AR開発者必見!Kudan社の技術・プロダクトから企業情報まで徹底解説


VRの普及に伴い、さらに開発が進んでいるのがARとMRの分野です。

今回取り上げる「Kudan」は、ARや人口知覚(Artificial Perception)の技術開発の面で世界をリードする企業。

そんなKudanが提供している技術サービスやビジネスシーンへの応用、モバイルアプリへの活用方法などについてご紹介します!

この記事でわかる内容:

  • Kudanとはどんな会社か
  • 技術サービス「KudanSLAM」「Kudan AR SDK」の詳細
  • Kudanによって広がるARの可能性
  • Kudanのビジネスシーンへの応用例
  • Kudanの企業価値が高い背景

Kudanとは – 「人口知覚」と「AR」のリーディングカンパニー

つい先日行われた、アップルの開発者カンファレンス「WWDC19」において、iPhoneの新しいAR機能である「ARKit 3」が紹介され、AWEでは499ドルのARグラス「nreal light」の発表が大きな話題を呼びました。

そして日本の通信キャリア各社(Docomo、KDDI、Softbank)はARグラスへの投資を開始しており、着実にARが一般化への道をたどっています。

そんな「AR」の技術開発と活用において、既に世界のリーディングカンパニーとして名を馳せている企業が存在します。

それが今回紹介する「Kudan」です。

Kudanは人口知覚の研究開発を行うテック企業

株式会社Kudanは大野智弘氏がイギリスで創業した、研究開発会社。ARだけではなく、ロボットやコンピュータに視覚を与える「人口知覚(Artificial Perception)」の研究開発で知られています。

  特に空間・立体認識技術を独自に研究開発した結果生みだされた「KudanSLAM(スラム)」は、三次元の空間認識能力と再現力を高速、かつ低負荷で行う技術です。  

現実世界にCGを重ね合わせるARはもちろん、VRやMR(複合現実)、ドローンや自動運転技術など、様々な分野への応用が期待されています。

KudanSLAMの3つの特徴 – 技術の特徴を分かりやすく解説

KudanSLAMがほかのアーキテクチャと大きな違いを見せているのは、以下の特徴によるものです。

  1. ハード・OSに依存しないコードベースによる多様性・汎用性の高さ
  2. CPUの消費を抑える低負荷のアーキテクチャ
  3. APIのシンプルさ・使いやすさ

KudanSLAMの特徴①多様性と高い汎用性

 KudanSLAMのコアとなるコードベースはほとんどのプロセッサーに対応するため、ハードウェアやOSに依存しません。  

そのため、様々な分野での応用が安易という特徴があります。

例えば、スマホに使われているカメラからステレオカメラから、よりハイスペックな視覚慣性深度カメラまで、多種多様なハードウェアに組み込ませることが可能です

そのため、企業が用いるDPS(広告支援ツール)だけでなく我々一般ユーザーが自分のスマホでより気軽かつ本格的なAR体験を可能にします。

KudanSLAMの特徴②低負荷のアーキテクチャでより多くのソフトウェアへの適応

KudanSLAMの汎用性はハード面だけではありません。

できるだけ汎用的な用途に向けてプログラミングされているため、スマホ端末の位置情報トラッキングから、自動運転の空間認識・物体判断などあらゆる用途での利用が想定されています。

 それを可能にしているのが高速かつ低負荷のアーキテクチャで、モバイルCPUの5%以下の消費電力で動作が可能ということです。  

「ポケモンGO」をプレイしていて、スマホの電池の減りの速さにヤキモキした人も多いのではないでしょうか。

スマホアプリにKudanSLAMの技術が応用されれば、もうバッテリーの心配は要らなくなるかも?

