョンは、Twitterに投稿してあります。
目的別 – おすすめAR SDK8選
最後に、用途別のおすすめSDKをピックアップしました。
- モバイルARアプリの開発
- ARCore/ARKit; 機能が豊富で、Unityを介せば開発が容易。
- Vuforia; 対応端末が多く、Unityだけで開発が可能。
- Kudan; オクルージョンとロケーションベースAR。
- Web ARアプリの開発
- 8th Wall Web; 機能が豊富。
- AR.js; オープンソース。
- プロトタイピング
- 8th Wall AR Camera; とにかく手軽(マーカーレスAR)
- Wikitude Studio; 使いやすく、手軽(マーカーAR)
- Reality Composer; Apple謹製で、使いやすい。
AR SDK全17個の詳細情報(サービス/開発環境/機能/料金プラン)
ここまでで概観がつかめたかと思います。
ここからは、①サービス、②開発環境、③機能、④料金プランを中心に、各SDKをより詳しく見ていきます。
機能は、 マーカーベースAR(2D・3D物体)、マーカーレスAR(平面・顔)、ロケーションベースAR と大まかに分けました。
また、以下は執筆時点(2019年9月中旬)での内容であることにご留意頂き、最新の情報に関しては随時更新していきます。
1. 6D Reality Platform
6D.ai社の提供する、モバイルAR用SDKです。
- 開発環境: Unity、iOSネイティブ(Objective-C、SceneKit)、Androidネイティブ(早期アクセス版)
- 機能: マーカーレスAR(機能一覧表へ↑)
- 料金プラン: 開発:無料。リリース:無料(〜2019年)、ARマップの月間ダウンロード数に応じた有料プラン(2020年〜)。
6D.aiの強みは、 単眼のRGBカメラからリアルタイムに3Dメッシュを生成できる ところです。任意の物体をオクルージョンできる、数少ないSDKの一つです。
また、 プライバシー保護を目的に、画像データを端末から出さない 点も特筆すべきです。空間情報はメッシュとしてクラウドにアップロードされます。
マルチプレイ・セッションへのスムースな移行にも力を入れており、オクルージョンと併せて、自然なAR体験の実現に重きを置いているのが特徴的です。
2. 8th Wall
8th Wall社の提供する、モバイル/Web AR用SDKです。
- サービス: 8th Wall Web、8th Wall XR、AR Camera
- 料金プラン: 開発:無料。リリース:無料のBasic(月間1,000ビューまで)、月額99ドル〜のAgency(WebAR開発)、月額250ドル〜のBusiness(+モバイル開発)、サービス公開用プラン。
2-1. 8th Wall Web
JavaScriptとWebGLベースのWebAR用SDKです。
- 開発環境: three.js、A-Frame、Babylon.js、Amazon Sumerian
- 機能: マーカーAR、マーカーレスAR(機能一覧表へ↑)
公式ドキュメントが見やく、またサンプルが多数用意されており、開発への着手し易さという点でも優れていると思います。
2-2. 8th Wall XR
AndroidとiOS向けのモバイルAR用SDKです。
- 開発環境: Unity
- 機能: マーカーレスAR(機能一覧表へ↑)
前述の8th Wall Webもそうですが、環境光推定を実装できるのが特徴的です。
また、 端末が対応していれば、8th Wall SLAMからARCore/ARKitへ自動的に切り替わる ので、プラットフォーム毎の開発が不要なのも魅力です。
2-3. AR Camera
GUIのプロトタイピング・ツールです。
- 開発環境: 8th Wallコンソール(ブラウザ上)
- 機能: マーカーレスAR(機能一覧表へ↑)
3Dモデル(glb形式)をアップロードするだけで、すぐに実環境下での見え方を確認することができます。
手軽さが何よりの強みです。
3. Amazon Sumerian
Amazon社の提供する、モバイルAR用SDKです。
