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【小売EC×Matterport徹底解説】3Dスキャンでバーチャル店舗を作る手順と費用


メタバースが身近になってきたことで、バーチャル店舗の導入を検討する小売業者・メーカーが非常に増えています。

そのバーチャル店舗をECに組み込むのに重要な技術が、Matterportによる3Dスキャンです。

今回はこのMatterportの特徴や使い方、コスト感なども含めてじっくり説明します。

ECサイトのマーケティング担当者にとっても重要な知識となるMatterportについて、じっくり理解を深めていただければと思います!

数多くの小売店舗が利用するMatterportとは?

「Matterport(マーターポート)」は、アメリカ・サンフランシスコ、シリコンバレーのベンチャー企業である「Matterport」が提供する、360度の撮影が可能な3Dスキャンカメラシステムと、3DデータをWebで公開できるクラウドサーバーがセットになったサービスです。

Matterportを利用することによって、実在する建物などをスキャンし、3Dでモデリング。

Web上にバーチャルな空間を簡単に再現できるようになります。

…と言葉で説明するよりも、こちらの動画を見ていただいたほうが分かりやすいでしょう。

AI機能を搭載した赤外線スキャンカメラによって立体空間を読み取り、デジタルデータとして3D化し、モデリングしてくれます。

つまりMatterportを利用することによって、空間や建物をそっくりそのまま、3Dデータとして再現できるわけです。

ちなみに、Matterportによく似た技術として、よくGoogleストリートビューが取り上げられます。

「現実の空間をトレースして再現する」という基本コンセプトはよく似ていますが、MatterportはGoogleストリートビューにはない機能をいくつも持ち合わせています。

そしてそのMatterportの高い技術力はGoogle自身が認めており、Matterportは2017年からGoogleの正式なパートナー企業となっています。

バーチャルストアに使える機能:ドールハウスとは?

GoogleストリートビューにはないMatterportの特徴的な機能の一つで、バーチャル店舗を開設するのにも必須となるのが「ドールハウス(立体模型)」です。

「ドールハウス」とはその名の通り、スキャンして3D化したデータをドールハウスのように立体構築し、好きな角度から眺めることができます。

↑こちらの動画のように、現実の建物がまるでシルバニアファミリーのドールハウスのように3Dモデルで再現されています。

この機能によって、現実の店舗も簡単に3Dモデル化できるというわけです。

ドールハウス・ビューモードでは、3Dモデルで再現された建物内を自由に移動することが可能です。

Googleストリートビューでは平面的な俯瞰・移動になりますが、Matterportのドールハウスでは空間の全体を俯瞰して眺めたり、それぞれの空間の繋がりや関係、距離感なども直感的につかむことができます。

この機能によって、家にいながら実店舗を訪れているかのような感覚でショッピングを楽しめるというわけです。

Google ストリートビューとも接続できる。

MatterportはGoogleのパートナー企業でもあるので、このドールハウスビューとGoogleストリートビューを組み合わせることも可能です。

つまり

  1. 建物の入口まではGoogleストリートビューを使い
  2. そして建物に入ってからはドールハウスビューに切り替えて中を探索する

上記の体験設計によって、より実際に来店しているかのような3Dビュー体験を提供することができるのです。

Matterportの4つの特徴 – 多くの企業から選ばれる理由

それではここからMatterportがバーチャル店舗を組み込むのに最適な理由を説明します。

Matterportには以下の4つの特徴を備えています。

Matterportの特徴①:精巧な現実を再現する「4Kの高解像度スキャン機材」

Matterport専用の3DVRカメラは、4Kの高解像度撮影が可能です。

広域な空間でこれほど高い解像度を実現できるスキャンツールは多くありません。

建物や商品の細部まで極めて正確にスキャン・3Dで再現できるため、実際の店舗を訪れた感覚を再現しやすいのです。

Matterportの特徴②:店舗のレイアウト変更などにも使える「正確な距離測定」

Matterportの「測定モード」を利用すると、撮影した画像から距離や物体の大きさをセンチ単位で正確に測定することができます

この距離測定の精度が高いため、例えばバーチャル店舗を参考にして実店舗のレイアウト変更などを検討することもより容易になります。

Matterportの特徴③:商品を閲覧しやすい「タグ機能」

Matterporには「タグ機能」が搭載されています。

これを利用してバーチャル店舗内に黒丸のポイントを設置させると、利用者はその商品の詳しい内容を見ることができるようになります。

例えば、上のDIORのバーチャル店舗でもそれぞれのアイテムの前に設置されたポイントをタップすると商品説明が表示されて、実際に購入できる仕組みになっています。

このタグ機能によりユーザーを商品の場所まで誘導しやすく、ピンポイントで売りたい商品を閲覧してもらいやすくできるのです。

Matterportの特徴④:PCはもちろん、VRからスマホまで。デバイスを問わない利便性

ECサイトにバーチャル店舗を設置させるのは、Matterporで作成した3Dデータ用のURLを組み込むだけです。

そのため一度バーチャル店舗を設置すれば、専用のアプリなども不要でHPやSNSなど、様々なプラットフォームから来店することができるようになります。

またスマホやタブレット、PCはもちろん、VRゴーグルを装着しての利用も可能。

メタバースなど新たなテクノロジーが広まる中、Matterporを利用したバーチャル店舗の可能性はさらに増大しています。

【ECサイトと比べた時のバーチャル店舗(ストア)の優位性】

ECとバーチャルストアはオンライン上でショッピングできるという点では同じですが、通常のECサイトとバーチャルショップの役割・マーケティング上の位置付けは異なります。

