MMDモーショントレースのコツや手順、ツールについて解説!
MMDにおいてモーションを制作する手法はユーザーによって手法が異なりますが、一から制作するのは困難です。
そんなMMD製作者に朗報なのが、人の動きをお手本としてモーション作れるモーショントレース機能です。
今回はそのモーショントレース機能の使い方、コツ、自動化の方法を解説していきます。
MMDモーショントレースの方法と基礎知識
MMDを使用して作られる動画作品、特にダンス動画は既に決まった振り付けを別のMMDモデルに置き換えて動かしている物も多く、その振り付けデータの拡張子がvmdファイルで、「モーションデータ」といいます。
画像:(https://hyper-ball.blog.)
このモーションデータはそれぞれ
- 「自作モーション」
- 「配布モーション」
等と呼ばれています。
まず「自作モーション」とは文字通り、振り付けを独自で考えて踊らせるモーションデータです。
ただダンス等の振り付けを独自で一から考え、作成するのには非常に手間も時間もかかるため、自作モーションだけで動画を作成しているユーザーは少ないのが現実です。
そのため多くのMMDユーザーは自作モーションではなく、制作者の好意で一般にも公開配布されているモーションデータを借りながら動画制作をしています。このデータを「配布モーション」といいます。
このモーションデータを作る際、動きを真似したい実際の動画などを背景に置き、動きの参考にしながらMMDモデルを動かしモーションデータを作成することを「モーショントレース」といいます。
綺麗にトレースされたMMD動画
もちろんモーションデータを完全にオリジナルで作る場合と比べ、元となる動画が必要になりますが、体の動きを実際の動画から参考にできるのはモーション作成時に大きな助けとなります。
例えば「歩く」モーションでモデルウォークのような歩き方を再現したい時に、人間らしい体全体の動きを自作モーションのみで表現するのは難度が高いのですが、モーショントレースを使えば非常に楽に作業が完了します。
MMD モーショントレースのコツ・手順
まずモーショントレースの全体像を把握するための講座として、こちらの動画が分かりやすいのでおすすめです。↓
ボーン構造の違いは初心者が躓くポイント
MMDのモーションについてですが、MMDモデル作成と同じようにモーション作成者によって作り方が違います。
そのため配布モーションも3Dモデルによっては上手く動作しません。
3Dモデルが異なれば当然ボーン構造も異なるので、データを読み込めても対応するボーンがなければうごきがおかしくなるのも当然です。
さらに動きの元となるボーン操作によっては、同じようなボーン設定であっても動きの印象も大きく変わります。
画像:http://moeechandon.blog111.
よってモーションを制作、使用する前には、まず他のユーザーが実際に作成した3Dモデルとモーションを必ずチェックしましょう。
そうすることで使用したボーン設定や動きに対する操作方法などについて情報を集めることができます。
どんな創作活動も初めは模倣によって理解が深められるのは共通ですが、モーション作成にも同じことが言えます。
モーショントレースを試してみる – 背景をaviファイルで読み込む
ボーンの使い方や動かし方についてある程度理解ができたのならば、続けてモーショントレースを試してみましょう。
まず必要な背景動画ですが、MMDはaviファイルを読み込むことが出来ます。
MMDの背景設定についてはこちら→【初心者向け】MMDの背景の作り方や透過のコツなど解説!
avi以外は読み込めませんので、それ以外の形式のファイルはavi形式に変換する必要があり、トレス元映像を用意する際は「ファイルサイズ2GB以下」の「AVI 1.0コンテナのAVIファイル」である必要があります。
動画の形式にもよりますが、 mp4やFLV形式のファイルからでもaviは作成できますので、自分のトレースしたい動画素材で十分です。
背景動画の基礎条件
またトレースに向いている背景動画は基本的に
- 固定カメラである
- モデルの全身が映っている
- 手を前後で合わせたり握ったりという体の重なりが少ない
といった条件が揃っていることが好ましいですが、この条件が揃っていなくても制作は可能です。
あとは背景の動画の動きに合わせ、3Dモデルを動かしてポーズを登録していくだけです。
このモーショントレースに必要なポーズ登録ですが、MMD動画では1秒を30に分割したフレーム単位で管理し、その中でモーションに必要なポーズをとらせて記憶させることをキーフレーム登録と言います。
キーフレームの登録と補助曲線
3D動画は要するにパラパラ漫画と同じなので、モーショントレースに使う動画の長さと作りたい動画の尺から、必要なキーフレーム登録数が判断できます。
もちろん動きの密度によって必要なフレーム数は変わりますが、膨大な数のキーフレームを設定するのは大変な労力になります。
ここで毎フレームごとにポーズを設定することをベタ打ちといい、一概に駄目とは言えませんが確実に小さなブレが生じ続けます。
そこで細かく設定するのではなく、無駄なキーフレームを打たず、前のフレームから現在のフレームまでの変化の速さを決める補間曲線という機能で対応させることができます。
またよく使いそうな体制はポーズデータとして保存しておけば、テンプレートとして活用することでフレーム制作、調整数を減らすことができます。
モーショントレースでよくありがちなのは、元動画で腕を上げているので同じように腕のボーンをあげると、それだけでは不自然な動きになります。
これは腕の根元である肩を動かしていないからです。
人間の動きとは腕しか動いていないようでも、鏡を見ながら自分で腕を動かしてみるとわかるように、肩や胸など腕につながる部分が動いています。
画像:人体傾き
他にも元の動画の通りに正面から見た動きだけを参考に作っても、モデルを横から見ると前傾姿勢になる、関節があらぬ方向に曲がる等、奇妙な動きになっていることもあります。
これはMMDの関節が人間よりはるかに可動範囲が広いからです。そのためある程度、人間の自然な関節の動きについて知る必要があります。
他のモーションからボーンの動かし方、人体の可動範囲とつながり、必要なフレーム数、ポーズのテンプレート、補間曲線と要素は多くありますが、一つずつチェックしていくことでスムーズに動かせるようになります。
モーショントレースが簡単になる自動化ツールについて
画像:https://ledge.ai/openpose/
これまで記述してきたように、モーションデータの作成は一筋縄ではいかないのですが、実はモーショントレースで重要なボーン設定を動画から自動で行ってくれる「OpenPose」というAIツールも最近では出てきました。
関連記事)OpenPose試してみた。〜ディープラニングで人のポーズを解析
OpenPoseは単一の画像から人体、手、顔面などのキーポイントをリアルタイムで検出できるソフトで、近いものとしては、人の動きを映像に落とし込むモーションキャプチャのようなものです。
ソフトウェアのため大規模な設備を必要とせず、動画からそのままボーン設定を行えれば、今よりもずっと簡単にモーション作成を行うことができるでしょう。
今のところまだ新しいため導入や使用もMMDほど容易ではなく、奥行きに関して前傾姿勢になりがちといった点や、足首の接地などの精度の点からも、今後の改善に期待が高まるといった段階です。
現段階でも単独でそのまま役に立つというよりも、動画からボーンの大まかな動きを抜き出すという点で試してみる価値はあるかもしれませんね!
まとめ
MMDにおいてモーションを制作する手法はユーザーによって手法が異なりますが、一から制作するのは困難です。
実際の動きをお手本として参考にできるモーショントレースは、より人間らしい自然な動きのモーションをつくりたいのならばチャレンジしていきたいところですね!
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