- 開発環境: Sumerianエディタ(Webブラウザ上)
- 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR(機能一覧表へ↑)
- 料金プラン: ストレージ、トラフィックに応じた料金。
VRゴーグル向けの開発がメインなサービスですが、基本的なAR開発も行えます。
特徴的なのは「ホスト」と呼ばれる3Dアニメーションキャラクターで、 Amazon Lex(対話型I/F)やAmazon Polly(テキスト読み上げ)を活用し、自然な仮想コンシェルジュを実装することができます。 コンシューマ向けというより、作業のインストラクションや建物の案内など、ビジネス向けのシステムで活きてくる機能です。
4. ARCore
Google社が提供する、Android向けARアプリ用SDKです。
- 開発環境: Androidネイティブ(Java)、Unity、Unreal、iOSネイティブ(Objective-C)
- 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR、ロケーションベースAR(機能一覧表へ↑)
- 料金プラン: 無料
豊富な機能はもちろん、平面と特徴点にもVRオブジェクトを置けるというARCore唯一の機能もあります。
また、 マルチプレイ機能がiOSでも利用可能 なのは大変便利です。加えて、深度カメラを使わない顔認識もiOSに実装できるようになっています。
Android端末をターゲットにするなら、間違いなく最初に試すべきSDKです。但し、古い端末は対応していない場合があるので、公式情報をよく確認しましょう。
(関連記事:【Unity】ARCoreでARアプリ開発 – 環境構築から実装まで徹底解説!)
5. AR.js
オープンソースのWebAR用SDKで、Github上で公開されています。
- 開発環境: three.js、A-Frame
- 機能: マーカーベースAR(機能一覧表へ↑)
- 料金プラン: 無料
オープンソースのARToolKit.jsをベースに作られており、動作が軽く、古い端末でも十全に動くのが強みです。
現段階でマーカーとして使えるのは、専用の白黒マーカーか2次元バーコードだけで、 任意のカラー画像は認識できません。 ただ、複数のマーカーを同時にトラッキングする、複数のマーカーからVRオブジェクトの位置を補正するといった高度なことができます。
サンプルもあって開発が容易なので(幾つかリンク切れなのが残念…)、WebAR開発の際にはぜひ試しておきたいSDKです。
6. ARKit
Apple社が提供する、iOS/iPadOS向けARアプリ用SDKです。
- サービス: ARKit、RealityKit(ベータ版)、Reality Composer(ベータ版)
- 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR、ロケーションベースAR(機能一覧表へ↑)
- 料金プラン: 無料
ARKit
- 開発環境: iOSネイティブ(Objective-C、Swift)、Unity、Unreal
但し、バージョン毎に端末の要件(OS、チップセット、深度カメラ)が異なることに注意しましょう。例えば、最新のARKit 3は、iOS13のiPhone XS以降の端末でしか動きません。
iOS端末をターゲットにするなら、間違いなく最初に試すべきSDKです。
(関連記事:【Unity】ARKitでARアプリ開発! 開発環境構築からサンプルアプリの実装まで)
RealityKit
- 開発環境: iOSネイティブ(Swift)
3Dオブジェクトのレンダリングやアニメーション、物理演算などを扱うAR用フレームワークです。
まだUnityほど複雑なことはできませんが、ARKitと合わせて、 Swiftだけで簡単にARアプリを開発することができます。
Reality Composer
- 開発環境: Xcode、iOS、iPadOS
GUIのプロトタイピング・ツールです。
Unity等のゲームエンジンを介さずとも、直感的にARシーンを作成できるのが魅力です。
7. DeepAR SDK
