まずやってみる!はいえろさんから学ぶアクションファーストなXRの歩き方。
XR業界で活躍しているクリエイターやCxOにインタビューを行うXR-Hubの企画「XR Innovators talk」。
11回目となる今回は「はいえろノート」や「XR転職」を主催するはいえろさんを取材してきました!
メルカリでの活動のみならず、最近は「XR かく語りき」など常に貪欲にチャレンジするはいえろさんですが、意外にも根性系キャリアを歩んできた過去がありました。
今回はそんな彼女の物語と、XR業界に懸ける想いやXR業界の歩き方を伺ってきたのでぜひ最後までご覧ください!
Contents
ハコスコVRでXRデビューした2014年
本日はよろしくお願いします!
それでは早速ですがはいえろさんと、XRの出会いやどのようにXRにのめり込んでいったのか?というストーリーとかお聞かせ頂けますでしょうか。
1番最初にXRを体験したのは2014年頃で、VRに興味を持った兄が当時ハコスコさんが行っていたクラウドファンディングで頂いて来てくれたんです。
家族でインド旅行に行った時にスマホで360度撮影した映像を、ハコスコで鑑賞するというのが私とXRの最初の出会いでした。
初めてハコスコでVR見た時はどのような感想を持ちましたか?
体の向きを変えると違うものが映るという体験が初めてだったので、すごく感動しちゃって、友達に見せまくってました。
自分の見てる方向で画が変わるのは、今思えば当たり前ですけど、当時は本当に衝撃が大きかったんです。
アパレルインターンを経由して、Psychic VR Labに潜入!
そこからVRを仕事に?
私は文系大学生だったのとダブルスクールで通ってたのも服飾専門大学だったので「VRは自分が関われる業界ではなさそうだなぁ」って思ってしまったんです。
VRって理系の人がやるイメージが強かったので。
その後は服飾専門大学で2年間くらいひたすらミシンと格闘する日々で、しばらくVRを離れてたんですが 専門学校3年生になった頃になって、VR関連への情熱が再熱 して。
色々調べてた時に、Psychic VR LabさんとコラボしているBALMUNGというブランドがあったんです。
「いきなりPsychic VR Labは行けないけど、BALMUNGは服飾だからアパレル経由でインターンできるのでは?」と、すごい下心でBALMUNGさんに飛び込んで、1年間そこでスタッフとして生産管理のインターンをしました。
そこでVRに興味があるという話をしてPsychic VR Labさんを繋いでいただき、なんとかPsychic VR Labに潜り込むことができました!
す、すごい経由してインターン入社したんですね!
「無力さ」に打ちのめされたインターン時代
遠回りしました。ようやくVRが近くなった時期です。
でも、その時 私のパソコンの知識って壊滅的で「フォルダって何?」っていうレベル だったんです。
そ、それは確かに壊滅的です…。
当然、現場で使われるテック用語が全くわからず、自分の無力さから毎日泣きながら帰ってました。
紀伊国屋書店でVRの本を買って「これを読み切るまで帰らない!」という生活をしたり「VR」と名のつくイベントには片っ端から参加してみたりしました。
インターンの仕事と並行しながら、「お給料は発生しないけど開発も学んでいいよ」って言われたので、自分でもUnityをいじりないがら、分からないところをエンジニアさんに聞いてたりしてました。
「花京院に会いたい」という想いから始まったVR個人制作
その時「UnityでMMDを取り込めば好きなキャラクターにVRで会えるよ」という話を聞いて、そこからVRへの熱が加速しました。
私、ジョジョの花京院が大好きなんです。
「ジョジョの奇妙な冒険」の花京院典明ですか?
そうです!どうしてもVRで彼に会いたいと思って「自分で作るしかない!」と腹をくくって個人制作をスタートしました。
ただその時、VRはVR ReadyのPCじゃないと使えないってことを知らなくて、家にあった兄のお下がりだった2012年MacBook AirでUnityを触ってました。
でも スペックが低くてすぐに熱くなるから10円玉を積んで冷やしたり して、お財布には常に10円玉を20枚ぐらい入れてました。
(編集部注釈:10円玉に使われる銅は最も熱伝導率が高い金属であり、パソコンを冷やすのに効果的だそうです)
それで何とかUnityで花京院のモデルを踊らせるところまで辿り着けて、あとはVRゴーグル着けて覗くだけ…!というところまできたんですけど。
おお、ついに!
