「Nevermind」レビュー&考察|心拍数を読み取るVRホラーゲーム!
「深淵を覗くとき、深淵もまたこちらを覗いている…」そんな格言がぴったりな、ちょっと変わったVRゲームをご紹介します!
VRホラ―ゲーム「Nevermind」は、Biofeedbackシステムに対応し、 プレイヤーの心拍数をモニタリングし、その状態を読み取ってゲーム自体の難易度を変化させるという驚きのギミックを取り入れた作品です。
シナリオコンセプトはかなりコアで、名付けられたゲームジャンルは「アドベンチャーサイコダイブ」
たくさんのお楽しみ要素が盛られた本作に少しでも興味を持った方は、是非詳細をご確認ください!謎解きの攻略方法も記載しています!
Contents
「Nevermind」とは|医者がトラウマ患者の心を治療する
本作「Nevermind」は、 心理的なトラウマを持つ患者の心を治療する事を目的 とし、プレイヤーは「Neuroprober(ニューロプローバー)」として、作中では新任ドクターと同意に扱われます。
世界観はニューロプローブと呼ばれる技術が開発された未来という設定です。
患者の精神構造をインプリントという形でデータ化し、その内部をドクターであるニュープローバーが探索、トラウマの根本原因を探し出す…という治療法が確立された世界と思ってください。
未来的な設定なだけあり、 物語の舞台は先進的な施設がメインで、かなり洗練されたデザインが揃ってます。 そういったSF的要素が好きな人も楽しめることでしょう。
現在は日本語パッチに対応し、UIも日本語で利用できるため、海外ゲームでありながら英語が苦手でも心配のない親切設計になっています。
「Nevermind」をおススメする2つの理由
⑴遊ぶ人によって難易度が変化するBiofeedbackシステム
本作は、 プレイヤーのビビリ度合いをWEBカメラやウェアラブルデバイスを通して判定し、それによってステージ上の攻略難易度に変化が出ます。
画像のように動きにくくなる環境変化が起きたりして、結構厄介な機能でもあります。
(※OFF状態に設定も可能です)
遊ぶときは是非、この機能をONにすることをおすすめします!
デベロッパーである「Flying Mollusk」は、プレイヤーへ以下のようなメッセージを投げかけ、ただ遊ぶためだけのゲームではない旨を匂わせています。
Nevermind が目指すのは、 いつまでも記憶に残るゲーム体験です。このゲームに触れたことがきっかけとなり、 プレイヤーの皆さんが自分の心にもっと注意を払うようになってもらえれば幸いです。Nevermindの恐ろしい世界でストレスや不安をコントロールするコツを身につければ、 現実の世界でストレスのかかる状況に出くわしたとき、 うまく切り抜ける役に立つことでしょう…。
⑵ホラー嫌いにも配慮した物語性と美しいグラフィック!
凄惨なシーンも多くあるものの、人が人を殺めたようなスプラッタなシーンはほぼなく、 本作が醸し出すのは「不安」と「曖昧さ」に重点が置かれたホラーが主です。
ネタバレですが、むしろ一番シナリオがグロいのはチュートリアルという状態なので、臓物ぐちゃぐちゃ愛憎ドロドロなホラー要素を求めている人には向かないかもしれません。
しかし物語性や芸術性を好み、びっくりさせられるようなジャンルが苦手な心臓の弱い方にはとってもオススメです!安心できるVRホラーとして要チェックです。
【ネタバレあり】「Nevermind」ステージごとの攻略のコツ
ゲームの流れは、各ステージごとに患者の記憶の世界を探索してパズルを解くなどにより10枚の記憶の写真を集め、内5枚の主要なトラウマに当たる写真を正しい順序で並べることに成功すれば、シナリオクリアになります。
ここではネタバレを含みますが、各ステージの攻略ポイントをまとめました!