DeepAR社が提供する、モバイルARアプリ用SDKです。
- 開発環境: DeepAR Studio
- 機能: マーカーレスAR(機能一覧表へ↑)
- 料金プラン: 開発:30日間の無料トライアル。リリース:不明。
目や顔面にVRオブジェクトを置くことや特殊効果を加えることはもちろん、表情を7種類に分類したりすることもできます。さらに、深層学習を駆使し、より細かなパーツ(眉、唇、歯)や顔の輪郭まで編集するアドオンも用意されています。
専用の開発ソフトであるDeepAR Studioでは、高度なARシーンを簡単な操作だけで作成することができます。MayaやBlenderで作成した3Dモデル(fbx形式)を読み込むことも可能です。
8. EasyAR SDK
VisionStar Information Technology社の提供する、モバイル/Web AR開発用SDKです。
- 開発環境: Unity、Androidネイティブ(Java、Kotlin、C++)、iOSネイティブ(Objective-C、Swift)、Windowsネイティブ(C#、C++)
- 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR(機能一覧表へ↑)
- 料金プラン: 無料のBasic(機能制限)、499ドル/ライセンスキーのPro。
画像マーカーに加え、それに付随するメタデータ(3Dモデル、Unityアセット)までクラウドに保存できるという特徴もあります。
将来的には、3Dメッシュのリアルタイム生成や空間情報の保存、マルチプレイ機能も実装されるようなので、今後のアップデートが楽しみなSDKです。
9. Kudan
Kudan社の提供する、モバイルAR用SDKです。
- サービス: AR SDK、CV SDK
- 開発環境: Unity、Androidネイティブ(Java)、iOSネイティブ(Objective-C)
- 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR、ロケーションベースAR(機能一覧表へ↑)
- 料金プラン: 開発:無料。リリース:無料のAR Indie(売り上げ100万ドル未満、透かし有り)、年1,500ドルのAR Business(売り上げ100万ドル未満、透かし無し)、規模に応じたAR Enterprise(売り上げ100万ドル以上)。
高度な機能を備える一方、古い端末でも十全に動作し、プラットフォームを選ばないことも強みです。
トラッキングを担うKudanCV (Computer Vision) エンジンの部分は、CV SDKとして、AR機能とは別個に扱うことができます。
(関連記事:AR開発者必見!Kudan社の技術・プロダクトから企業情報まで徹底解説)
10. Lumin
Magic Leap社の提供する、Magic Leap One用SDKです。
- サービス: Lumin SDK、Prismatic
- 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR(機能一覧表へ↑)
- 料金プラン: 開発:無料。リリース:アメリカ限定。
Lumin SDK
- 開発環境: Lumin Runtime(C++、MagicScript)、Unity、Unreal
Lumin Runtimeは、Magic Leapアプリ専用のプラットフォームです。 GUIでARシーンやアニメーション、UIを作るツールも備わっており、Unity/Unrealと同等の環境で開発を進めることができます。 また、MagicScriptというJavaScriptとWeb APIを介す開発方法も用意されています。
機能面では、まだベータ版ですが、手のメッシュ生成やマルチプレイもできるようになり、着々とアップデートがなされている印象です。
Prismatic
Magic Leap OneにはHelioというWebブラウザがありますが、そのブラウザを通したARシーンを開発するためのJavaScriptライブラリです。
(関連記事:Magic Leap Oneのスペックや仕組み、活用事例を解説!)