でもその前に使用していたMMD用の花京院モデルの利用規約が変わってしまって、Unityでの利用が禁止されたんです。
あの瞬間は本当に絶望しました。
でもその時、たまたま友達が花京院の3Dモデルを作っていたことを思い出して、3Dモデルを商用利用しないこと、個人で楽しむ範囲のみで使用することを前提にお借りできないか相談して、何とか手に入れることが出来たんです!
「いよいよ見れる…!」と思ったんですけど、今度はMac BookではVRデバイスを動かせないということを知って、ハイスペックPCを買わなければならなくなりました。
道のりは長いですね…
とても長いです。笑
誕生日のお小遣いとか、いらない服をメルカリで全部売って、なけなしの20万円を作って秋葉原のツクモでVR対応ノートPCを購入しました。
その日、買ったあとに直接友達のところに行って、セットアップしてもらって、ようやく花京院に会うことができたんです!
感動の対面ですね…。
モニターでしか動いてなかった花京院と対面で向かい合うことができて、感動で涙が止まりませんでした。
目の前に存在していることが本当に嬉しくて「頑張って良かったなぁ」って。
(この中だとアライグマがお気に入りだそうです)
マイクロソフトのインターンからメルカリへ
その後は、その時はマイクロソフトさんでインターンをしてました。
インターン開始した時がちょうど4月だったのでマイクロソフトの新入社員さんたちと研修を受けさせてもらったんですけど、マイクロソフトの新卒って全員めちゃくちゃレベルが高いんです。
難しい内容のプレゼンを英語で聴いた後に周りが「めっちゃ余裕だったね」みたいな話をしていて、この格差が本当地獄で、またもやカフェの端っこで毎日泣いてましたね。
そんな中で、メルカリのXRチームが求人の募集を出して、XR女子部で仲良くしてくれてるあいかちゃん(@aicayamazak)が「XRの正社員の募集あるみたいだよ」って教えてくれて。
就職の枠ではあったんですけど、とりあえず速攻で申し込みました。
そうしたら「ClusterでVR面接しましょう」ということでいっこうさん(@ikkou)とVR面接して、すぐに働けるエンジニアとかでは無かったものの「まずはインターンでくる?」と言って頂けて、そこからメルカリのインターンを始める事になりました。
その後新卒として入社したのですが、メルカリのXRチームはエンジニアしか採用してなかったので、肩書きはエンジニアだったんです。
だから新卒枠でエンジニアの研修受けないといけなくて、Goとかやってました。
エンジニア採用だったんですね!アパレル、服飾大学からのGoとは…
「ターミナルて何?」みたいなところから始まり…、朝早めに出社して、ProgateでGoを勉強してから出社するみたいな生活をしていました。
その後はバックグラウンドがデザイナーだったこともあり、エンジニアとしての仕事よりも、PMポジションにアサインされるようになりました。
そんな風に慌ただしくしてるうちに、XRチームが解散してしまい、私は今はAdvanced Techというリサーチ系のチームに落ち着いたのが今年の10月です。
そして始まった新企画「XRかく語りき」
最近の活動で言うと、「XRかく語りき」を始められましたよね。あれはどういった背景でスタートしたのでしょうか?
もともと、人を紹介するアナザースカイみたいなコンテンツを作りたいなぁって思ってたんです。
人を紹介することがしたいという思いがずっとあって、だからXR転職相談会とか開いたりしてました。
周りの助けがあって”形”になった初回放送
XR転職だと一人一人をしっかり紹介することが出来ないのがもどかしくて。
だから「YouTube配信やろう!」って思ったうちに、iphoneのメモで番組の概要を走り書きしてGOROmanさんに送って「番組に出てください!」ってお願いしたら「いいよ」て言って下さって。
(当時のメッセンジャーのやりとり。1分以内で即答するGOROmanさん凄いです… ※画像掲載 許可済み)
さっきから感じてたんですけど、すごい行動力ですね。瞬発力があるというか…。
私って、先に追い込む形を作ってから準備をする人間なんです。
そもそもYouTubeをあまり触ったことなくて、この時も初めてチャンネル作ることから始めました。
その後「チャンネル登録者1,000人いないとリアルタイム配信できないよ」と、いっこうさんに教えてもらって「まじか〜!」となり。
そもそもビデオカメラも持ってなくて何買えばいいのか分からずパニックになって、あいかちゃんに相談したら、彼女が一眼レフ持ってたので「持っていくよ」て言ってくれて。
配信も全く分からなかったんですけど、ムーちゃん(@Mu_Alexius000)が「配信手伝うよ」って言ってくれて。
当日2人ともXVIのオフィスに来てくれて、全部セッティングしてくれました。
すごくみんなに申し訳なくて、すごい助けられて何とか配信できたのがこないだの第1回目の放送です。
次もまた、ビッグゲストが登場しますよね?
