VR研修/訓練の活用事例や導入メリット・デメリットを徹底解説!


VRの没入感を活かして学習効果を高めようとするVR研修が世界中で増えてきました。

VR研修はこれまで人力で行なっていた学習内容の定着やコスト・時間の節約が期待できます。

この記事では、VR研修の効果や国内外の事例や研修ソフトの開発企業を世界中からピックアップして紹介します。

企業研修でVRが着目される理由と効果

昨今、企業研修でVRを使う事例が増えています。

株式会社デジタル・ナレッジという企業が2017年に発表したレポートでは、VR研修の導入に興味を示している企業が100社中、約60%ほどだったようです。

半分以上の企業がVRで企業研修を行うことに関心を示していることからも、今後普及していきそうな予感を感じさせますし、後述するように海外では多くの事例が生まれ始めています。

VR研修のメリットはコスト削減と学習効率の向上

なぜ、企業研修にVRを使おうとするのでしょうか。

その最大の理由は、⑴コストの削減と ⑵学習効率向上の両立にあります。

従来型の企業研修では、一ヶ所に集めてそこで講師がレクチャーをしたり、受講者側が実際に現場に赴いて業務を体験するということを通じて研修を行いますが、この方法では3つの構造的な欠陥が生じます。それは

  • 教えるたびに人的コストがかかる
  • 人によって教え方がバラバラになり、知識が標準化されない
  • 業務スキルは座学では伝えきれない(学習効率が悪い)

という問題です。

VR研修がこのデメリットを克服できると期待されているのは、VRは体験者に強い没入感を与えることができ、この没入感を通じた学習効率の向上が実現されるからです。

しかも学習コンテンツは1度制作してしまえばその後の視聴はコストがかかりませんし、教え方も統一化されるため、知識が間違って伝わることもありません。

このようにVRによる研修はソリューションとして最適ということわけです。

特にVRでの研修に前向きなのは、飲食や宿泊などのサービス業や金融・情報通信業となっています。

実際の接客のシーンをVRであたかも実際に経験しているかのように体験することで、自分がどう振る舞えばいいかどうかについて、具体的に実感を持って考えることができからです。

VR研修を導入している国内外の企業5選

具体的にどのように研修にVRが利用されているかを国内の事例と海外の事例を紹介します。

世界最大のフランチャイズ – ケンタッキー

ケンタッキーフライドチキンは言わずと知れたファーストフード店ですが、研修にVRを導入した好事例の1つです。

主力商品であるフライドチキンを作る調理方法を学ぶための研修に利用されており、(Youtubeでも一部公開されていますが)新人の従業員に対して効果的にマスターできると評判になっています。

KFCによれば、VR研修を導入することで、もともと25分かかっていた研修が10分で出来るようになったとのこと。しかも教える人員が必要なくなったことで劇的なコスト圧縮が実現されました。

ファストフード業界のような人材の離職率や流動性が高く、膨大な研修費用が投下されている企業では、必然的にVRを使った研修が広まっていきそうです。

米国小売界の巨人 – Walmart

アメリカの大手スーパーマーケットであるウォルマート。この米国小売業界の巨人がOculus Go17,000台を全土のトレーニングセンター導入すると発表し、業界をざわつかせました。

小売業界は接客のクオリティや商品棚の設置の仕方など、覚えることが多くあるわけですがVRを使って接客や業務トレーニングを行うというわけです。

360度映像の中には、カスタマーサービスや商品棚の設置方法、季節ごとのセール時の忙しさを五感で体験できる複数のシナリオが含まれており、目の前の表示される選択肢から行動を選ぶことで、インタラクティブな学習を促す仕組みが用意されているようです。

接客業におけるVR研修の先駆的な取り組みとして大きな注目を集めています。

来たる高齢社会に向けて – ヒューマンライフケア

ヒューマンライフケア株式会社はVRを介護現場のスタッフ用研修に利用しています。

スタッフは介護される側と介護する側の両方の立場を擬似経験することで、被介護人に対してどのように立ち回るべきなのかを学ぶことができます。

同社では「スピーチロック」と呼ばれる声の掛け方に対する研修や、施設内の「危険予知訓練」に対して利用しています。以下は実際に利用した人たちの声です。

「 (介護施設の)VR研修で『危険予知訓練』を視聴した後に参加者全員で拠点内を巡回して、自分たちの現場に危険が潜んでいないか、点検してもらいます。

すると、狭くて通りにくい箇所やモノが出しっぱなしで危ない場所など、改善すべき点がたくさん出てきたんです。オープン前のグループホームなど、何も不備がなさそうな拠点でも、改善点が見つかりました。

このような利用後の声があったことからも介護現場でのVR研修の導入は、複雑な状況把握やケアのスキル向上の手段として有効なものとして注目されています。

今後高齢社会を迎え、介護人材の不足がますます顕著な問題になりそうな2030年頃にはより需要も大きくなることが予想されます。

トラブルの再現に – セコム株式会社

セコム株式会社は施設などのセキュリティを担う企業ですが、有事の際にどう行動すればいいのかを学ぶ研修にVRを導入しています。

警備会社が真に役割を求められるのは火災や犯罪などのトラブルがあった時ですが、そのような状況は再現しにくいものです。

セコム研修部部長の齋藤太嘉志氏は「大勢では体験が難しい重要な訓練であっても、全員が同時に体験できる環境を作ることが長年の課題だった」と話していますが、やはりトラブルシューティング業務は座学のみでは完璧に身に付けることはできません。