11. MAXST AR SDK
MAXST社の提供する、モバイルAR/HUD用SDKです。
- 開発環境: Unity、Androidネイティブ(Java)、iOSネイティブ(Objective-C、Swift)
- 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR(機能一覧表へ↑)
- 料金プラン: 開発:無料。リリース:499ドルのPro-One time fee(アプリ1,000DL)、月599ドルのPro-Subscription(アプリ10万DL+クラウドホスト)、規模に応じたEnterprise。
MAXST AR SDKの最大の特徴は、 2Dマーカー・トラッキングを拡張したARクラウド です。リアルタイムのカメラ画像をマーカーとしてアップロードすることで、セッション/端末間でのARシーン共有を可能にしています。
また、 1.5m以内の空間情報に限れば、Visual SLAM Toolというアプリで予めスキャンしてターゲットにできる のも特筆すべき点です。
AndroidベースのHUDであるEpson Moverio BT-200/300/350やODG R-7にも対応しています。
12. NRSDK
Nreal社の提供する、Nrealグラス用SDK(ベータ版)です。
- 開発環境: Unity
- 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR(機能一覧表へ↑)
- 料金プラン: 不明。
Nreal LightとNreal Light Controller向けの開発を行うことができます。
リリースされて日が浅いので、 垂直面のトラッキングやAndroidスマホをコントローラとして使う機能など、まだ実装できない機能がいくつかあります。
将来的には、Unreal、Androidネイティブでの開発も可能となるようです。6D.aiとの提携も記憶に新しく、今後のアップデートに期待です。
(関連記事:KDDIが提携する最新ARグラス「nreal light」まとめ – スペック・価格・開発者向けとの違い・購入方法など)
13. Onirix
Onirix社の提供する、モバイルAR用SDKです。
- サービス: Creative Studio、App Players、SDK
- 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR、ロケーションベースAR(機能一覧表へ↑)
Targets(マーカーベースAR)、Spaces(マーカーレスAR)、Places(ロケーションベースAR)と三拍子揃っており、各々で開発環境が異なります。
また、 App PlayersというOnirixのモバイルアプリを通してリリースする方法もある のが最大の魅力です。
Creative Studio
GUIのプロトタイピング・ツールです。
- 開発環境: Creative Studio(Webブラウザ上)
- 料金プラン: 10日間の無料トライアル。月29ユーロのSubscription(App Playersで500ビューまで)、月25ユーロのExtra Views(500ビューの追加)、月299ユーロのWhite Labeling(App Playersのカスタマイズ)。
App Players上で公開するARシーンを開発するためのものです。 App Playersさえインストールされていれば、URL・QRコードからARシーンにスムーズに誘導できる のが強みです。
どのタイプのARシーンもノンコーディングで開発することができ、Spacesでは、スマホでスキャンした部屋をCreative Studio上で再現することもできます。
SDK
- 開発環境: Unity、Androidネイティブ(Java)、iOSネイティブ(Swift)
- 料金プラン: 10日間の無料トライアルの後、月99ユーロです。
App Playersとは完全に別個なアプリを開発するためのものです。
TargetsとSpacesはUnity向けのSDKが、Placesはネイティブ向けのSDKが用意されています。但し、SpacesのSDKはiOSに対応していません。
14. Pikkart-AR SDK
Pikkart社の提供する、モバイルAR用SDKです。
- 開発環境: Unity、Androidネイティブ(Java)、iOSネイティブ(Objective-C、Swift)
- 機能: マーカーベースAR、ロケーションベースAR(機能一覧表へ↑)
- 料金プラン: 開発:無料。リリース:299ユーロのSingle license、月99ユーロ〜のCloud Recognition(マーカー1,500万枚〜)、月99ユーロのCloud API(マーカー無制限)
ロケーションベースARは残念ながらUnityで開発できませんが、Google Mapと連携するという特徴があります。
15. Vuforia
PTC社が提供する、モバイルAR/HUD用SDKです。
- サービス: Vuforia Engine
- 開発環境: Unity、Androidネイティブ(Java)、iOSネイティブ(Objective-C)、Windowsネイティブ(C#、C++)