KudanSLAMの特徴③シンプルで使いやすいAPI

KudanSLAMはシンプルで使いやすいAPI(Application Programming Interface)を介して、あらゆる構成を可能にしているため、クライアント/ユーザー双方が望むニーズを容易に満たすことができます。

いくら優れた技術であっても、使いにくければ絵に描いた餅に過ぎません。その点、KudanSLAMはとことんまでユーザーニーズに寄り添ったテクノロジーと言えるでしょう。

Kudanが提供するモバイル向けAR技術・Kudan AR SDKとは

簡単に言うと『機械に眼を持たせる』ための技術がKudanSLAMですが、そのKudanが特にARに特化して開発した技術サービスが「Kudan AR SDK」です。

 Kudan AR SDKは、モバイル・アプリケーション開発向けに提供されるSDK(ソフトウェア開発キット)で、モバイル、ウェアラブル・デバイス用に高度なARエンジンを提供しています。  

KudanSLAMというアーキテクチャを開発した会社が提供するSDKですから、このKudan AR SDKもハードウェアに依存することがありません。iOSでもAndroidでもOSは問いません。さらにはインディー開発者にもサポートを行っています。

KudanSLAMと同じく低消費電力、高機能がウリのKudan AR SDKはハードウェアに依存しないアルゴリズム。エンジンはC++で書かれ、最小のメモリで最適化が施されているため、最新のスマホでなくても動作可能です。

KudanSLAMをモバイルアプリケーションに利用すれば、ARを用いたワクワクするようなアプリがこれからますます登場すること間違いありません。

具体例付きで解説!AR・VR・MRの違い

KudanSLAMがARやVRに役立つ技術であることは何となく分かってきましたが、そもそもARとVRの違いをハッキリと認識していますか?

KudanSLAMがARやVRの分野でどのように活かされているかを調べる前に、まずはARとVRについておさらいしておきましょう。

*ここについて既に知っている、という方は次の章まで飛んでいただければと思います。
(次章)4 .Kudanの技術とビジネスモデル/活用事例3選

①AR = 現実空間にCGを投影する技術

ARはAugmented Reality、拡張現実の略で仮想世界のCGを現実世界に表示(拡張)する技術のことです。

現実の風景にCGキャラを重ね合わせるため、まるで本当にキャラクターが現実世界に登場したかのような感覚を覚えます。この技術を使ったモバイルアプリでいちばん有名なのは、やはり「ポケモンGO」でしょう。

女子高生に人気のカメラアプリ「SNOW」もAR技術を利用しています。
ARを認識するにはスマホなどのガジェットを介するほか、メガネ型のヘッドマウントディスプレイを使う方法も一般的です。

②VR = 仮想空間に没入する技術

VRは専用のゴーグルの中に表示される仮想世界に、プレイヤー自身が入り込んだかのような感覚を生み出す技術のことです。ARとの違いを一言で表現すると、「VRは仮想世界に自分が飛び込む技術、ARは仮想世界を現実に持ち込む技術」となります。

現在ARよりもVRの方が普及が進んでいるのは、ARが技術的により難しいからです。Kudanが注目されているのも、まさにそこにあります。

③MR = 現実空間と仮想空間を融合する技術

MRはMixed Realityの略で、「複合現実」と呼ばれています。ARとVRを組み合わせたかのような技術で、ARやVRでは体験できない世界を表現することができます。

たとえば、「ポケモンGO」ではARの技術でポケモンのキャラクターが表示されますが、そのキャラに近づくことはできません。

しかしMRの技術を用いれば、キャラクターの後ろに回り込んだり、近づいてより細かく観察したり、デバイスさえあれば触れることも可能になります。ARの上位版のような技術ですが、仮想世界と現実世界を融合させる技術ということで、エンターテイメント以外でも広告や産業など、様々な業種への広がりが確実視されています。

*参考記事:

参考:ARの可能性 – 日常生活を豊かにする技術

現状として、私たちがARに接するのはスマホのゲームアプリくらいのものですが、これからARが普及していく可能性はどれほどあるのでしょうか?

ARが一般的になることによって、私たちの生活も大きく変わると言われています。

例えば地図アプリ。現在は現在地と目的地、そのルートを表示させている地図アプリも、ARの技術を用いれば、上の写真のようにどの電車に乗ればいいか、どこの角を曲がればいいか、周囲にどんな観光スポットがあるかをひと目で確認できるようになります。

また、広告も大きく変わるでしょう。雑誌の中の車の広告にスマホをかざすとその車が飛び出し、CDジャケットからはミュージシャンが飛び出してライブ演奏を始めるようになるかもしれません。

映画「バック・トゥ・ザ・フューチャーⅡ」でサメが飛び出す広告や、トム・クルーズ主演の「マイノリティ・リポート」で道を歩く主人公(実際には追っ手から逃れている)という特定個人に対応する動く広告、といった未来の世界がもうすぐそこまで来ているのです。

Kudanの技術とビジネスモデル/活用事例3選

ARが私たちの生活を大きく変えうる可能性があり、KudanがAR技術に対する優位性を持っていることは分かりました。では実際にKudanはどのように用いられているのでしょうか?

