AR/MRのCGが簡単に作れる!AR CAD Cloudのご紹介
業務利用が進むAR/VRですが、3D CGの作成が大きな負担となっていました。しかし企業内には膨大な3D CADのデータが存在しており、これが活用できれば簡単にAR/VRアプリを開発することができます。この問題を解決するために開発されたものがAR CAD Cloudです。
AR CAD Cloudとは?
ARやVRで利用する3DCGは、OpenGLなどによるリアルタイム3Dグラフィックスで作る方法がありますが、3D CADのデータがそのまま使えれば非常に便利です。そこで登場したのが「AR CAD Cloud」です。
「AR CAD Cloud」はソフトバンク コマース&サービス株式会社が、株式会社ホロラボと共同で開発した、UnityとHoloLens、Azureの連携による3Dソリューションです。
日本国内には大量の3D CADのデータが蓄積されていますが、ARやVRでは3Dデータがなかなか活用されていませんでした。
この状況を打開するために開発されたのがAR CAD Cloudです。
AR CAD Cloudに、手持ちの3D CADデータやBIMデータをアップロードすると、AR/VR向けにデータを自動変換してくれるため、データ変換の工数や手間をかけずに簡単にAR/VR活用が可能になるのです。
HoloLensとノートPC(スマートフォン)があれば、その場ですぐにCADモデルをクラウド経由で3D化することができます。
AR CAD Cloudにより、非常に簡単に現実空間にバーチャルなオブジェクトを重ね合わせて、レビュー、検証、デモなどの用途で活用できるようになりました。
クラウドストレージに複数種類のデータを保管しておくことができますので、営業先などの遠隔ロケーションでも必要なデータをダウンロードし、最小限の機材でいつでもお客様にAR/VRの体験をして貰うことが可能です。
アプリ開発ツール「Unity」との組み合わせ
主にゲーム用のアプリ開発プラットフォームとして知られるUnityですが、ARやVRが普及するにつれてさらに注目を集めています。
そもそもUnityは3Dを扱うことが得意であり、Unityで作ったコードはマルチプラットフォームで可動するため非常に汎用性が高いのです。
またUnityでは「Unity CAD Importer」という支援ツールを用意しており、産業や工業用途で作成されている CAD データを Unity に取り込むための最適な変換機能を提供しています。
しかし3D CADデータはCGに比べて巨大であり、AR/VRゴーグルで扱うには不都合がありました。
AR CAD Cloudを使うことにより、CADデータはAR/VR用に自動最適化されてデータ量が軽減され、HoloLensなどのデバイスでも十分に活用できるようになったのです。
アプリ開発をUnityで行い、既存の3D CADデータはAR CAD Cloudを活用する組み合わせにより、AR/VRアプリの開発コストは大幅に削減できるとともに、オンデマンドのAR/VR体験が可能になったのです。
進む業務利用でのAR利用
ARやVRは何もエンターテインメントの世界だけではなく、国内の建設業・製造業の企業でも業務利用が始まっています。
建設会社ではARを利用して、建造物のミニチュアを現実空間に表示して工事の進捗を共有・管理する試みが行われています。
これはミニチュア模型を作るのに比べ、明らかに低コストで、しかも早く実現できるからですね。
住宅建築などでは設計中のマイホームをVRを使って内覧するようなサービスも行われています。
また、設計図面を投影して作業者が現実の建設現場などで利用するケースや、製造業ではVRを用いて遠隔でデザインや設計データを共有するなど、すでに現場への導入が進んでいるのです。
ARやVRの導入目的は決して奇をてらったものではなく、明らかにコストダウンを狙ったものであることが特長です。
ARでは作業指示を行ったり、目に見えない物体、例えば地中の配管などを可視化することで明らかに作業効率が上がります。
また非熟練者をARで補助することによってミスを防ぐだけでなく、労働力不足を補完するためにも利用されているのです。
まとめ
2018年に入り、安価なARメガネが続々と発表されており、一気にARの業務利用が進むのではないかと予測されています。
両手が使えるようになるARメガネは、紙の作業指示書やバーコーリーダーの置き換えソリューションとして非常に有望なのです。
AR/VRの市場規模は2020年には800億ドルになると予想されており、その8割はARなのです。AR/VRの市場規模についてはこちらの記事で詳しく言及してます。
製造業や建設業では3DCGの利用が必須であり、元データとして社内に大量に蓄積された3D CADデータを手軽にAR/VRに活用できるAR CAD Cloudはまさに救世主的なソリューションとなるのです。
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