ステージ⑴<摂食障害>|シミュレーション
▲チュートリアルのため親切なガイドが多く見られる
ステージ1はチュートリアルとなっており、「ヘンゼルとグレーテル」になぞられた物語となっています。
題材が有名なおとぎ話となっているため、シナリオ解釈や記憶の写真の並び順などはそれほど苦労することはないでしょう。
注意すべきは「写真に気付かず素通りすること」です。ただし、素通りしても一定以上先へは進めなくなっているため、進めなくなったら道を引き返せば直ぐに「記憶の写真」を見つけることが出来ます。
▲規則的に突き出る針を避けて奥へ進むおかしの家
最初のステージだけあって謎解き(いわゆるリドル)は難しくなく、お菓子の家の中のギミック(3HITでアウト)も簡単ですが、うっかりアウトになった場合でも直ぐに該当シーンへ戻ることが可能です。
ついでに失敗したギミックも2回目は発生しない親切な設計なので、ミスを恐れず突っ込みましょう。
▲ホラー演出に思えるオーブンのシーン。
実は患者の姉が弟(患者)を救う為に差し伸べている手
贅沢なもの(クッキーなど)を食べると怖くて不安になる、という症状が年々悪化すると訴える患者の話をよく聞き、患者の記憶の奥底にある恐怖を追体験します。
オーブンのギミックを終えると最後の写真を獲得し、10枚の「記憶の写真」が揃います。
ステージ⑵<視線恐怖症>|クライアント#251
▲金庫リドル。正しい単語を3つ並べると解錠する
ステージ2は、人目が気になって仕方ないという視線恐怖症患者の女性を治療するステージです。
ポイントはリドルのある部屋の中をよく見ること!例えば上の金庫ギミックは、同室内の壁にかかっている絵画と銃の許可証の並びが答えになっています。
▲冷蔵庫ギミックを終えた先の牛乳保管庫にある怪しげな袋。動いている…。
冷蔵庫ギミックのリドルは文字の並べ替えですが、リビング前のバスルームの扉に答えがモロに書いてありました。
牛乳保管庫の中は迷路ですが、地面に牛乳が溢れており、これが進むべき道を指し示してくれるガイドになっています。
道路の車を避けるギミックは、最悪2回ほどあたっても大丈夫なので強引に突っ切っても問題ありません!(時間でHPが回復します)
▲まるで内蔵と車が混じったようなグロテスクな空間で、父親の悲痛な声が響く
車迷路のシーンでは同じ写真が何度も登場し、写真が消える瞬間のエフェクトが進む先への道しるべに。
鳴り響くクラクションの音と写真のエフェクトの誘導を頼りに進むと、トラウマの奥深くへ進んでいきます…
▲牛乳水車は回りだすと目玉が現れる
協会の奥の父親の棺へ進むと現れる牛乳水車ギミックは、水車全てを動かして棺周辺に牛乳を貯めることでクリアできます。
辺りにカップがたくさん落ちているので、全ての水車が回るようにカップをセットしましょう。
棺が開くと父親の不気味に動く遺体と共にある最後の写真をGET!死にゆく父の視線、嘘を付く大人達の視線、様々な視線が幼い少女に注がれていました。
患者の視線恐怖症の根底にある、忘れ去られた記憶とはいったい何なのでしょうか…?
ステージ⑶<ホームレスの妄言>|#418
▲排他的な雰囲気の街の中、異様に美しい噴水オブジェ。コインを投げ入れると…?
ステージ3はホームレスの男性の精神世界です。舞台は寂れた路地のある小さな町です。
しばらく探索すると、遊具のある通りに異様に美しい噴水オブジェがあることに気付くでしょう。
この噴水オブジェの正面にある空き缶のリサイクルBOXを使ってコインを入手し、そのコインを噴水に投げ入れるという急に「ほぼノーヒントリドル」という展開となっています。
▲地下への入り口に立ちはだかる標識リドル。
初見ではかなり時間を要する可能性のある標識リドルは、足元の矢印がヒントです。
ステージ3ともなると少々発想の転換が必要となってきます。地面の矢印(↑)と対となるように、標識をうまくずらして下向きの矢印(↓)の形になるように並べ直すことで、リドルをクリアできます。
地下に進んで床に落ちているアイテムの数に合わせたセキュリティナンバーでドアのロックを解除し、薬物の入った箱を掲げる集団を見つめてステージを進めましょう!
▲ボタンリドルは適当に押しても大丈夫!
グルグル絵画の欠損のあと、ボタン点灯のリドルを解けば写真が手に入り、新しいシーンへ進みます。ボタンの推し順は適当にやっていてもいずれはクリアできるので、全部のボタンを点灯させましょう!
▲意外と時間の掛かるナイフ&マネキンのリドル
サーカスの入場コインが必要ですが、その入手方法が意外と難しいリドルです。
「選択は君の手の中」をヒントに、街の中のゴミ箱から手に入れるナイフを路上の血だらけマネキンの右手に突き刺しましょう。マネキンの口からコインが出現し、移動遊園地的なサーカスへ入場できます。
なお、右手以外にも突き刺すことができますが、右手以外はコインが出現しませんのでご注意。
▲実は数字がヒントになっている占い自販機
遊園地に入ったあとはジェットコースターへ向かいましょう。
ジェットコースター内に進むと場面が夜に一転し、占い自販機の魔法使いっぽいおじさんがライトアップされます。
何度か空き缶→コイン→占いを繰り返すと、占い結果が「635」に固定されますので、空き缶のリサイクルBOXの表示が635になるよう調節し、635のときに入手したコインで占いをするとリドルクリア!