ハコスコ代表の藤井さんです!
私の中ではハコスコからVRの世界に入ったので、すごく嬉しいです!
ちなみに、「XRかく語りき」の今後の展望などあるのでしょうか?
今は生配信がメインになっているのですが、撮影した動画をちゃんと編集してアップし直すっていうのはやりたいなと思っています。
一般の人が見ても面白いと思ってもらえるように、テロップを入れたりとか。
なるほど…。
確かにYoutube動画でクリエイターを紹介する試みはすごく面白そうです…!
2020年はXR転職の年!
ちなみに2020年はどのように活動していきたいというようなことはあるのでしょうか?
来年は、XR転職したいです!
今ambrさんともう1つ、FictyてKMNZを運営してる会社さんのお手伝いとかをしてるんですけど、どちらも副業なので「平日8時間私はなぜXRじゃないことをしてるんだろう」っていうモヤモヤがあって。
それはモヤモヤしますよね。
現時点で、興味がある企業さんとかあるのでしょうか?
XRチームが解散した時、色々な企業見たんですが、殆どエンジニアが欲しい企業ばっかりなんです。
だからエンジニアリングスキルのない私がいますぐ転職っていうのが難しいみたいで。
なので、今年はしっかり転職できるだけのスキルを身に着けていくことが目標です!
VirtualCollectionの運営も継続&注力!
あとはバーチャル世界内で開催しているファッションイベント「VirtualCollection」もしっかり継続いきたいです!
すでに3回のステージを開催しており、2020年もたくさん企画しています!
公式アカウントでイベント情報を発信しているので、ぜひチェックしてみてください!
XR業界に興味がある(けどまだ入れてない)人へのメッセージ
それでは最後に、この記事を読んでいる読者、特にクリエイターの方に伝えておきたいポイントとかあったりしますか?
分野が違う人でも、どんどんXRを初めてみて。
今XR業界と関わりがない方でも、興味があれば勇気を持ってどんどん初めて欲しい、飛び込んで欲しいです!
私自身、服飾の専門学校出身で、ひたすらミシンと向き合う時間を過ごしていて「フォルダって何?」というところから始まりました。
それでも飛び込んでみたら意外とXRを仕事にすることができているので、業界に入ってみたいなぁと思っている方は迷わず始めてみて欲しいです!
アットホームなので、イベントも飛び込んでみよう。
この業界って競合同士とかでも普通に飲み会とかやるじゃないですか。
それがすごい珍しいなぁて思ってて、言ってしまえばライバル会社なのに「お互い頑張って業界盛り上げていこう」っていう根っこの部分が共通しています。
すごいアットホームですよね。
TwitterでUnityが分からないっていう人がいれば、教えてくれる人がいたりとか、イベントでも「Unityが分からない」と言えば親切に教えてくれたりとか。
XR業界ってすごく温かくて、受け入れるマインドがあると思うから、イベントとかどんどん行って飛び込むことをして欲しいな〜っていうのが2つ目です!
とにかく作ったものや想いを発信しよう!
3つ目のメッセージは、「とにかく作ったものを発信しよう」ということです。
結構3Dモデラーさんとか「XRに興味あって、仕事したいです」って相談受けるんですけど、ポートフォリオサイトありますか?って聞くと「まだ作ってないです」という話になることが多くて。
モデリングとかだったらVRChatでいくらでも出せる場所はあるので、とにかく作ったものを出して、ぜひアピールしてって欲しいなと思います。
私もよく分からないまま「花京院に会いたい」って気持ちをどんどん発信していたら、あいかちゃんがVRに詳しい人を繋いでくれて、いろんな人と出会って助けてもらって形になった(花京院にVR上で会うことができた)という体験があります。
とにかく声を大にして、何やってる、何やりたいというのを発信して行って欲しいな〜と思います!
XRに興味がある人への心のこもったメッセージ、ありがとうございます!
今日はとても刺激的なお話をありがとうございました!
編集後記
いかがでしたでしょうか?
今回はXR転職やVRChat内でのファッションイベント、他にも「XR かく語りき」など業界のために様々なチャレンジをされるはいえろさんを取材させて頂きました。
様々な形でXR業界の発展やクリエイターのために尽力しているはいえろさんのご活動を今後も応援して行きたいと感じられる方も多いのではないでしょうか?
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XR-Hubでは今後も「XR企業のリーダー達のインタビュー」を通じて、読者の皆さまに有益な記事を提供して参ります。
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