だからこそ、同じ体験を共有できるVR研修導入に動いたという訳です。

同社の360度動画

セキュリティ業界での利用は再現の難しい状況下での判断と行動を培うための方法として効果的だと注目されています。

緊急対応の体験 – JR東日本

JR東日本はソフトバンクが開発した「安全教育ソリューション」を導入しています。

鉄道業界で最も対応コストが高い3つが「触車」「墜落」「感電」と言われていますが、このうち「触車」と「墜落」を再現した動画を通じて、スタッフはそれぞれのトラブルに対する対応技術を磨くことができます。

事故の現場は頻度としては高くないからこそ、体験しづらいもの。

VRによって没入感を伴う体験をすることで、安全への意識の定着や事故の防止、トラブルへの適切な対応などを効果的に身につけることができると期待されています。

XR-HubではVR研修の導入・相談サポートも行っております。お気軽にご相談ください。

VR研修を提供する開発・コンサルティング企業4選

企業研修にVRを導入する例が多くなってくるのに伴い、そのためのソフトを開発する企業も誕生しています。ここでは海外と国内の企業をそれぞれ2社紹介します。

InstaVR株式会社

InstaVRは日本発祥で、エンジニアがいなくてもVRコンテンツを誰でも簡単に作成できるクラウドツールです。

エンジニアがいなくても、簡単にブログが開設できるはてなブログやWordpressのVR版のようなイメージですね。

誰でも簡単に使えるということで、人材育成に必要なコンテンツをさまざまな企業が作成しています。

人材育成に必要な知識や経験を持っているのはその企業自身であることがほとんどなので、自分たちでVRの専門的な知識なしにコンテンツを作れることは大きな魅力です。

しかもInstaVRを利用することとYoutubeなどのウェブだけでなく、iOSやAndroidアプリ、Gear VRアプリ、Daydreamアプリ、HTC Viveアプリ、Oculus Rift、Oculus Goなど多くのVRプラットフォームに簡単に配信することができます。

加えて、ヒートマップでユーザーの行動を分析できる機能も使うことができ、VRコンテンツの効果を測定することもできるので、研修コンテンツのPDCAが回しやすい設計となっています。

VR研修の導入を考えている企業であれば一度は話を聞いておきたいツールですね!

関連記事)クラウドVRツール「InstaVR」の活用メリット/料金/使い方など開設

グリー株式会社

ソーシャルゲーム界の巨人グリーは最近VR業界への投資を本格化させていますが、その中の一環として、VR映像を低コストで活用できるソリューション「XTELE」を発表しました。価格は月額15万円から。

XTELE VR Learning」は、VRを活用した社員教育・研修分野向けのさまざまな機能をパッケージ化したサービス。

集合研修では、ヘッドマウントディスプレイや無線LANなど研修に必要なVR教材を提供し、研修全体がスムーズに進行するのに必要な機材やノウハウを一括で提供するサービス設計となっています。

他にも受講者のVR利用を一括管理する「XTELE Location Management」やネットワーク経由でVRコンテンツを配信、視聴するための「XTELE Online Distribution」といったオンライン研修などの利用も可能です。

※参考記事)XTELE/XTELE VR Learningのサービス詳細や活用事例に関してはこちら:
XTELE VR Learningとは?活用事例や導入メリット、価格・評判を徹底解説

問い合わせはこちらから。

株式会社edoga

株式会社エドガは、企業研修のためのVRコンテンツの作成や機材のレンタルなどを行なっている日本の企業です。

VR技術を学び、体験して議論するための研修を手がけており、ビジネスにどう応用すべきかを考えるところまでサポートしてくれます。

「人材教育にVRをどう利用すべきか」というコンセプトの研修やコンサルティングを受けることができるためVRの技術的な側面だけでなく、社員の研修プロセスをどう立ち上げていくか?という部分まで相談できるため、初めてのVR研修で不安がある会社であればありがたいパートナーかもしれません。

コーポレートサイトはこちら

STRIVR(海外企業)

STRIVRはシリコンバレーに拠点をおく企業で、先ほど紹介したウォルマートにもVR研修を提供しています。

同社のウェブサイトには、個人や会社、スポーツチームのパフォーマンスを向上するためにVRを利用すると掲げており、VRによる能力強化に重点を置いていることが分かります。

スポーツチームの練習にもVRを提供しており、ビジネスに限らず人々のパフォーマンスを向上するためのアプローチを大事にしているようです

Ludus(海外)

Ludusはスペインに拠点をおく企業で、主に重工業での現場活動や事故想定などのためにVR研修を導入するサポートをしています。

製造業での研修には作業を覚えたり、事故を防止したりといった内容がありますが、同社のVRを利用することで没入型学習が可能になります。

まとめ

今回はVRを利用した研修について国内外からの事例紹介や研修コンテンツを開発している企業などを紹介しました。

XR-HubではVR研修の導入・相談サポートも行っております。お気軽にご相談ください。

VR研修では、VRの没入感を利用することで学習効果が大きく向上することが期待できるだけでなく、習得までの時間やコストを抑えることができるため、今後、VR研修がさまざまな分野に広がっていき、市場規模も右肩上がりで成長していくはずです。

関連記事)国内と海外のAR/VR市場規模予測と本格普及への課題

今後もこの業界は編集部でも注視していきたいと思います。

 


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