まずはこちらの動画をご覧ください。

Kudan AR SDKを用いて商品を表示させるサンプル映像で、CGの車が現実の車と同じサイズで表示されます。

距離や大きさを推定して表示させる技術を「SLAM(Simultaneous Localization And Mapping)」と言いますが、これがまさに「KudanSLAM」の本領を発揮する分野です。

Kudan AR SDKではGPSや時刻、天気情報などから総合的に判断して、自然に最も近い太陽光の反射を車のボディに反映させることによって、より自然な表現を再現しています。

また手に持ったデバイスのカメラから入ってくる情報で、距離や位置を測定することもできますから、より仮想世界と現実世界の『一体感』を生み出すことが可能になります。

ARの技術は他社でも開発していますが、この「SLAM」の技術をARを組み合わせ、しかも最小のアーキテクチャで可能にしているのが、Kudanの大きな武器と言えるでしょう。

Kudanのビジネスシーンでの活用例3選

では、実際にKudanを実際のビジネスシーンに取り入れている例をいくつか見てみましょう。

①Kudan × EC(株式会社ヒナタデザイン):商品を自分の部屋に配置

株式会社ヒナタデザインは、「scale post viewer AR」というアプリを提供しています。このアプリは、通販サイトの商品画像を実物大に表示し、自分の部屋に置いたらどうなるかを確認できるARアプリ。

このアプリにKudanの技術が用いられています。

家具や家電を実物大で表示させることで、購入後のイメージを的確に掴むことができます。
このアプリはASCIIが開催するIoT/ハードウェアのビジネスマッチングイベント「 Connected Industries Award」決勝で 「eicon賞」を受賞しました。

②Kudan × 自動車(Ford):実寸大の車を3Dモデルで再現

世界的な自動車メーカー「Ford(フォード)」も、自社を代表する「Mustang」の最新モデルを紹介するために、KudanのAR技術を採用しました。

上の動画でも紹介したように、ARで標準的なマーカーを用いた描写ではなく、実際のサイズで高精度のモデルを再現しています。好みの色やオプションを選択して目の前に表示すれば、購入へのモチベーションはグッと盛り上がることでしょう。

さらに自宅のガレージに置いた様子や、家の前の道路に佇むムスタングを実際に確かめられることは、購入者にしても便利で助かります。外見だけではなく、車の中までシームレスに近づいて覗き込むことも可能。車という大きな買い物のときにもARはとても役立ちます。

③Kudan × リフォーム(KARNDEAN、イギリス):フロアの張替えに活用

イギリスの住宅メーカー「KARNDEAN」は、住宅のリフォーム時などにフロアリング製品を自宅で実際に確認できるアプリとしてARを活用しました。

ARと高精度のグラフィック、そしてデバイスのジャイロを活用することによって、リアルタイムで部屋のフロアを張り替えた様子を確認することができます。実際にユーザーが自分の目で確認できることのメリットは計り知れません。

このように、Kudan AR SDKはすでにビジネスシーンに取り入れられ、活用されています。
日本でもテレビ朝日の「ミュージックステーション」や、サントリーのキャンペーン用の鉄道模型のアプリなどにもKudan AR SDKが用いられているんだとか。

KudanAR SDKのダウンロード方法

企業での活用だけではなく、軽くて早くて強靭なKudanAR SDKをモバイルアプリでも活用してほしい、とう意向でKudanではSDKの無料ダウンロードを実施しています。