ステージが進むにつれて、謎解きがどんどん複雑になります。▲お邪魔キャラのような役割を狙うハリボテ
注意点として、 園内を巡回している不気味なハリボテは接触してしまうと初期位置へワープさせられてしまいます。
大小関係なく、ハリボテには触れないように気をつけましょう。占い自販機のギミックをクリアして、焼けただれたサーカスの中で最後の写真をGET!
このステージ3のホームレス回はかなり頭を使うことになります。
ホームレスのトラウマについても写真を集め終わるまでは理解が難しいかもしれませんが、 集め終わって全てがつながった時、多くの人の心に響くシナリオとなっています。
ぜひ諦めずにクリアを目指してください!
ステージ⑷<アルツハイマーの天才ピアニスト>|#440
VR対応となってグラフィックの向上とともに公開された新パッチステージ「#440」は、出鼻からインパクトの強い砂漠とメトロノームというフィールドが舞台です。
このフィールドの演出は非常に高い評価を得ており、筆者も作中で最も感動しました。
美しいBGMに合わせて砂地へ叩きつけられるメトロノームの重低音が完璧なコントラストを生み、迫力と荘厳さが天元突破している場所でした!
「#440」は今までの患者と異なり、 トラウマの根本解決とともにステージが明るくなっていくのが特徴的です。
そんな中、特に謎解きはなく迷路のようなフィールドをメトロノームの針を避けながら探索し、2枚の写真を発見した後、最奥にあるエメラルドグリーンのメトロノームへ入れば次のリドルへ進みます。
演奏ギミックは各部屋の出入り口にある指示通りの演奏をするのみで、謎解き系リドルは特にありません。楽器と融合した不気味なオブジェで演奏する不思議な感覚を楽しみましょう!
失敗を恐れ、失敗の教訓を与えられたピアニスト。その指はピアノに潰されています…
指のフィールドのギミックは「指の落下を避ける」ことのみで、特に難しいことはありません。異様な雰囲気でありながら、どこか荘厳な神々しさのある鍵盤と手まみれのフィールドは圧巻です!
落ちてくる指は当たってしまうと一発アウトなので、落下の音などをよく聞き、頂上を目指しましょう。最後にピアノ演奏のギミックを血にまみれた指紋の示すとおりに行ってクリアです。
そして最後のステージで演奏を終えることで、華々しい成功の瞬間を謳歌してフィニッシュするという「救い」をふんだんに込められたステージに感じました。
その上で、患者の自覚したトラウマを聞き、実になんともいえない複雑な気持ちにさせられる。そんな芸術的で哲学的なシナリオです。
まとめ|「Nevermind」は恐怖と癒しが混同するバランスホラー
VR対応し、パッチが進んでコンテンツが増えた本作「Nevermind」は、現在では癒やしコンテンツをも内包する「ホラー?」となりがちなVRホラーゲームです。
グロテスクで毒々しく、やるせなくて痛々しいホラーを表現した雰囲気で導入しつつ、最後に患者が救われるというホラーらしからぬ結末はかなり新鮮な感覚を味わうことが出来ます。
一言でいうと、 「後味のすっきりするホラー」です。
只々怖くて気持ちの悪いものを求めている人には向かないかもしれませんが、恐怖の先にはハッピーエンドを望んでいるという方には大プッシュできるVRゲームです。
怖いだけじゃない異色のVRホラーゲーム「Nevermind」に興味が出た方は、ぜひプレイしてみてください!
【ゲーム概要】
- 購入先(対応プラットホーム):Steam、Oculus Rift、Xbox One(※Biofeedback未対応)
- ジャンル:ホラーアドベンチャー(心理スリラー)
- 言語:日本語、英語、フランス語、イタリア語、ドイツ語、スペイン語、韓国語、ポルトガル語(ブラジル)、ロシア語、中国語(簡体字/(繁体字)
- コントローラー:被追跡モーションコントローラ、ゲームパッド(全5種のみ)
- プレイヤー視点:一人称(FPS視点)
- 価格:2050円
- 開発元: Flying Mollusk
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