- 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR(機能一覧表へ↑)
- 料金プラン: 開発:無料。リリース:月42ドルのBasic(売り上げ1,000万ドル未満)、月99ドルのBasic + Cloud(売り上げ1,000万ドル未満)、規模に応じたPro。
基本的な機能はさることながら、 円柱・円錐表面の画像(ラベルなど)のトラッキング、その場でスキャンした3Dモデルのトラッキング、QRコードとARマーカーを兼ねたVuMark といった独自機能も備えています。
端末の仕様に応じて、SLAM、VISLAM、ARCore/ARKitを自動的に切り替えられるので、プラットフォーム毎の開発が不要なのも魅力です。 Unityだけで開発を始められるので、初学者におすすめ したいSDKです。
HoloLensやUWPに加えて、AndroidベースのHUDであるEpson Moverio BT-200やODG R-7、Vuzix M300に対応しています。
16. Wikitude
Wikitude社の提供する、モバイルAR/HUD用SDKです。
- サービス: Wikitude AR SDK、Wikitude Studio
- 機能: マーカーベースAR、マーカーレスAR、ロケーションベースAR(機能一覧表へ↑)
- 料金プラン: 無料のSDK Startup、499ユーロのWikitude Demo(30日間限定)、1,990ユーロのSDK PRO(マーカーベース、ロケーションベース)、2,490ユーロのSDK PRO 3D(+3Dマーカー、マーカーレス)、4,490ユーロのCLOUD(クラウドホスト)、規模に応じたEnterprise。
Wikitude AR SDK
- 開発環境: Unity、Androidネイティブ(Java)、iOSネイティブ(Objective-C)、Windowsネイティブ(C++)、Cordova、Flutter、Titanium、Xamarinなど
ロケーションベースARを備えた数少ないSDKの一つですが、 Androidに限って、GPSではなくWifiを利用することもできます。 端末の電力消費量を抑え、屋内でも高い精度を出せるのが強みです。
3D物体トラッキングも特徴的で、 複数枚の画像または動画から3Dデータを構成し、ターゲットにする 機能があります。この機能は部屋や広場といった空間にも適用できるため、ロケーションベースAR体験の精度をさらに高められます。
AndroidベースのHUDであるEpson MoverioやVusixにも対応しています。
Wikitude Studio
- 開発環境: Creative Studio(Webブラウザ上)
前述したような3Dターゲットの生成、Wikitude App(スマホアプリ)で公開するARシーンの作成を行うためのGUIツールです。
UIが洗練されており、かつプレビューも容易なので、 マーカーベースAR用のプロトタイピングツールとしても優れています。
17. Windows MR Toolkit
Microsoft社の提供する、モバイルAR/HUD用SDKです。
- 開発環境: Windowsネイティブ(C++)、Unity、Unreal
- 機能: マーカーレスAR(機能一覧表へ↑)
- 料金プラン: 無料
HoloLens、Windows MR HUD向けの開発が主になるでしょう。
Unityでの開発が公式に推奨されており、Mixed Toolkit – Unityにはインストラクションやレファレンス、サンプルが充実しています。
また、Spatial AnchorsやSpeech Service、Computer VisionといったAzureのサービスと連携させることで、より高度な機能を実装することもできます。
(関連記事:【HoloLens2完全解説】先代モデル、Magic Leap Oneとの比較から進化を大解剖)
まとめ・ARに関するリサーチ・コンサルティングはこちら
以上、AR用SDK全17個を一挙にご紹介しました。
こうして比較すると、開発ターゲットもさることながら、機能やサービスにおけるそれぞれの特色が見えてきたと思います。
本記事を通し、これから開発するプロジェクトに最適なSDKが見つかれば幸いです。
また、本メディアXR-Hub運営元の株式会社x gardenは、XR開発に関する技術やユースケース・市場調査を初め、開発まで支援するワンストップのコンサルティング事業「XR-Hub R&D」を運営しています。
シリアルアントレプレナーなど事業開発が経験豊富なメンバーで運営しており、国内の大手企業を中心に支援実績も多数ございますので、
- AR/VRの技術調査を依頼したい
- AR/VRを活用した事業企画・資料作成を依頼したい
- AR/VRのユースケースや市場規模を調査したい
- AR/VRの開発企業を探している
という企業担当者の方は、こちらまでご連絡ください。
※関連記事)
この記事はいかがでしたか?
もし「参考になった」「面白かった」という場合は、応援シェアお願いします!