【KudanAR SDK無料ダウンロード】:https://www.xlsoft.com/jp/products/kudan/ar-sdk.html

詳しい技術仕様やドキュメントについても公式サイトに乗せられていますし、デモアプリもソースコードが公開されています。

さらにビジュアルSLAMのエンジンはARやMRだけではなく、位置情報の確認が必要なVRにも応用可能とのこと。VRデバイスにSLAMのエンジンを搭載したカメラを装着すれば、空間情報を認識してユーザーがどこに居るのかを把握できます。つまり、VRヘッドマウントディスプレイ単独で歩いたり動いたりするルームスケールなVRプレイが可能になるのです。

ハイエンドなモバイルを必要としないKudanのテクノロジーは、ARやMR、そしてVRの分野でもますます取り入れられていくでしょう。
KudanAR SDKを活用した様々なアプリで、我々ユーザーをさらに楽しませてほしいですね。

マザーズ上場、時価総額が話題に – Kudanの株価が高い理由

株式会社Kudanは2011年にイギリスで創業されましたが、2016年には個人投資家から総額2億300万円の資金調達を行ったことでも話題になりました。

その後もKudanの業績は順調で、人気の500銘柄の中からアナリストがイチオシの株を紹介するマネー誌「ダイヤモンドZAi」の人気特集「買っていい×買ってはいけないをズバリ判定! 人気の株500激辛診断」で、Kudanが「来期の営業利益の伸び率が高い株」のランキング1位を獲得しました。

参考

①自己資本比率の高さ

第一に、健全な財務状況が考えられます。2018年3月期末時点での資産合計3.7億円に対して、純資産合計3.6億円。

自己資本比率が98%、借入金はなく、が現預金も豊富な健全な財務状況が投資家からの評価も高いようです。

②明確な研究開発への投資

第二に、資金使途にあります。KudanではIPOで調達した資金の大半を研究開発に投じています。開発会社としては当然と思われるかもしれませんが、実際の事業に注力した資金の用い方は不安定要素を好まない投資家にとっても安心材料となります。

③急拡大はせず、少数精鋭の組織設計に拘る

そして第三の点として、むやみな拡大路線に走らないことも高く評価されているようです。代表の大野氏は「天才が何人かいれば開発できる」と述べて、少数精鋭の開発環境を大切にしています。現在、Kudanの開発スタッフは日本法人に4人、イギリス法人に7人在籍していますが、開発は全てイギリスのブリストルで行われています。

大掛かりな設備が必要なハードウェア開発ではなく、ソフトウェア・エンジンの開発に集中することで高い生産性を維持しているのです。

【Kudan株式情報】

  • 会社名:Kudan株式会社
  • コード:4425
  • 市場:マザーズ
  • 業種:情報・通信業
  • 売買単位:100株
  • 代表者名:大野 智弘 /1969年生
  • 本店所在地:東京都新宿区新宿六丁目27番45号
  • 設立年:2014年
  • 従業員数:3人 (2018/09/30現在、平均38.4歳、年収655.7万円)連結14人
  • 事業内容:工知覚技術の研究開発およびソフトウエアライセンスの提供
  • URL:https://www.kudan.eu/japan/
  • 株主数:25人(目論見書より)
  • 資本金:261,355,000円 (2018/11/15現在)
  • 上場時発行済み株数:6,866,200株(別に潜在株式391,400株)
  • 公開株数:196,500株(公募123,000株、売り出し47,900株、オーバーアロットメント25,600株)
  • 調達資金使途:人件費・採用費、本社移転費
  • 連結会社:1社

まとめ

ARアプリ開発に必要な技術を開発・提供しているKudan。

KudanSLAMやKudan AR SDKを用いれば、ARやVR、そしてMRのソフト開発に役立つことは間違いありません。

何より、ハードウェアに依存しない軽くて高性能なシステムは、スマホなどのモバイルでARをさらに気軽に楽しめる大きな可能性を感じさせます。

「クダン(件)」は人間の顔に牛の体を持つ、半人半獣の日本の妖怪のこと。その妖怪が現れるときには天変地異がおきるとも言われており、Kudanは業界に天変地異をおこそう!というところから名付けられたそうです。

アプリ開発者はもちろん、我々一般ユーザーもこれまで見たこともないような世界を体験するためにも、Kudanにはこれからも注目です!


kudan

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