バーチャル店舗はWeb上に擬似的に作られた「ショールーム」であり、実店舗同様に

  • ブランドの世界観を訴求しロイヤリティを高める
  • ユーザーと商品の「偶然の出会い」をもたらす

といった価値と優位性があります。(これらの機能は既存の2DのECサイトでは弱点とも呼べる部分でした)

また、普段からゲームを通じた3D空間の行動に慣れたZ世代や若い子供たちにとって、3D店舗での購買体験は既存のECよりもはるかに優れており、より人間味のある体験に映ります。

このように既存ECでは実現できない、優れた体験性が昨今GUCCIやNIKEなどの大手ブランドが、こぞってバーチャルストアを開設するトレンドの背景になっているのです。

「3Dスキャン」vs「3Dモデリング」の比較

ちなみに「空間3Dデータ制作」ですが、制作する手法としてはMatterportによるスキャンだけでなく、3Dモデリングツールを使い、0からCGで製作するアプローチも存在します。

整理すると下記のようなイメージです。

  1. 3Dモデリング:店舗空間の3Dモデルを1から制作し、Web上で公開
    • 使うツール:Blender、Maya、3D CADなど、3Dソフトウェア
  2. 3Dスキャン:実際の店舗をスキャンし、Web上で公開
    • 使うツール:Matterportなどの360度カメラ・3D撮影機材・専用ソフトウェア

この2つの手法には明確なメリット・デメリットがあり、制作するバーチャルストアの目的・位置付けによって手段を検討・選択する必要があります。

この2つのメリット・デメリットを表にしてまとめたのがこちらです↓

この2つの手法「3Dモデリング」vs「3Dスキャン」による空間制作のメリット・デメリットやコスト・制作プロセスの違いなどを詳しく知りたい方は下記の記事を参考にしてみてください。

【EC担当必見】メタバースEC事例8選|バーチャルストアの制作「3Dモデリング」と「3Dスキャン」を徹底比較

バーチャル店舗の事例 – DIOR

それではここからは具体的な事例を紹介していきたいと思います。

従来のECサイトに実際にバーチャル店舗を組み込んだのが、ラグジュアリーブランドの「DIOR(ディオール)」です。

パリのシャンゼリゼ店を公式HP上に再現し、実際に店舗を訪れたような感覚でディオールの商品を購入することができます。

それがどのようなものかは、ぜひこちらから確かめてみてください。

バーチャルストア・メタバースECの企画・制作・開発のご相談、承ります。

ここまでMatterportによるバーチャルストアの解説方法について説明してきましたが、本メディア「XR-Hub」を運営元する株式会社x gardenメタバースECの制作・配信サービス「RITTAI STORE」をご提供しており、初回相談も無料で承っております。

これまでの事例としては、

  • ニトリ社の実店舗向けAR・MRアプリの開発
  • EC向けのAR/VRソリューションの提供
    • 導入実績:ニッセン社、柏木工社、オーディオテクニカ社など
  • 大手什器、BtoB家具メーカー向けのバーチャルショップの開発支援

など、数々の大手メーカー・小売事業者のAR/VR活用を支援しており、バーチャル店舗を中心とした開発、ユーザー体験設計に強みを持っています。

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MatterportでECサイト(Eコマース)にバーチャル店舗を組み込む手順

それではここからはMatterporを利用してバーチャル店舗をECに組み込む手順を説明いたします。

Matterporは基本的には専用のカメラで撮影し、編集するだけですが、誰でも撮影できるわけではありません。

そのため、専門の業者に依頼する必要があります。

【Matterportの撮影までの流れ】

さて、ここからは実際にMatterportを使ってバーチャル空間を作るまでのプロセスと注意点を解説していきます。

撮影前と後で大きく区分されますので、まずは撮影までの流れを解説します。

Step1,事前打ち合わせ

バーチャル店舗を設置する最大の目的は、ユーザーが実際の店舗を訪れたかのような体験を味わってもらうことです。

そのため、撮影の前に店舗の図面などを参照しながら店内の動線や、特にアピールしたいポイントなどの確認を行います。

Step2,店舗内の空間撮影

撮影は「Matterport Pro2 3D Camera」といった、専用の3Dカメラを用いて行います。

赤外線スキャナーで店内をキャプチャしながら撮影しますが、その際には三脚で人間の目線の高さにすることによって、より自然なウォークスルー体験を実現させます。

ただしもちろん、商品などの対象にカメラを合わせて撮影することも可能です。

Step3,プレビューで確認

Matterportで撮影した画像は、撮影用のアプリを入れたiPadでその場で確認することが可能です。

必要なデータとそうでないものを取捨選択することによって、その後の編集作業がより効率的になります。

【撮影後の流れ】

ここからは撮影後のプロセスを紹介いたします。

Step4,使用するデータの選定・ラベル付け

撮影したデータの中からバーチャル店舗に必要な要素を抜き出していきます。

データが多いほど全体の精度も上がりますが、無駄な空間を残しすぎるとウォークスルー時にユーザーがストレスを感じてしまいます。

そのため、繰り返しシミュレーションを行いながら適切なポイント・データを選定していくことが重要です。

また、作成したドールハウスの各部屋、パーツごとにラベルを作成します。

それによって店舗内の配置や動線などがより容易に把握できるようになります。

Step5,タグの設定

商品や店内のポップ、画像など、ユーザーにアピールしたいアイテムに対してタグを設定していきます。

タグには説明文やリンクだけではなく動画なども貼り付けることができるため、より効果的にアピールすることが可能です。

Step6,ECサイトへの組み込み

最終的な調整が施された3Dデータは、URLや埋め込みコードの形で納品されます。

データはクラウド上で共有されるため、完成後すぐに受け取ることができます。

URLもしくや埋め込みコードをECサイトの任意の場所に組み込めば、バーチャル店舗のオープンです!

Matterportの費用・コスト感:小型店舗であれば20万円〜程度

それでは最後に、Matterportの気になるコストについて考えてみましょう。

Matterportの撮影コストは、撮影ポイントの数や床面積によって変化します。

また撮影スタッフの交通費やデータの編集費、さらにMatterportクラウドサーバーの契約・利用料も発生しますので、やはり事前に見積もりを取るのが確実です。

【Matterportでバーチャル店舗を開設するための主な費用】

  • 撮影費用:機材費、人件費、交通費など
  • 編集費用:タグの作成・追加費用など
  • 保守費用:サーバー利用料金など

あくまでも目安としてですが、単発でバーチャル店舗を一件、外注で依頼する際の初期コストは、小型店舗で20万円~といったところでしょうか。

店舗の大きさ、タグの数によって金額が上乗せされていきます。

過去の実証実験から読み解くバーチャル店舗の費用対効果について

バーチャル店舗の費用対効果について、興味深いデータがあります。

一般的なECサイトにおけるCVRの目標値は、サイトに訪れたユーザー数に対して1~3%とされていますが、食品等を販売したメタバースECでは驚愕のCVRが算出されました。

2021年の10月、

  • 福岡県に本社を置き辛子明太子をメインに販売する「ふくや」
  • 関西テレビが行っているテレビショッピングの「真夜中市場」
  • 札幌テレビが手がけるテレビショッピングの「どさんこ市場」
  • そして健康食品や化粧品を販売する「万田発酵」

がコラボレーションし、3日間限定でメタバースを利用したバーチャルショップの実証実験を行いました。

その結果として、オンライン物産展のような形で行われた今回の実証実験では、CVR30%という驚異的な結果を残しました。

その要因として挙げられるのは、本取り組みが店員が会話が可能なメタバースで行われたことで、ユーザーは店員のおすすめ商品などを聞きながら、実店舗に近いかたちで物産品を購入できた点です。

またECサイトに3Dデータを掲載することで、サイトの滞在時間が15%伸びるという報告もありますし、なによりユーザーとしては気になる商品を3Dで確認できるため、購買意欲が高まるのもある意味、自然なことかもしれません。

また購入した商品が自分が思っていたものと違ったということも少なくなるため、返品率の減少、顧客満足度の上昇といった効果も大いに期待できます。

なによりバーチャル店舗は初期費用も実店舗に比べて割安、さらに開設後の人件費や光熱費、店舗の賃貸料もかからないため、その費用対効果は非常に高いと言えそうです。

バーチャルストア・メタバースECに関する事例がもっと知りたい方はこちら→【EC担当必見】メタバースEC事例8選|バーチャル小売店舗の作り方・費用を解説

まとめ

コロナ禍による消費者の購入意識の変化やメタバースの進化などによって、これからますますバーチャル店舗のニーズは高まっていくと考えられています。

そのバーチャル店舗を効率よく開設・運営するのに不可欠なのが、今回紹介したMatterportです。

今回の記事を参考に、ぜひ自社のECサイトにバーチャル店舗を組み込んで、利益の最大化を目指していただけたらと思います。

バーチャルストア・メタバースECの企画・制作・開発のご相談、承ります。

再掲となりますが、本メディア「XR-Hub」を運営元する株式会社x gardenメタバースECの制作・配信サービス「RITTAI STORE」をご提供しており、初回相談も無料で承っております。

これまでの事例としては、

  • ニトリ社の実店舗向けAR・MRアプリの開発
  • EC向けのAR/VRソリューションの提供
    • 導入実績:ニッセン社、柏木工社、オーディオテクニカ社など
  • 大手什器、BtoB家具メーカー向けのバーチャルショップの開発支援

など、数々の大手メーカー・小売事業者のAR/VR活用を支援しており、バーチャル店舗を中心とした開発、ユーザー体験設計に強みを持っています。

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